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僕たちがThe 1975に期待してしまう理由

唐突だが俺はThe 1975がめちゃくちゃ好きだ。多分俺のTwitterをフォローしてる人間ならわかるはずだけど、改めて言わしてもらう。俺はThe 1975がめちゃくちゃ好きだ。今回の記事はThe 1975を多くの人間に知ってもらいたいというほぼほぼ自己満に基づいた勝手な使命感で書いているから、どちらかといえばこの記事は彼らの音楽を詳しくなかったり、洋楽に疎かったりするような人に向けた感じになってると思う。The 1975が元々好きな人にも楽しんでもらえるような内容にしようとは思ってるけどね。とにかく俺はThe 1975の素晴らしさを多くの人と共有したいし、なによりも多くの人間とふぁっきんじゃんぷしてぇんだよ。

The 1975ってそもそも何者なん?

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The 1975は2013年にデビューのマンチェスター出身のロックバンドだ。
メンバーは

マシュー・ヒーリー(ヴォーカル、ギター)
アダム・ハン(ギター)
ロス・マクドナルド(ベース)
ジョージ・ダニエル(ドラム)

の四人だ。現在まで3枚のアルバムを出しており全て全英チャート1位を獲得。特に「I Like It When You Sleep, for You Are So Beautiful yet So Unaware of It」というあほみたいに長いタイトルでお馴染みの2作目は全米でも一位を獲得という快挙を達成。さらに3作目「A Brief Inquiry into Online Relationship」は世界中の多くの批評家から絶賛され、NMEやSPINといった多くの音楽メディアが本作を年間ベストアルバムに選出。あの偏屈音楽メディアで名高いピッチフォークも収録曲「Love It If We Made It」を年間ベストトラックに選出した。

バァーっと一気に書いたが、簡単に言ってしまえば10年代のロックバンドで最も成功したのが彼らなのだ。洋楽をよく知らない人でもうっすらわかるかもしれないが、2010年代はEDMやヒップホップの隆盛によってロックはオワコンと指さされるようになった時代なんすよ。日本ではフェスブームの影響でまだまだロックは元気なんだけど、海外だとロックはオタクの音楽となったのが現状だ。

現代って効率性を求める時代じゃないすか。わざわざ徒歩30分のTSUTAYA行って一枚100円のDVD借りて見るくらいなら、月額450円のアマゾンプライムで映画見放題の方がお得じゃん?それと同じでギター、ベース、ドラム、ボーカル探して、曲作って、練習するバンドよりも、パソコン一台で曲作れるEDMとヒップホップの方がコスパがいいって意味では時代に適応してるのは明らかなんだよね。じゃあなぜ徒歩30分のTSUTAYAであるThe 1975がこの時代におけるロックの数少ない勝者になることができたのだろうか?

The 1975が持つ先見の明

この3組は俺のあやふやな記憶が正しければThe 1975がデビューした2013年ぐらいにUKロック期待の若手として各所でもうプッシュされていたほんの一例だが、聴けばわかると思うがなんか古臭いんだよね。いまだに2000年代初頭に流行ったガレージロックリバイバルの延長線上みたいなことをやってるわけでさ。まわりの友達で裾めくったらチェック柄のズボンはいてる奴いたらさすがにダサいと思うでしょ?

こうなっちゃったのはいろいろな理由(この年アークティックモンキーズがオールドロックを極めた「AM」がリリースされ大絶賛されたのもある意味象徴的)はあると思うけど、そんなくすんだUKロック界のなかで異端児的なポジションとして出てきたのがThe 1975だったわけ。


ね?めっちゃ浮いてるっしょ???
前3組と比べても明らかにクリアなサウンド、超ポップなメロディ、ただならぬオサレな雰囲気。女子受けするならどのバンドかといわれたら間違いなくThe 1975が選ばれるのは明白で事実多くの女性ファンが付くんだけど、これが当時のUKロックシーンでは煙たがられてしまい、「The 1975はアイドルバンドだー」という声が噴出。というわけでUKロックシーンでのトレンドとは異なるサウンドだったわけだ。あくまでもUKロックシーンでは・・・

