美容師が薄毛について本気で取り組めること
頭皮に関しての事って美容師の分野じゃないのかもしれませんが
僕達の大事なお仕事は「髪」を自由自在に形や色を変えてお客様に喜んでいただく事です。
その「髪」が無くなるという事は「顧客」を失うと同じ事
そう思い、僕達の美容室では頭皮ケアの勉強もしっかりとしています
長いお付き合いをしていきたい顧客様のカミさん達を失う事は失客と同じです
今日は頭皮ケアの事で悩んでいる方や、今からスタイリストになる若い美容師さんに読んで頂けると幸いです。
ヘアスタイルを創れるという安心感
僕達美容師は毎日カットやパーマ、ヘアカラーによって
お客様の「なりたい自分」に近づけるように切磋琢磨し
少しでも「いつも以上の自分」になるように提案もしています
お客様の悩みは様々で、ボリュームがある方はボリュームを落としたい。
クセがある方はクセ毛を何とかしたいし、真っ直ぐ過ぎて悩んでいる方もいます
その時々で、今回はカット、ストレート、パーマ、カラーと提案していくのですが、これが僕達美容師は楽しくて仕方ありません
ヘアスタイルが仕上がった後のお客様の目を見れば
感動してくれたのか、予想通りだったのか、期待外れだったのか
少しは理解できるようになり、もしかするとこれが「ベテラン」になるという事かもしれないし、不具合や期待外れがあれば、ある程度の事は対処できると自負しております。
さて、そんな「ヘアスタイル」なのですが
これは人を明るくしたり、暗くしたり、やる気になったり、恋に落ちたりと
お客様の人生の何かしらの「きっかけ」になる部分だと思いますが
とっても重要な事を忘れてはいけません。
「髪」が存在してこその「ヘアスタイル」だという事
「髪」が無ければ僕達は大切な顧客を失います
「世界中の髪」が僕達美容師の表現の場だし、それを失うという事は
ずっと当たり前にいる存在が突然無くなるという事
「いつも当たり前にある」と思うものが無くなった時に
その本当の大事さに気付くようでは遅すぎるので
ヘアスタイルの為に頭皮の事も良く理解しておかなければなりません
現在解っている薄毛になる原因
頭皮に関しては色々と勉強したり、耳にしたこともあるかもしれませんが
「薄毛」の話って非常に面倒臭くって
美容師にとって「信用性」と言う意味で考えると出来る事が少ないなぁという事も含め、せめてお話だけは出来るようになるべきだと考えていますので
もし良ければ飽きずに最後までお付き合い願いたい
薄毛(脱毛)の原因は現在把握しているところで8つの原因があります
1)男性ホルモン関与による毛包機能の低下
AGA治療の軸って(①男性ホルモンの関与 ②遺伝的要因)なのですが
毛髪に関して代表的なテストステロンという男性ホルモンがありまして
本来であればこのホルモンが「栄養分」となるのですが
これが5αーリダクターゼと言う酵素と反応する事によってジヒドロテストステロンと言うものが出来ます
本来は栄養分であるこのホルモンなのですが、過剰に頭皮に作用すると
植物における「水の上げ過ぎによる根腐れ」のような状態になり
髪が生えずらくなってしまいます
なので、これをを抑制する薬がAGA治療のやり方なのですが
美容師ではこの分野は太刀打ちできません
2)血液循環不良によるもの
毛包部を包み込むように毛細血管はありますが、血流が滞ると細くなったり薄くなったりする。また、毛細血管は年齢を重ねると細くなる
髪の毛には栄養が与えられなければ髪は生えません
ご飯食べないと死んじゃいます
それが面倒臭い事に年齢を重ねると栄養供給するはずの「毛細血管」がどんどん衰え、細くなり充分な栄養を頭皮に与えずらくなり毛が細くなっていきます
