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あなた、死ぬまで女なんだから綺麗にしなさい

Tさんは、1番最初にお付き合いが始まった施設の最初からのお客様。

一昨年、99歳でご逝去された。

初回のケアは12年前。今でもしっかり覚えてる。

爪甲鉤弯症(そうこうこうわんしょう)という変形爪で、爪に厚みが出ていて、皮膚に食い込み、靴を履くにも痛みがあった。

当時、まだ技術が未熟だったので1時間くらい大汗をかいて何とか、痛みが緩和するまでに仕上げた。

長いこと悩んでいたことが解消したことで、大きく信頼を寄せてくれて「一生、足の爪は任せる」と言ってもらった。

間に施設が変わることもあったのだけど、転居先の施設でも呼んでくれて約束通り、施術を続けて下さった。

転居先の施設でクチコミしてくれて、訪問先が増えるきっかけもプレゼントしてもらったなあ。

綺麗な淡い色の藤色やピンクのニットがとても似合っていて、いつも綺麗にお化粧していた。

「いつも綺麗にお化粧していてスゴいですよね」というと、これは「身だしなみよ。」と、さらっと返される。

私なんて休みの日は、化粧もしなければ着る物もひどいもんです。って話をしたらタイトルのお言葉。

「あなた、死ぬまで女なんだから、綺麗にしなさい。」

ズキっと反省・・・いつでも、どんな時でも緊張感をもって、、身だしなみを整えるのは女性でも男性でも大切。

特に、いわゆるイイ歳になれば尚更、大事なところ。

マスクでほとんど顔が隠れるからって、化粧を手抜きしていたらダメだわ。

実は内緒のハナシ

私はお客様の恋愛の話を聴くのが大好物。

ご主人との馴れ初めや、初恋の話など、実はドラマや小説のような話を誰でも持ってる。

そんな、とっておきの話を聴くのが大好き。

Tさんも映画になるようなドラマチックな過去をお持ちだった。

墓場まで持っていくと言ってたから、もしかして話をしてくれたのは私だけなのかもしれない。

涙なしでは聞けないような、戦争に翻弄された恋の話だった。

いつも凛々しいTさんらしいエピソード。

墓場まで持っていかれたのだから、私もここまでにしておこう。

私の中では、お客様以上の関係だったと勝手に思っている。

最後の1年くらいはスタッフに担当をバトンタッチしたのだけど、丁寧なケア、お付き合いしてくれた。

おかげで、約束通り最期まで足のケアができたことに感謝。


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