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『Optimizely』創業者が教えるBtoBセールスの極意 〈2〉|話しやすい相手ではなく見込み客にアプローチすべし

前回に引き続き、『Optimizely』創業者の一人であるピート・クーメン氏がBtoBセールスについて解説した内容についてのご紹介です。

BtoBセールスは、以下の6つのファネルで構成されています。

今回は最初の2つ、「見込み客の発掘」と「アウトリーチ」についてご紹介します。

見込み客の発掘

このステップのゴール
自分たちの製品が必要そうな企業のリストと、その企業の中で購入を検討してくれそうな担当者のリストを作成すること

これを始めるにあたって「仮説」を立てる必要があります。セールスの仮説とは、

「顧客XはYという問題を抱えており、当社の製品はそれを解決できる」

というようなものです。良い仮説があれば、どの企業にアプローチすべきかが明確になり、見込み客の発掘がスムーズに進みます。

Optimizelyの場合
「中小規模のテクノロジー、メディア、eコマース企業のマーケターは、ウェブサイト上でA/Bテストを行いたいと考えている。しかし、市販の実験ツールはコードを書く必要があるため、彼らには使いづらい。Optimizelyなら、コードを書くことなくA/Bテストを実行できる。」

仮説ができたら、対象となる企業の絞り込みを開始します。

Optimizelyの場合
企業が分析ツールやJavaScriptフレームワークを使用しているかどうかを確認するために『BuiltWith』というツールを使用しました。これらのツールを使用している企業は、ウェブサイトに対する関心が高く、比較的高度な技術を取り入れている可能性が高いと考えられます。

企業リストを作成したら、次にその企業の中で適切な担当者と、その連絡先情報を見つける必要があります。

(アメリカではApolloやLinkedIn Sales Navigatorなどのツールを使って担当者情報を収集できるそうです。詳細は分かりませんが、日本ではSanSanなどが同種のサービスを展開しているようですね。)

アウトリーチ

次は見込み客の注意を引く必要があります。
このステップを「アウトリーチ(接触)」と呼びます。

このステップのゴール
見込み客と会議を設定すること

多くの創業者は、コールドアウトリーチ(見込み客との初めての接触)を主な手段と考えがちですが、実は

見込み客から自分に連絡をしてもらう

のが最も簡単な方法です。
そのような見込み客からの問い合わせを最大限に増やすことを心がけるべしと、クーメン氏は主張しています。

▼ 見込み客からの問い合わせをゲットするためにできること

  • 製品のローンチを早めに行う

  • 技術的なコンテンツ(動画やブログ記事など)を作成し、見込み客が自身の問題を解決するために検索する際に見つけてもらえるようにする

  • ユーザーが自由に試せるデモを用意する

  • インターネット上でシェアできるようにする(これは以前のブロムフィールド氏の口コミ効果の解説でも出てきましたね!)

  • 見込み客が集まる場所(掲示板やSNS)を見つけ、そこで質問に答え、専門家としての立場を確立する

  • 顧客が集まる業界イベントやカンファレンスに参加する

▼ コールド・Eメールの書き方

クーメン氏は、コールド・Eメールの書き方についても指南してますが、これは以前ご紹介した内容と基本的に同じなので、興味がある方はぜひこちらをご覧ください。

▼ 良い顧客になる人ではなく、話しやすい人に話しかけてしまう問題

アウトリーチにおいて、多くの創業者が陥りがちな失敗パターンがあるそうです。

それは、多くの創業者は、話を聞いてくれる人なら誰とでも話をしようとするということです。

良い顧客ではない人と話すことで、進捗があるような錯覚に陥ってしまいます。

そして、そういう人たちから製品に対するフィードバックをたくさんもらったとしても、それが役に立たないばかりか、場合によっては誤った方向に進んでしまうことすらあります。

失敗パターン 1
HR情報システムなどのように、規模が大きくなって初めて問題が発生するような製品を、小規模なスタートアップに売り込もうとするパターン。スタートアップの方が大企業の幹部より話しやすいため、多くの創業者はついスタートアップにアプローチしてしまうが、これは時間の無駄。

エンタープライズ向けソフトウェアをスタートアップに売り込もうとする例

失敗パターン 2
Notionのような生産性向上ソフトは、個々の従業員やチームが自発的に導入できるため、下位職層(エンジニアやマネージャー)と話をしても問題ない。しかし大規模な病院の請求管理ソフトのような製品は、セキュリティやコンプライアンス、社内システムとの統合などの調整が必要なため、CFOやCIOなどの上層部と話をする必要がある。

トップダウン型アプローチが必要な製品を、ボトムアップ型で売り込もうとする例

実際これは色んなスタートアップのアドバイザーが言っていることですが、"解決すべき問題を抱えていて、予算と決裁権を持っている会社を見つけること"はすごく重要ですね。

次回は、BtoBセールスの6つのファネルの3つ目、「顧客の絞り込み」についてご紹介します。
これも多くの学びがあると思うので、ぜひご覧ください。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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