3)頭皮生理機能の低下→病的な脱毛
頭皮の異常事態発生の事です
特徴としては、フケの過剰発生、皮脂の過剰分泌などがあげられますが
この場合は皮膚科での対処が重要になります
4)頭皮緊張による局所血流障害
老化による頭皮の柔軟性の低下により頭部皮下組織の血流が悪くなる
後は
5)栄養不良(「材料」が無いと毛は生えません)
6)ストレス(特に「継続するストレスによる血行不良」は問題視されています。よく挙げられるのは「お金」や「人間関係」のストレスです)
7)薬物による副作用(ホルモン剤等の投与による一時的な脱毛の事です
8)遺伝(いわゆる「ハゲ」の遺伝子はいまだ発見されていませんが、骨格や、血管等の遺伝により薄毛の原因に繋がると言われています)
美容師が頭皮ケアでアドバイス出来る事
本当にごめんなさい
少し理解しづらいかもしれませんが
この頭皮に対するトラブルの原因の中から僕達美容師は
「薬物投与による改善方法」は出来ませんので飽くまでポイントは2つになります
①血液循環不良や頭皮緊張による局所血流障害
②頭皮に対してストレスになるようなヘアケア商品を使用しない
この2つに対していかにアプローチ出来るかによって大事なお客様の「髪」を守る事が出来るのかもしれません
①に関しては頭部の血管はこのようになっています
イメージすると解りますが、薄毛の場合は頭頂部から細くなっていくのですが、その原因はハッキリとこの血管の広がり方から理解できます
首元や頬骨の下の方は太い血管がありますが、頭頂部に行くほど血管は細くなり、髪の毛も生えずらくなってしまう
なので、マッサージ等で血流をよくする事は「予防」に有効的ではないかと言われています。
②に関しては御存知のように髪の毛には「神経」も「血管」もありません
だって切っても痛くないし、血が出ない
だから、どう扱ったって良いのか?
って聞かれると、僕は「絶対だめだ!!」って言いたい
髪は文句を言わないだけど本当は辛い事が沢山あるのかもしれないからです
おーいい
髪ー
カミー
カミさんー
元気にしてたかい?カミさん
あ、うん…元気、僕元気だよ
なんだよカミさん、しょんぼりしちゃって
ちっとも元気そうじゃないじゃないか
いや、元気…なんだけど最近ちょっとダルくって…
おっとカミさん、風邪でも引いてるんじゃないか?
無理は良くない!カミさんはいつも何も言わないんだからぁ
たまには教えてくれよカミさんちょっと最近元気なさそうだよ
キューティクルだってボソボソしてるし
なんかさ…
ん?なんだい?カミさん?
何か、最近新しいオイルを買ったみたいで…
毎日僕にベタベタベタベタつけてくるんだけど…
おっ景気が良いじゃないかカミさん
これでツルッツルのテッカッテカでカミさんも良い男になれるってもんだ!
うん…
そうなんだけどね、ずっと体がダルいんだ
ずっと僕じゃないみたいで…
辛いんだけど、どうして良いのか分からない
ヌルヌルのシャンプーで洗った後に色々と付けてくれるから感謝してるんだけど、日中もオイル漬けだから…
おいおいカミさん、イワシじゃないんだから大丈夫だって!
元気出しなよ!
うん…
僕は何も言わない…
御主人さまの大事な髪なんだもん
文句なんて言ったらきっとカットされちゃう
でも、僕をずっと育ててくれた「頭皮」はまだ大丈夫そうだから気にしなくて良いよ
おいカミさん弱気になんなって!!
大丈夫…頭皮さえしっかりしてくれれば僕はまた生まれ変われる
僕はそろそろダメかもしれないけど頭皮だけは
頭皮にだけは勝手な事させないでね
わかったよ。解ったから諦めんなって!カミさん!カミさん!!カミさんー!!
