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そんな時もある。"偶然の産物"って奇跡かも、な話。

散々な1日だった。そんな日もあるよね。

東京神田に用事があって出掛けた。一度行ったことがある場所だったし、地図も添付されていたので「大丈夫だろう」と思ってた。
時間には多少のゆとり、もあった。

神田駅を降り「あー、何となくこの景色」と思う商店街をてくてく歩く。
あれれ?...なんか景色が違ってきたぞ。
あわてて引き戻しながら、リマインドで送られてきていたgmailに添付された地図を開く。
結果は逆走。
だいたい、○○商店街ていうのが複数あるから錯覚しちゃうじゃないのー。

我ながらの"若干ズレてる方向感覚"をたしなめつつ、地図通り行こうと思った。
が、今日はなんでだろう??
「まぁ、方向はあっちか」と根拠のない自信を胸に、添付された通りには従わず、また歩き始めていた。

ダメな時って、なにやってもダメなの?

結果、また迷った。
さすがに時間がヤバい!即座にGoogle Mapを起動。
文字を入力する手間も惜しんで、音声入力で案内をお願いする。
多分、カーナビなら「目的地周辺です」といわれる範囲内を、しかも音声入力で探す。(恥)
着いたときは、雪予報でホッカイロを貼ってきた背中は汗だくだった。

ダメな時もある。けど案外悪くないかも、が良かったりもする。

ちょうど東京へ行くタイミングで、友人のアーティストOZ-尾頭-山口佳祐銀座naganoでイベントをするというのを、2週間ほど前にたまたま知った。
「なんてタイミングいいんだ!」
迷わず行くことに決めた。

イベントは長野の酒蔵"西飯田酒造"の日本酒と、
アンテナショップの商品を使ったごはんを頂きながら、OZくんのライブペインティングを観るという内容だった。
彼も参加者同様に、その日提供された3種類の日本酒を口に含みながら、何かインスパイアされた様子で描いていたように思う。面白いことに、こちらの日本酒は【花酵母】を使っていて、いちご酵母、バラ酵母、リンゴの花酵母の日本酒が並んだ。

人生はまさに"ライブ" 「どっちに転ぶか」

即興で描く彼の"一挙手一投足"。
同じ時間の流れの中で、その過程を静観したのは久しぶりのことだった。
描かれていくうちに、最初に重ねて塗られた色味は最後には消えていた。
(本当は消えたように見えてるだけで、日に当てて透かしてみれば、ちゃんと描かれているのが見えるんですけどね、と後に彼はそう言った。深い!)

イベントも終盤。
ある程度のベースが出来上がり、さてと。
という頃合いで、彼は言った。
落とし処と見せ方を迷っている、と。 

ーちょっと攻めた感じにするか
ー優しくやんわりとした感じにするか

そこで、蔵元にパスが回された。
(スタッフさん、ナイスパス!)

蔵元:「攻めていきましょう!」
OZくんの目がキリッとし、緊張感が漂う。
固唾を飲んで(本当に飲んでたのは日本酒だけど)
行く末を見守る。一気に描いていく。
それは一瞬のように感じる時間だった。
その日、その場所で、たまたま顔を合わせ、対話の中で産み出された作品。

『偶然のような必然のような産物』

参加者、蔵元、アーティスト、アンテナショップのスタッフ。
それぞれが「気になること」「聞いてみたいこと」をざっくばらんに質問したり、「味の感想」や「ペイントの感想を述べる」など、
終始アットホームなトークセッションは、あっという間に幕を閉じた。

私もいくつか質問した。印象的な"お返し"がコレだ。

◎一番小さな作品は、米粒に絵を描いたこと!

◎大きなものを描くときは、手元に描いたA3くらいの原画を見て描くそう。ナスカの地上絵のように比率で大きくしたりすることはあまりない。
自分の手や腕のリーチ、身体的なスケールで全体像を把握しているため、その必要はない。

◎絵馬を奉納するにあたり、古文書を読む会に参加したりして、頭にストーリーを叩き込んで描いた。

◎いくつかのオーダーが重なるとき、スイッチを切り替えるのは得意な方。頭にいくつもポケットがある感じ。昔は食べ物を代えたり、タバコの銘柄を代えたりして、スイッチを切り替えていたけど、今はそれもしなくて済んでいる。

◎描き始めるときは、マーキングとして印をつけてから始める。終えるときは「点」で終える。(だから尾頭なのかー!)

◎即興の中では、最初から形が全て決まってはいない。何となく描き始め、ベースのようなものが出来上がってきたら、「さぁ、こっからどう落とし込むか」を考える。そこで始めて思考が動く。

いくつもヒントになる言葉がちりばめられていた。 

どっちに転んでも、なんとかなる。

予定通り行かない日はある。
ダメな時は、なにやってもダメな時もある。
こんな日は、そりゃ帰りに山手線に乗って「有楽町から秋葉原」に行くだけなのに、
なぜか気付けば田端まで行ってしまい、
仕方なく引き返すも、今度は駒込まで行ってしまったりして、
「おい。何回、秋葉原通過してんねん!」と自分で突っ込みたくもなる。(汗)

それでも、帰路に着いて思うのは
総じて人生、悪くないかもってこと。
普段なら間違えないだろうことを間違えちゃうこともあるけど、
そのおかげで、気づくこともちゃんとある。
ここにこんなお店あるんだー!とか、
時間持て余しちゃったからお茶でもするか、とか。

些細なことが、改めて奇跡のように思えてくる。
だから時々「そんな日もあるよね」があるのは、
ありがたいことだって思う。 

ま、これはまだ余裕があるうちの「ダメな時」だからそう言えるわけであって、本当にダメな時は、もう...本当に笑えないくらい、しんどいけど。

夕暮れくらいの薄明かりに灯るネオンくらいが
ちょうどいいのかも。

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