β-95 AC 2020 その3

ここでは、ACジャパン2020年度支援キャンペーンのCM作品について、ある程度短い感想を書き連ねてまいります。全国キャンペーンはその1、地域キャンペーンはその2、広告学生賞、NHK共同キャンペーンはその4です。

こちらもご参考までに。

先に申し上げますが、その1~4だと、この3が1番長いです。

支援キャンペーンは、支援する団体のこともあるので、1項目に対する感想も他よりも長くなるというのが特徴です。

さて、本年度の支援キャンペーンは7団体です。

前年度よりも1団体減少しています。

まず、前年度で支援が終了したのは、日本心臓財団、日本対がん協会、日本臓器移植ネットワークの3団体。

それぞれの最新動向は、以上のサイトから。

心臓財団と対がん協会は2017~19年度の3年にわたって、臓器移植ネットワークは2018・19年の2年にわたって支援されてきましたが、今回はいったん休止。

過去の事例も鑑みると、いずれもまた復帰するかもしれないと思う各団体です。

続いては、本年度も継続して支援が行われる団体です。

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、ウォーターエイドジャパン、ジャパンハート、日本盲導犬協会、日本動物愛護協会の5団体。

セーブ・ザ・チルドレンとウォーターエイドは3年目、ジャパンハート、盲導犬協会、動物愛護協会は2年目です。

そして、復帰した団体は、日本骨髄バンク、2018年度以来2年ぶりの支援です。

異例のスピード復帰ですが、ACと言えば・・・という団体でもあります。

そして、新規団体としては、日本腎臓財団が名を連ねました。

よって今年度はセーブ・ザ・チルドレン、ウォーターエイド、ジャパンハート、盲導犬協会、動物愛護協会、骨髄バンク、腎臓財団の7団体のキャンペーンが展開されます。

テレビCMは30秒、ラジオCMは40秒です。

それでは、前置きが長くなりましたが、本編に参りましょう。

歓声ですか、銃声ですか。(セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン)

デルフィス制作の作品です、公式サイトはこちらから。

3年連続で支援されている国際NGO団体で、120ヶ国で活動している団体の日本支部といったところでしょうか。

過去には、紛争地域の子どもたちが、学びたくても学べないという状況であるというものを算数の文章題形式で出題し、この問題は本当に問題ですという問題提起を行ったりしたことでもちょっとだけ話題にはなりましたかね(2018年度)。

今回は、あまり画がそこまで変わらない、動いてはいるのですが、夕焼けっぽい風景を空の下、シルエットで映し出された子どもたちを接写したり、遠目から眺めたりという映像だけで30秒という構成です。

広告からもわかる通り、どうみてもかけっこや徒競走とは思い浮かべられない、ただ遠目からすれば、遊んでるのかなという想像も浮かび上がりますが、やっぱり遊んではなくて、なんらかのものに怯えたり逃げ惑ったりしている様子が感じ取れましたね。

ナレーションは西島秀俊さん、これまで2008年度の全国キャンペーン「生きている証」や2011年度の東京地域キャンペーン「宮沢賢治・明日を信じる」にもそれぞれナレーションで出演しており、9年ぶり3度目の出演です。

言いたい内容は3年連続で「紛争地域にいる子どもたちを我々の手で変えていきましょう」というスタンスです。

具体的にどうというのは、上記の公式サイトから。

紛争に怯える子どもたちがクローズアップされていますが、国内における支援や感染症などの保健衛生の観点からも支援が行われております。

これはなかなか、CMから読み解くのは難しいですね。

保健や衛生面などの視点からも広告展開を実施してほしいと感じました。

ただ、これに関しては、類似団体も行っていると思うので、紛争地域の子どもたちに対する支援に関する内容がメインに取り上げられているんでしょうけれども。

命の水、命がけの水(ウォーターエイドジャパン)

