【絵本レビュー】 『うえへまいりまぁす』
作者/絵:長谷川義史
出版社:PHP研究所
発行日:2003年2月
『うえへまいりまぁす』のあらすじ:
ぼくとお父さんとお母さんの三人で、デパートに買い物に行きました。でも、そのデパートで売っている商品は、奇想天外なものばかり!
『うえへまいりまぁす』を読んだ感想:
まずは、
あけましておめでとうございます。昨年は大変お世話になりました。noteを通じてバーチャルではあるけれど実際にお会いできた人もいて、noteが私にとってとても身近な存在になりました。お会いできた方々、素敵な時間を過ごさせていただき、ありがとうございました。まだお会いしていない方々にもいつか出会えるときが来るのかもしれませんね。楽しみです。今年も色々な絵本を読んで勝手なレビューをしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
さて、絵本の話。
私がデパートに初めて行ったのがいつだったか覚えてはいませんが、エレベーターの中にずっと下りないでいる女性がいて、行きたい階のボタンを押してくれたり、着いた階を教えてくれたりするのが面白いと思いました。「エレベーターガール」と呼ぶことを母が教えてくれました。時々とても混んでいる時でもその女性は下りないので、窮屈そうな仕事だなと思ったことを覚えています。
子供の時私はよく父とデパートへ行きました。伊勢丹とか三越とか、古い人だった父は老舗のデパートを信頼していたようです。何かといえば都心のデパートへ連れて行ってくれました。小さな私は、仰々しい入り口や、一階のきらびやかな明かりや、どこまでも並ぶ香水や化粧品の匂いに圧倒されたものでした。
「手を離すんじゃないぞ」
デパートに着くたびに父にそう言われ、私ははぐれたら大変といつも父の側にくっついていました。
デパートへ行くと小さな箱の中で何度も着替えをしたり、知らない制服のおばさんが近寄ってきて、父と二人で私を見ながらああでもないこうでもないと話し合うのが常でした。頭上で交わされる会話を眺めているうちに着せ替えは終わり、父は買ったものを抱えてレジへ行きます。
それが終わると大抵行くのは屋上でした。子供用のミニ遊園地があるデパートもあったし、ちょっとした公園になっていることもありました。時にはスーパーヒーローショーやキャラクターショーなどをしていることもありました。
「遊んでこい」
父はそういうと近くのベンチに座って、私は探索を始めます。風の強い日には屋上の縁からコロリと落ちてしまうような気がして、すごく怖くて、いつも縁には近寄らないようにしていました。
しばらく遊んでいると父がやってきます。
「アイス食べるか?」
子供の時うちではあまり甘いものを食べさせてもらえませんでした。それなのにアルバムの中にはソフトクリームを食べている写真が結構あるのは、外出した時の特別なおやつだったからかもしれません。
この絵本でうちの五歳児の一番のお気に入りは、エレベーターが各階に着いた時に鳴る「チーン」という音でした。「チーン」と言うたびにケラケラ笑いが止まらず、私も調子に乗って近々声を出して「チーン!」なかなか楽しめました。次回帰国したら息子を連れてデパートへ行ってみようと思います。
『うえへまいりまぁす』の作者紹介:
長谷川義史
1961年、大阪府生まれ。グラフィックデザイナー、イラストレーターを経て、『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』(BL出版) で絵本デビュー。『うえへまいりまぁす』(PHP研究所)、『やまださんちのてんきよほう』 (絵本館)、『きみたちきょうからともだちだ』(朔北社)、『おへそのあな』(BL出版)、『スモウマン』『いろはのかるた奉行』(講談社)など、ユーモアあふれる作品を発表。2003年、『おたまさんのおかいさん』(解放出版社)で講談社出版文化賞絵本賞、2005年に『いろはにほへと』(BL出版)で日本絵本賞を受賞。2008年に『ぼくがラーメンたべてるとき』(教育画劇)で日本絵本賞、小学館児童出版文化賞を受賞。
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