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患者さん視点からみたICU その2

こんにちは。プロジェクトメンバーの上田です。

今回は、患者さん視点からみたICU その1の続編です。

Tさんは、未来の医療環境のために少しでも役に立てればと、2度のインタビューに答えていただきました。術前と術後合わせて約2ヶ月間ICUで過ごしたご自身のご体験についてお話しくださいました。


ICU入室中はどのように過ごしていましたか?―――――――――――――

術後は、痛みが続き、眠れないことが多かったです。

「お子さん向けのDVDだけど見てみますか?」と看護師さんに見せてもらった、ドラえもんの映画が印象に残っています。感動したのを覚えているので、見ている間は集中していて、少し痛みのことを忘れられたのかもしれません。

もしも、自然音が流れていたらどう思いますか?――――――――――――

音楽は聴きたいと思いませんでしたが、自然音であれば流れていてもよかったかもしれません。その発想はありませんでしたが、自然の川の音や、鳥のさえずりが聞こえていたらよかったかもしれないな、と思います。

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ICU入室中に気になったことはありますか?――――――――――――――

管理上仕方のないことだとは思いますが、尿や吐瀉物を見られるのは、少し気が引けました。

また、心電計がよく外れてしまい、上半身の病衣を脱ぐことが多かったのですが、気遣っていただき、女性の看護師さんが対応してくれていました。途中、お忙しい中申し訳ないので、男性でも大丈夫です。と自ら伝えたことを覚えています。

ICU退出後、印象的なことはありますか?―――――――――――――――

痛みはもちろんありますが、少しずつ筋力が戻り、自分自身で出来ることが増えていき前向きな気持ちでした。
リハビリは、80代の男性と同時に行っていました。年齢も性別も違いますが、同じ疾患の治療を乗り越え、同じ目標を持つ者同士、お話ししたり懸命にリハビリに取り組んだり、不思議な関係を築いていました。

一方で、退院後のことを考え、漠然と不安になりました。今回の病気によって、諦めなければいけない仕事も出てくると思うと、人の役に立っている目の前の看護師さんが羨ましく感じていました。


今回のインタビューを通して、五感が与える影響や意思疎通の難しさなど、たくさんの発見がありました。改めて治療環境は、より患者さん・ご家族の視点で改善されていくべきだと感じました。

コロナ禍で、直接ICUに足を運ぶことが難しくなり、プロジェクトをどう進めていこうか悩んでいました…今回、Tさんのご協力により患者さん視点のICUを知るきっかけとなりました。
未来の治療環境に皆さんの声が反映されるよう、引き続き取り組んでいきます。

アスクレピオスは医療環境の未来について、一緒に考え、カタチにしていくラボでもあります。
医療者のみなさんのご協力なければ、医療環境は変えられません。少しでも興味ある方のお問い合わせ、ご意見やご感想お待ちしています。

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