ところが海の向こうのアメリカでは空前の80'sリバイバルがおっぱじまっていた!ブルーノマーズを筆頭に、テイラースイフト、ザ・ウィークエンドといった80'sの影響が強い楽曲を軒並みヒットチャートに叩き込んでいった。先ほど述べたThe 1975の2作目が全米でも1位を獲得できたのはデビュー時から抱いていた彼らの80'sスピリットが時代の流れにフィットした当然の結果なのだ。

稀代のカリスマ マシューヒーリー

どの時代においてもカリスマというかその時代のアイコニックな人物は存在する。ロックにおけるカリスマといえば古くはジョンレノンデヴィッドボウイシドヴィシャスカートコバーンとその時代を象徴する人間がシーンを引っ張て来た。しかし10年代の音楽シーンを引っ張ったカリスマを誰か挙げろと言われた時、多分ロック側の人間を挙げることは少ないと思う。

おそらく挙がるとすればヒップホップの可能性を広げたケンドリックラマー、EDM躍進の中心となったアヴィーチー、そしてブラックミュージックの神フランクオーシャンといった面々が挙げられるだろう。多分このメンツに食い込むことができるロック側の人間を挙げるとするならば間違いなくマシューヒーリー一択になるだろう。

この手の音楽系で言われるカリスマの諸条件って人によって認識の誤差はあれど、第一に他の追随を許さない圧倒的な芸術性、そしてそれを視覚化することができるパフォーマンス力、あと一番大事なのが悩み葛藤する姿を大衆から応援されるようないわゆる人間臭さ。多分最低でもこれら三つの条件は必須なんだけど、10年代のロックって三つ目に挙げた人間臭さが弱かった気がするのよね。10年代を代表するバンドでよく挙がりがちなテームインパラとヴァンパイアウィークエンドなんか人間というよりかは、崇高な音楽職人って感じになりかけてるし。特にテームインパラのフロントマンのケヴィンなんか最近の写真みるとぱっと見音楽の仙人だし。

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この点マシューヒーリーって先ほどの三つの条件を兼ね備えた数少ない10年代のロックスターなんですよね。先ほど述べたように時代を先読みするよな音楽性に、血気迫るライブパフォーマンス。また精神的に不安定な人間性も彼の魅力の一つだ。ライブで「愛してる」といったファンに「お前に俺を愛する資格は無い」と怒鳴り泣き叫んだエピソードが象徴するようにかなり躁鬱の激しい人間だ。そんな彼のカリスマ性が大爆発した作品が名盤とも名高い3rd「A Brief Inquiry into Online Relationship」だ。

マシューヒーリーのヘロイン中毒による実体験やポップスターを演じてきた自分への嫌悪というパーソナル内容からSNSや銃社会などの社会問題への痛烈な批判といった過激な歌詞、エモやエレクトロニカやトロピカルハウス、はたまたトラップにジャズにゴスペルと様々なサウンドをふんだんに取り入れながらも、小難しい感じにせずに誰もが聴きやすいいポップなギターロックで奏でたことが本当に凄いことだし、素晴らしいことなのだ。

仮定形に関する注釈

前作で見事にデジタルエイジを代表するロックバンドになった彼らが今年の5月に4枚目のアルバムをリリースする。現時点で分かってることはこれまで発表された先行曲はラウド、エレクトロニカ、ギターポップ、カントリー、80’ポップ。ゲストにはFKA twigs、フィービーブリジャーズ、環境活動家のグレタトゥーンベリ。22曲入りで放題は「仮定形に関する注釈」。この情報量の多さよ・・・

さらに今年の9月には日本で行われる音楽フェス「スーパーソニック」のヘッドライナーとして来日することが決定している彼ら。去年のサマーソニックではあまりの血気迫るパフォーマンスでヘッドライナーのB'zを余裕で食ってしまい、その後音楽好き界隈で「事件」とも称されるライブを魅せてくれた彼らがまた日本に戻ってきてくれる。

今回のこの文を読んで少しでもThe 1975をいいと思ったら、すぐにでも3枚のアルバムを聴いてほしい。なんならスーパーソニックのチケットを買ってもいい。損することは無いと保証できるくらい彼らが素晴らしいバンドであることに間違いはないから。そんでもって9月にみんなで一緒にふぁっきんじゃんぷして優勝しようぜ。


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