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かかとの話2

強くものを押す時や急な上り坂を上る時は、かかとを踏むと強く押せるし滑りにくいですよといった話を以前書きました。今回はその理由について書きたいと思います。


かかとの位置と重心・荷重点のイメージ図

とても分かりにくい絵ですみません。なんせ高校のときの美術は1で、危うく留年しかけたくらい壊滅的な絵心です。かといってイメージに適した画像を作る知識も持ち合わせてないのでご了承ください。

通常静止時の立位では、重心に対してつま先とかかとの2点を荷重点として体が倒れないように支えています。なんで2点なの3点じゃないの?といった声も聞こえてきますが、その辺りも追々書いていきたいと思いますので、今回はとりあえずそういうことで、

静止時:重心(青線)を前後の2点で支えている

かかとを踏むイメージがつきにくい方は、つま先を上げる背屈という動きの方がイメージしやすいかもしれません。つま先のつっかえ棒を外す、つま先のブレーキを外すといった方がイメージしやすい方もいます。足底の感覚が良くなってくると、つま先が軽くなりかかとが重くなるのを感じることができます。

足の裏が地面に固定したままこの背屈を行うと、脛骨は前方に傾きます。重心に対して荷重点が後方に来るので、重心は前方に移動し股関節は伸展します。

かかとに荷重することで重心が前方に移動

そしてもうひとつ重要な仕組みとして、足底のメカノレセプターがあります。メカノレセプターとは固有感覚受容器ともいい、路面の凹凸や起伏、圧力、関節の角度などを感じ取るセンサーのことを言います。かかとに荷重がかかるということは、前から押されたり、上り坂など体の前方から後方に向け力が加わった時です。これをメカノレセプターが感知すると、この力に抵抗しようと、全身の伸展系の筋群にスイッチが入ります。

以上が前方へ強い力を発揮するために、つま先で蹴るよりかかとを踏んだ方がよい理由となります。

足もみを生業にして約15年たちますが、手や首・肩・腰などを痛めたことは一度もありません。それもこの技術のおかげだと思います。力任せにやっていては相手も無意味に痛いだけだし、なにより施術者の体がもちません。

この技術は日常生活はもちろん、ブラジリアン柔術のトップポジションでプレッシャーをかける際にも使えます。反対につま先で蹴ろうとすると腰が引けてしまいプレッシャーが弱まったり、相手にのりすぎてしまいます。

ボトムポジションからも使えます。特にブリッジで腰が痛くなってしまう方におすすめです。かかとを強く踏むようにしてブリッジをすると、ハムストリングスが働き腰椎の伸展が起きにくくなります。かわりに胸椎が伸展しやすくなり、ブリッジに高さが出たり相手を強く押す力が発揮されやすくなります。ベンチプレスのレッグドライブの動きですね。

以上、かかとを踏むと強く押せる・前に進める理由の解説となります。当然かかとがあればつま先の話もあるし、足の内側や外側に乗ると体はどう動くのとか、そもそもつま先やかかとに正しく乗れていない方がとても多くいらっしゃるので、その辺りも追々時間を見つけて書いていこうと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。




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