ボードゲームはIPを作れるか

僕は少し前から「ボードゲームから大きなIPが生まれなくてはならない」と口にしています。

最近はIPのボードゲーム化が加速している印象だけど、もうしばらくしたらボードゲームからIPが生まれる時代が来るはず。ていうか業界拡大のためにはそうすべきという使命感みたいなところもあるんだけど。

上記は4月に書いた週報からの抜粋。

IPって言葉は人によって捉え方違うかもしれないので一応言っておくと、当記事内での意図としては「アニメ、漫画、映画などのマルチメディア展開に耐えうるコンテンツ」です。

もっと言えば、「二次創作が生まれる」コンテンツです。

例えばライトノベルなんか言わずもがなで、昨今ライトノベルからのアニメ化、そしてそれによって多くの人に知られて人気コンテンツとなることはザラですよね。

ソシャゲもそう。ソシャゲオリジナルのコンテンツがアニメ化されるのも今では珍しくない。まぁソシャゲはそもそもプレイ人口が桁外れだったりするので一緒くたにできない部分もありますが。

ボードゲームはどうか。ボードゲームからIPを生み出すことができるのか。これ、人によって想いも考え方も違うので反発もあるかもしれないんですが、僕は「できるし、そうならなきゃダメ」派なんです。

以降の話は前提として「偉大な先人たちのおかげで大きな夢に手が届きかねないレベルの業界になってきてんぞ」という、先駆者たちへのリスペクトありきのお話です。「ここからは各人の意識の問題」という未来に対する意思表明だとお考えください。

ボードゲーム発のアニメがヒット。そうなってこそ初めて夢のある業界になりえる。プレイ人口がもっと増えて、作り手もさらに増えて、その中からスターが誕生する。大昔に18禁ゲームがそれ実現できているのに、なぜボードゲームではまだそれができていないのか不思議なくらい。

こんなこと言うとお叱りを受けてしまうかもしれないんですが、結局のところ「そんなことを考えながら作ってる人がいない」に尽きると思うんですよね…。そうなったらいいなあとかじゃなくて、それを狙って作ってる人、ということです。

でも出ちゃいました。同人発でついに出てきちゃいましたよ。本気の人たち。少し触っただけですぐにわかっちゃいました。狙っているな、と。ガンナガンと言うゲームです。

なんで公式サイトないのよ。仕方ないのでボドゲーマさんのリンク貼りました。

このゲーム、作りがとにかく「プロの犯行」なんですよね。ゲームシステムの話ではなく、それを取り巻く全ての要素についての話です。IPとはどうあるべきかというのを、完全に理解している人が作っている完成度。

ゲームマーケット2020秋会場でプロデューサーのZUMEさんにご挨拶できたのでその辺りを聞いたところ、やっぱり狙ってました。そして考えていることが自分と同じで嬉しかった〜〜〜〜。結果的にガンナガンがめちゃくちゃヒットしているの、やっぱりそうだよね〜という嬉しさと、自分がやりたかった〜という悔しさで複雑な感じ。いや、素晴らしいことなので素直に嬉しいんですけれども。

世界観やキャラクターの作りこみと、その作りこみと同じくらいの余白。言い換えるなら、受け手を引き込むクオリティと、受け手を巻き込む余地。このバランスが素晴らしい。

ガンナガンは同人発でしたが、企業になってくるとそれなりに狙っているもの出てきます。ゲームマーケット 2020秋でそれを一番感じたのが「この天才科学者が首席になれないとでもいうんですか?」ですね。

そしてこれをIPと呼ぶかは若干検討の余地はあるんですが、最も勢いがあると言えば間違いなくアークライトさんの怪獣シリーズ。

僕がアークライトの中の人だったら、そろそろこのシリーズを同人に解放します。「どうぞKAIJUの世界観で自由にゲームを作ってください」ってしちゃう。だってみんな作りたくないですか、Kaiju on the Earth。同人のみんなが作るKaiju on the Earthって、それこそ二次創作そのものじゃないですか。

ゲームマーケットで頒布されるKaiju on the Earth 同人作品の数々。二次創作の数はパワーです。数はパワー。大事なことなので二度言いました。その光景を作り出すこそが、Kaijuシリーズというコンテンツのひとつの到達点じゃないかと思うんです。

有名なIPをボードゲームにする、というのは増えてきました。あまり珍しいことでもなくなってきた。そうじゃないんです。「あなたのコンテンツでボードゲームを作らせてください」ではなく、「あなたのボードゲームでコンテンツを作らせてください」と言わせたいんです。

これからそんな波がきっとくるであろうことを信じて、そして自分もその波の中で、可能であればなるべく前の方にいられるよう、頑張りたいなと思っているゲムマ翌日の夜でした。

これはゲームデザイナーに向けた言葉じゃないですよ。ゲームそのものは作れなくても、仕掛けは作ることができます。プロデューサーがデザイナーである必要はないんですから。良いプロダクトは良いチームから生まれる、です。

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