世界経済 後退懸念

世界景気の不透明感が増している。米欧は夏から冬にかけ景気後退する可能性が高まる。インフレ対応で経済を冷ますための米欧の利上げのひずみで米地銀が破綻するなど、金融不安リスクが広がる。深刻なマイナス成長の回避に向け、軟着陸できるか正念場を迎える。
主要国の2023年1〜3月期の国内総生産(GDP)が17日出そろった。日本は実質で前期比年率1.6%増と市場予想を上回った。個人消費が全体を押し上げたが輸出は前期比4.2%減に落ち込んだ。背景には米欧の成長の鈍さがある。

インフレ緩和の様相は金融政策にも垣間見える。欧州中央銀行(ECB)は今後も追加利上げに踏み切る見通しだが、米連邦準備理事会(FRB)高官の中には利上げ停止の主張も聞かれる。米欧利上げが最終局面に近づくとの見方もある。一方で世界で進む金融引き締めが危機の芽となっている可能性がある。

コロナ禍の金融緩和で膨らむ債務も市場は注視する。スウェーデンの不動産会社SBBは信用格付け引き下げを受け、8日以降、株価が約4割下落。市況悪化と債務問題が負の循環に陥れば銀行にも飛び火しかねない。先進国の利上げは世界のマネーを収縮させ、アルゼンチンやトルコなどの通貨安を通じ、危機を起こす懸念がある。ゼロコロナ政策の解除で復調する中国経済も、過剰債務が指摘される不動産部門がアキレス腱(けん)だ。中国工商銀行など4大銀行の22年末時点の不動産業界向けの不良債権の残高は前年比6割増え、直近10年で過去最大となった。

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