こちらも3年連続で支援されている国際NGO団体、34ヶ国で活動しております。

セーブ・ザ・チルドレンは子ども支援を、ウォーターエイドは安心して飲んだり洗ったりできる水を届けることを中心に活動しております。

JR西日本コミュニケーションズ制作、公式サイトは以下から。

マダガスカルのとある村に住むネニーさんは、村唯一の水源までの道のりを何往復もして、水汲みを毎日行っているけれど、その水は濁っており不衛生なもの。

でも、生きていくためには大事な水、リスクを背負ってでも、汲んで運ばなければなりませんという内容の後にウォーターエイドの活動を紹介し、支援を募る内容になってます。

昨年度がシエラレオネのナンシーさんで、今年はマダガスカルのネニーさん。

国と子どもは、どのようにして決められてるのか、それが気になりますかね。

それはさておき。

ネニーさんは片道1.5km以上の道のりを土足で歩き、多いときで3往復、1回の水汲みでバケツ1杯分、それを頭の上に乗せて家に運ぶ。

土足で運ぶということは、道も舗装されていないのでダイレクトに砂や石と接触し、けがをする危険性が高まるし、頭に乗せて運ぶことは、他に水を奪われないようにするための防衛策なのでしょう、決して握力がないというわけではないとは思うので。

バケツが2杯でなく、1杯というのもそういうことかな、単にバケツがないだけという線もありますが。

ナレーションは、満島ひかりさんです。

いちばん格差があってはいけないのは医療だ(ジャパンハート)

ADKクリエイティブ・ワン制作、公式サイトは以下から。

団体設立者自らが出演し、医療格差を是正すべく、活動を行っている旨を報告する内容のCM、世界、とりわけ東南アジアの開発途上国に病院を自前で建てて、無償で医療を提供したり、国内の離島や災害によって被災した地域などにも活動の幅を広げております。

うーん、ほかに特筆すべき内容はあんまりないかな。

ある程度探したけれど、文章にするかどうかまでに至らなかったというのが正直なところですかね。。

世間の誤解に吠える(日本盲導犬協会)

博報堂中部支社制作です、公式サイトは以下から。

前年度は斉藤和義さんの歌に乗せて、盲導犬ユーザーの6割が受け入れ拒否を経験している実態が広告を通して明るみに出たと思われます。

受け入れが当たり前になる社会になるためには、世間のなかの盲導犬における誤解に対して吠えないといけないのだろうと考えたのでしょう。

でも、"どう"吠えさせていくのか。

そこで、盲導犬の心の声を佐々木蔵之介さんに代弁してもらうコンセプトで作られたのだろうと推察する本年度のキャンペーン。

具体的にどんな誤解があるのか、それは「ストレス溜まってそう」だとか、「かわいそう」だとか思っていることが、公式見解だそうです。

もちろんそうしたケースもゼロではないと思いますが、ほとんどはパートナーと一緒に楽しんで過ごしているケースがほとんどであるというのを蔵之介さんの軽やかな京都弁(なのかな?)で説明しており、より「ワン!ダフル」なご理解を求めている内容でありました。

ほんとにひとりでも多くの方々に、遭遇していただければなんて思ってます。

介助犬も同様にかな。

私も含め、目がしっかり見えるひとは、誤解を正しく直せるようにしたいものですな・・・と。

そういえば、蔵之介さんも西島さんと同じく9年ぶりの出演ですね。

蔵之介さんは2011年度の全国キャンペーン「魔法使いの少年」のナレーションを担当してましたっけ、確かテレビCMだと本編で声は見かけませんでしたので、ラジオCMかな。

この「魔法使いの少年」は、40周年企画として、公共広告に相応しい作品を公募して、そのグランプリになった作品でしたね。

犯罪者のセリフ(日本動物愛護協会)

電通中部支社制作の作品は、かなりパンチの効いた作品が多く、初見だと多くの方々を震え上がらせてしまう効果があります。

この作品も明るい色彩ではありますが、そうしたエッセンスが詰め込まれているような気がしてます。

前年度は「にゃんぱく宣言」としてさだまさしさんの弾き語りがあって、楽しく見ていた方も多かったことでしょう。

その反面、楽しくつくってしまうと、動物を軽視したり、虐待したり、捨ててしまったりしている問題の意図が正しく汲み取れないというデメリットがあります。

普及は大事ですが、本質をしっかりと明示できているか。

そこで、本キャンペーンは前年度は打って変わって、そうした動物の飼い方をきちんと正しく持ってほしいというメッセージが前面に押し出されたCMとなりました。

と言ってはみたものの、テレビCMや新聞広告では、なんでワンちゃんを捨ててしまったのかの意図がきっちりとつかめてない気がします。

そこで、ラジオCM。

夫の転勤が決まり、赴任先の社宅はペットNG。

いろいろ探してみたが、捨てる選択しかなかった。

もちろん、捨てたくはなかったのかもしれないのですが、方針と照らし合わせると、捨てるという決断が最善だったのだろう。

CMでは、いかなる理由でも、捨てたり虐待したりしたら犯罪者になるというメッセージが添えられていましたが、やむなく・・・となってしまった状況の場合どういった対処をとればいいのでしょうか。

