「社会人向けおすすめ勉強分野診断」を開発しました!
今回、「社会人向けおすすめ勉強分野診断」を開発しました。もとはwebアプリの予定でしたが拡散性を考えて一枚の画像にまとめています。
転載等はご自由に。このnoteのリンクを添えてもらえると嬉しいです。
ここからは開発経緯や今後の展望を記していこうと思います。また、精度向上のためのアンケートも実施中ですので協力をお願いします。
・ポイント1:社会人の勉強しない理由は時間、お金に次いで「何を勉強すればいいか分からないから」
・ポイント2:教育心理学の観点から、学習動機と教育分野の関連を分析
・ポイント3:複雑化する学問を分類
はじめに:社会人の勉強の必要性
「社会人の勉強時間が少ないこと」が大きな社会問題として叫ばれています。
日本経済の発展と、雇用の流動化が求められる中、社会人の勉強は「リカレ
ント教育」のキーワードの元、官民が総力を挙げて推進中です。
実際、文部科学省[1]によると"誰もがいくつになっても学び直し、活躍することができる社会の実現に向けて、関係省庁が連携してリカレント教育を一層推進する"とあります。
民間に目を向けてみます。マイナビ転職の調査によると、85.6%の人が学び直しが必要であると考えています。
同じ調査で学び直しを現在していない理由を問うていますが、「時間がない」「お金の余裕」に次いで3位になったのが「何から始めればいいか分からない」という回答です。
社会人勉強の壁:「何から勉強すればいいか分からない」
近代図書館学の祖ともいわれるガブリエル・ノーデが「図書館設立のための助言」で
と記している通り、自分が学びたいことがすぐに探せることは、探究活動において非常に重要であると考えます。
「学習動機」から本人に合う勉強分野を分析する
「何から勉強すればいいか分からない」社会人の方に向けてどうやって学習分野をオススメするか。そこで目を付けたのが「教育心理学」です。
教育心理学とは、"心理学の立場から教育という事象を理論的・実証的に明らかにし、教育の改善に資する"学問です。[参考文献3]
本人の心理に着目し、その人にあった勉強分野を導きます。その中でも今回は「学習動機」に注目しました。
浅野[参考文献4]は「交友志向」、「自己向上志向」など学習動機を分類し、学生に調査することで”医科大学学生は「職業 ・専門性志向」の学習動機が有意に高い”など、学習動機と学習分野に関連があることを示しました。
社会人向けに学習動機と勉強分野の相関を調査する方法
アンケートを設計。学習動機や価値観を問う質問は上記の4問。
学習分野の分類は以下のようになりました。
図書館における「日本十進分類法(NDC)」をベースに、そのモデルとなったメルヴィル・デューイの「十進分類法」も参考に加えています。
学びたい分野1位[参考文献5]であった外国語をNDCの「言語」から分割し「言語」の残りを「日本語、コミュニケーション」として再構築しました。
この「日本語、コミュニケーション」は西洋の古典教養でトリウィウムと呼ばれる文法学、論理学、修辞学をまとめたリベラルアーツの学問分類を採用しています。[参考文献6]
調査結果
クラウドワークス、Facebookでアンケートをお願いし、115件の回答を得ることが出来ました。
全10分類、100件越えということで誤差が10%未満であることが期待できます。[参考文献7]
回答者分布
まずは回答者分布です。年代、職業ともに、かなり広く分布していることが分かります。
男性が多めになりましたが、労働力人口総数に占める女性の割合は 44.3%[参考文献8]なのである意味これも社会人のサンプルとしては有意であると考えます。
社会人の学習動機と学習分野の関連
今回のメインとなる学習動機と学習分野の関連です。
今回は「一番興味がある、または現在勉強している分野を選んでください」という設問で調査します。
左側に全体の学習分野分類、右側に動機や価値観で絞った人の学習分野分類を示しています。
特に傾向の大きかったものをいくつか紹介。
まずは「国内で活躍したい」より「国際的に活躍したい」と回答した人は「外国語」が2.5倍の人気であることが分かります。ビジネス人気も大きいですが、歴史/数学/科学の一般教養の割合も倍近くなるようです。
「自己啓発・自己分析を深く行いたい」より「他の人と親睦を深めたり、友人を得たい」と回答した人は他の人より、医療・福祉や日本語・コミュニケーションを学びたい人の割合が多いことが分かりました。
決定木モデルで分析
その後全ての設問に対し、決定木モデルで分析を行い、「一番興味がある、または現在勉強している分野を選んでください」の設問に対し説明変数の関係となる設問を分析しました。
そして設問ごとに順位化し、どの動機でも同等の人気があった「ビジネス」を除いた9分野で、診断表を作成しました。
今後の展望~社会人の勉強支援~
ここからは個人的に今後の展望を。
せっかく中々の時間をかけて調査し、大々的にアンケートを行って分析したので画像を公開して終わり、は避けたいものです。
今後の展望としては、分析後におすすめの書籍や教育サービスを提案することでアフィリエイト等で収益化することも選択肢にあります。
このブログの閲覧数も継続のKPIに入っていますので拡散してもらえると助かります。もちろん文章量/画像挿入/見出しキーワードでSEOも頑張ってます。
何かご意見、ご連絡ある方はこちらのTwitterまで。
長文読んでいただきありがとうございました!
参考文献
[1]内閣府,「文部科学省におけるリカレント教育の取組について」, https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/koyou/20200409/200409koyou03.pdf (参照2022-9-15).
[2]藤倉 恵一(2018)「日本十進分類法の成立と展開 日本の「標準」への道程 1928-1949」, 樹村房.
[3]解良 優基「心理学の視点から教育を科学的に解明する」, <https://www.nanzan-u.ac.jp/nanzan_faculty/foh/hp/012250.html> 2022年9月25日アクセス.
[4]浅野志津子,学習動機が生涯学習参加に及ぼす影響とその過程 教育心理学 研 究,2002,p141-151.https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10625528/1
[5]内閣府,「学び直しに関する参考資料集」, https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo2/011/siryou/__icsFiles/afieldfile/2016/07/28/1374769_1_3.pdf (参照2022-9-15).
[6]麻生川静男,本物の知性を磨く、社会人のリベラルアーツ,2015,祥伝社.
[7]鈴木久仁香,『アンケートで必要なサンプル数は?「100説」vs「400説」』, <https://www.cuenote.jp/library/marketing/enq-utilization5.html> 2022年9月21日アクセス.
[8]内閣府,「令和2年の働く女性の状況」, <https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/dl/20-01.pdf> 2022年9月25日アクセス.
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