そう言い残すとカミさんはパッサパサになり話さなくなりました
ごめんな
お前がいつも何も言わなかったから…
気付いてあげれなかった…
カミさん、本当はきつかったんだな…
ごめんな
って具合に駄目になったカミさんは「ちょっとパサパサするから」って簡単に切られてしまいますが同時に「頭皮」にも攻撃は続いているのです
ただ頭皮はカミさんと違って、痛いとか痒いとかハッキリ言いたいことを伝えるし、血だって出ますから簡単に駄目になる事はありませんでした。
頭皮を健全に保つためのヘアケア商品
長年美容師をしていてここ数年で僕は「手荒れ」を覚えました
以前はなんともなかった薬液を直接触ると手が荒れだし
まだ、軽い段階ではありますがシャンプーをする事が難しくなりました
もちろん個人差はありますがこれって頭皮の自己主張かなと思ってます
同時に近頃ではワックスやヘアスプレー、一部のオイルを手に取るとヒリヒリと沁みるようになりました
手が「これは嫌!!」って言ってるんでしょうね
手の皮膚には神経も血管もありますから自己主張してきます
これは大丈夫
これはヤバイ
この事を自分の手で判断出来るようになったので
まさに美容師として産まれたのだろうなぁと勝手に感じて
現在ではお客様にヘアケア商品をまさしく「肌で感じて」提案しています
なので、少し長くなりましたが
②頭皮に対してストレスになるようなヘアケア商品を使用しない
と言う事に対しての具体策は
「自分のお肌に付けても問題のないようなスタイリング剤を極力使用する」という事なのです。
特に重要なのがヘアケア商品(特にシャンプー等、毎日使用するもの)に拘る事です!
「弱酸性アミノ酸シャンプー」と言うものがあります。
その名の通り弱酸性で頭皮・髪の毛に優しい低刺激シャンプーの事なのですが、同時に刺激を抑える為に「洗浄力」が弱い場合が多くみられ頭皮に過酸化脂質(脂など)が残りやすいという弱点があります
「ノンシリコンシャンプー」も聞いたことがあると思います。
ノンシリコンシャンプーは、キューティクルをコーティングするシリコンが含まれていないので、その分サラサラとした軽い仕上がりになります
そもそもの話なのですがその他のシャンプーにはこの「シリコン等のコート剤」が入っていまして、理由は「ツヤを出して櫛通りをよくする為」なのですが、このスベスベ成分が頭皮にも残っていると考えたらどうでしょうか?
そう考えると頭皮の為には間違いなく「ノンシリコン」で在るべきだと思います。
また、ノンシリコンシャンプーには髪のコーティング作用がないため、ドライヤーやアイロンなどの熱ダメージを受けやすい のでドライヤーやアイロンを使うときは、事前にヘアオイルやトリートメントなどのスタイリング剤で髪を補修することが大切だ
と、ありますが全く関係ありません
ドライヤーの熱は過度に与えると何を付けていようが傷みます
ヘアアイロンなんて、160℃くらいの熱をもった金属のプレートでカミさんを挟む訳ですから逆にそれでも傷まないスタイリング剤って何?
逆に怖いなと思います。出来ればそんなもの体にも付けたくないでしょ
これら、二つの事を踏まえた上で
やはり弱酸性である事、ノンシリコンである事、それなりに洗浄力がある事
の3つをクリアできるシャンプーであれば問題ないと思います
原点回帰じゃないんですけど
子供の髪って綺麗じゃないですか?
濡らすと物凄くもつれやすいけど、乾くとサラサラしてて気持ちいい
子供たちは毎日ヘアオイルを塗っていますか?
子供たちは色んな保湿剤を髪につけていますか?
髪の状態があまり良くないのは過剰なスタイリング剤の使用なのかもしれません
「カミさん」は何も言いません。
ずっと黙って弱っていきますが新しいカミさんが又、きっと生えてきます
ただ、「髪は伸びるからいいや」って大事にしないと
頭皮が何かを言いだした頃には髪を作る事を辞めてしまうかもしれません
ヘアスタイルを幾つになっても楽しめる為に今から少しづつ意識して
美容師として長い目で見た的確なアドバイスをしていきたいなと思っています
長い文章を最後まで読んで頂きありがとうございました。
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