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富の象徴、高級マンションに潜入した


去年の今頃、新宿のど真ん中から少しだけ外れた通りのマンションで待ち合わせをした。
マンションの内見だ。
とはいえ、すぐに住むつもりはなく別のところに目的があった。

目的は高級マンションの内見。
今の私の倍稼がないと手に届かないような家賃がかかる。

そんな家をなぜわざわざ見に行くのか。
今の家賃で手に届く金額ではないが、もう少し稼げたらどんな景色が観れるのかを知るためだ。

きっと見たことのない景色が見れる。
自然と広角が上がり、高揚する。
雨上がりの7月の午後、不動産屋さんが現れる。
さっそくマンションの案内をしてもらった。

圧巻は入り口から、高級マンションって道路から入り口が少し遠くてやたら緑が生い茂ってますよね。
強い生命力を感じながら、オートロックの自動ドアへ。
ボタンを押すのが壁付きではなくカウンターみたいになってるオートロックは富の象徴。

ここに住んでる人はなんて羨ましいんだ、と羨望の目で見ながら11階へ。
なんと廊下は外にあるのでなく、室内廊下。タワーマンションで見るやつ。
しかも床はコンクリートでも板でもなくフロアマット。贅の極みとはこのこと。

部屋に入るまでに衝撃は他にもあった。 
なんと1フロア4部屋しかない贅沢な造りだった。
家賃の高いマンションの高層階、それだけで選ばれた人間という雰囲気がある。
ふわふわとした気持ちと羨ましいという嫉妬心が交差する。
そんな気持ちはつゆ知らず、まるでホテルのような廊下から玄関に案内された。

衝撃だったのは、周りがビルばかりにも関わらず窓の景色は開けていたこと。
おまけに新宿のdocomoタワーまで目の前に見えたと来た。
夜になれば紫とピンクに灯る新宿のシンボル。
なかなか住まいから見える人はいるまい。
この景色が見れるのも、家賃を高くしておける価値のひとつだろう。

景色を見れたのは最高に嬉しかったが、やはり住めないと分かると虚しさだけが残る。
年収が高ければ、他の人が簡単に見れない景色を家から見ることができる。
地上に降りれば一緒だが、お金がなければ当たり前のように絶景を享受できないのだ。

年収に嘘をついて内見させてもらったが、嫉妬心を生むには十分だった。
早くこの家が見合う人間にならなくては、、

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