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12月29日出勤 #3

今日が年内最後の出勤だ。

めちゃくちゃ寒いわけでもなく、かといって変に暖かすぎない理想的な冬の天気だった。

自転車で勤務地へ行く際中、大きなショッピングモールに向かう車の列を横目に、スイスイ追い抜いていく優越感がたまらなかった。

「自分、小回り効くのでお先に失礼します~」

と心の中で調子に乗りながらペダルを漕いでいた。

お店に着いてみると、昨日とは打って変わって大変にぎやかな店内で驚いた。

1日違うだけでここまで変わるのか。

きっと昨日仕事納めだったお客様が多いのだろう。

中には受験生であろう学生の姿も見え、心の中で応援しながら働いていた。


何事もなく平和に働いていたが、働き始めて2時間ほどたった頃、外国人男性のお客様がご来店された。

あまり外国人のお客様はいらっしゃらないので「英語しか話せなかったらどうしよう」と勝手に不安になっていたが、とても流ちょうな日本語でオーダーしてくださりホッとした。

その方は颯爽とコーヒーを受けとり、店内の真ん中にある大テーブルに掛けられた。

席にはすでに日本人女性が二人掛けられており、3人で楽しそうに談笑されていた。

ただ一点、気になることが。

その席からキッチンまで割と距離があるが、その外国人のお客様の声だけやたら大きく聞こえる。
日本人女性の声は全く聞こえないのに。

実は僕が働いている店は本屋の一角にあり、店内は静かに過ごされるお客様がほとんどだ。

そういった状況が故に、その方の流ちょうな日本語はまるでスピーカーを通しているかのように店内に大きく響いていた。

普段だったら

「お客様、申し訳ございません。静かに過ごされているお客様が多いので、もう少し声のボリュームを落としていただけると大変助かります。」

と伝えることができる。

しかし、相手は外国人のお客様だ。

もし注意した結果、差別と捉えられたらどうしようと不安がよぎった。

「なぜワタシだけ注意するの。別にカフェだから話しても問題ナイジャナイ。私が外国人だからデスカ?」

そんな言葉が僕の頭に浮かんでしまった。

見た感じ気さくな方に見えるが、何を言われるかは注意してみないと分からない。

逆上されて、「差別主義者がいる店だ」と言われるかもしれないなどと、どんどん僕の妄想は膨らんでいき、結局注意できなかった。

もし周りに座られていたお客様で、注意してほしいと思っている方がいたのなら、本当に申し訳ないことをしたと思う。

僕は保身に走りました。

今の時代、SNSに一度晒されてしまうと、簡単に人生が終わってしまう。

本当は大したことない話なのに。

もし、逆上されてカメラを向けられたとしても、堂々と事の顛末を説明すればいいだけ。

だけど、そんな面倒くさい未来が生まれる可能性があるのなら、何も行動を起こさない方がマシだ。

僕は本当に情けない奴だよ。

こんなモヤモヤした日が年内最後の出勤だなんて。

まあ、チキンの自分らしいけどね。

筋トレして鶏肉ばっかり食べてるからこうなっちまったのか。

もっと堂々とした人間になるためには熊肉とか食べればいいのかな?

はぁ

くだらない話を広げても仕方ないので、今日はこの辺で。

皆さん、そして僕、1年間お仕事お疲れさまでした。

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