そんなときは、協会に連絡するのがいいのかもしれません、選択肢の一つに加えましょう。

もちろん、飼う前に未然に防ぐのが賢明ですが、飼ってから「しまった・・・!」という場合は、とくに。

「親切な人に、見つけてもらってね」というフレーズが、"犯罪者のセリフ"になるときがあることだけは、忘れずに。

早川選手の、命のサポーター。(日本骨髄バンク)

アルビレックス新潟に所属している早川文哉選手、このCMに出会うまでは、全然知らなかった、お恥ずかしながら。

もちろん、アルビのサポーターであったり、サッカーファンであればもっと知っているとは思うのですが・・・。

電通制作、シアターモードになっていますね。公式サイトはこちらから。

平成初期の頃から、ACを通してキャンペーンを行ってきた印象が強いですが、「私はドナー登録をいたしました」という旨であったり、夏目雅子さんや本田美奈子さんを通して、ドナー登録の重要性を訴えたり、ドナー登録は54歳までだから、18歳以上のとくに若年層にドナー登録をお願いしますと呼びかける広告は幾度もあったけれど、実際に白血病を発症して回復に至った方が出演するケースは2002年度の「みんな助かってほしい。」くらいかな。

というくらいに印象がそこまでないというのが現状です。

さて、本編。

早川選手は4年前の試合中にリンパ節に違和感を感じ、検査を受けた結果、急性白血病と診断され、診断されて約半年後に移植手術を受け、その10か月後に退院し、徐々にプレー時間を増やしていき、そして昨年10月に公式戦フル出場を遂げるまでに回復した、これからが楽しみな選手だなとは感じてますが、果たしてどうなんでしょう・・・そこまで詳しくはないので。

現在、骨髄ドナーを待っている方は約2000人、この4割に当たる約800人が型が合わないのか、待機しているという現状があるとされます。

一人でも多く救うためにドナー登録をお願いしますと呼びかけたところでCMは幕を閉じる。

ここでのドナー登録の呼びかけは「命のサポーターに、登録してください」とサッカーになぞらえているのも特徴的ですね。

そういえば、サッカー選手で骨髄バンクとなると2005年度に井原正巳さんが呼び掛けていたあの時以来ですかね、そういや、と振り返りながら。

改めて早川選手、ご結婚おめでとうございます!

こうして知ってしまったからには、密かにですが応援してますよ♪

アレレのレ~?ご存知ないんですか?(日本腎臓財団)

I&S BBDO制作、ACジャパン初登場の日本腎臓財団の支援キャンペーンです。

バカボンシリーズがACジャパンに起用されたのは、2009年の全国キャンペーン「あなたでいいのだ。」以来かな。

その時は、赤塚不二夫先生が写真としてご出演し、作中の「これでいいのだ」を基に自殺防止をハンバートハンバートの音楽とナレーションに乗せて呼び掛けておりましたが、作中キャラの出演は初めてなのかなと感じます。

レレレのおじさんの目がそのまま腎臓のイラストにも転用できるんだなという素朴な感想を描きつつ、8人に1人が慢性腎臓病を発症しているということを話し、そして高血圧や糖尿病などの生活習慣病を改善して健康寿命を延ばしていこうという内容の作品でした。

CMにはレレレのおじさんのほか、バカボンのパパも登場していますが、声の出演は、レレレのおじさん(千葉繁さん)のみです。

それにしても、心臓財団の代わりに腎臓財団が加入とは・・・、こうした団体に関してはまだまだ知らない世界が多いな・・・。

と感じるあした・の・β<ベータ>でした。

支援キャンペーンは本年度はお開きです。

来年はどんな団体が再開並びに初登場してくるのでしょう。

それも楽しみにあと約11ヶ月過ごしてまいります。

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