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『えんとつ町のプペル』ボードゲームは何を間違えてしまったのか

パクりじゃないかと騒がれているこの件から、思ったことを簡潔にまとめます。個人の主観に基づく見解ですのであしからず。

何があったのか

こちらを参照いただけますとよろしいかと。

既存の良作を参考にすること自体は悪ではない

これはみなさん同意かと思います。

知ってか知らずか他作品から影響を受けることなんていくらでもあるし、系譜を受け継ぎつつ研鑽を重ねてより良いものを生み出すことは正しいとさえ思います。

何が問題だったのか

何を参考にしたとか、どれくらい似てるとかは個人的にはどうでもいいことだと思ってます。それよりもなぜこんなことが起きてしまったのか、その理由の方が大事。
そして僕は、単純に制作プロセスに問題があったのではないかなと見ています。

僕も最近は自作ボードゲームの企画を進めているところなのですが、その中で感じたことがあります。

制作プロセスでまず最初に置くべきは、表現したい世界観、もしくは実現させたいゲームシステム、のいずれかです。最終的にはシステムと世界観はマッチングする必要がありますが、出だしとしてはどちらかではないでしょうか。

世界観先行の場合、その世界観を正しく表現するにはどんなシステムが良いかを考えます。これは弊社宮崎もデスノート人狼を作る時に触れており、まったくその通りです。

件の作品は世界観とシステムがマッチングしていないがゆえに違和感が際立ち、「パクりではないか……?」という意見が出たのではないでしょうか。

マッチングしたシステムであれば、「参考にしたのかな」で済んだ可能性もあります。これは事実がどうとかではなく、印象の問題です。チグハグだからこそ、パクったゲームを無理やりくっつけた疑惑が出てしまうということです。

ちなみに世界観とシステムがマッチングしていないと判断したのは、説明書にそのあたりのフレーバーがまったく記載されていないからです。ゴールってその世界におけるなんなの……なんで叫ぶ必要があるの……?(原作未読につき、原作知ってたら納得ということであればすいません。それでもフレーバーの記載はあったほうが良いと思いますが……。)

こうあってほしいプロセス

システムを思いつきはしたが、何かが足りない。あるいは洗練されてない気がする。これを解消するために他の作品を参考に、チューニングやブラッシュアップするのは正しいプロセスです。

ところが最初から参考としたゲームがあり、それと違いをだすためだけに後付けで独自システムを入れたのなら、それはプロセスとして歪ではないかと思うのです。

プロセス以外の問題点

ちなみに遊んだことがないので実際にその作品がパクりかどうかは知りません。独自要素が入っている以上、遊んでみたら体験が全然違うじゃんということもありえますし、そうであれば制作側も安易に値下げなどせずに、もっと自信をもって世間に伝えるべきです。

なのでこれからゲームを制作する方々は、ぜひとも今回の件で委縮しないでほしいなと思います。何を体験してほしいのかが自分の中で明確で、そこにユニークさがあるのであれば、自信を持って堂々と販売しましょう。最初は似てると言われても、遊んで違ければみんな正しく評価してくれます。

体験から何からまったく同じだと言われることがあっても、意図してなかったことであれば反省だけすればいいんです。遊ぶ価値がないと判断されるなら、売上として結果がでますから。それをいきなり値下げしてしまうようなら、買ってもらう価値がないと自ら表明してるようなものです。じゃあそもそもどんな思いでそれ作ったの、という……。

ひとりごと

ソシャゲ業界の(もちろん全部がそうではないです)他社の良作をまずパクるみたいな習慣が、クリエイティブの常套手段ではない(むしろヤバイ)ということに改めて冷静に気付かされました。

追記

Twitterの反応見てたら、「値下げ対応は悪手。元ネタのハイパーロボットと同じ内容で安価なら、何も知らないお客さんはこっちを買うだろう。邪悪な手口で類似品を出回らせるのはやめて欲しい」(意訳)みたいな意見があり、正論すぎました。

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