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だって人間だもの、苦手なお客様もいます

高齢者フットケアを始めて12年。いったい何人のお客様と出会ったのだろう?

大好きなお客様や、心に残っているお客様、たくさんいらっしゃいます。

逆に苦手なお客様も、そりゃーいます。だって人間だもん・・・

そんな、苦手なお客様の話です。

フットケアを頑なに拒否

ご自身での歩行はありません。移動は車椅子。90代の女性です。

足爪の変形が、それはひどく痛みもありました。施設のスタッフも家族もフットケアの利用を希望されていました。

しかし、ご本人が納得されず中々、ケアをさせてもらえません。

お気に入りのスタッフが説得してくれて、何とかフットケアをできたことがありました。1度のケアで、足爪が原因の痛みは改善したので、これでフットケアの利用を納得してくれるはず!!

・・・と期待をしたものの、次回のケアではあっさり忘れていて、またケアを頑なに拒まれました。

1度喜んでくれたから次も大丈夫と思っていたら撃沈・・・ってことは、ほかのお客様でもアルアルです。

なぜ、そんなに嫌なのか?

私の想像です。もともと看護師のお客様でした、それもかなり責任がある役職だったようです。90代で大卒で看護師です。年齢を考えても大卒って珍しいです。

仕事にプライドを持って頑張って、患者さんのために尽くしてきた人生だったのでしょう。

それが今は周りに、ケアをしてもらう立場。その状況に納得がいかなかったのではなかったのでしょうか?

さらに爪切りをしてもらうなんて、たとえ足の爪でもプライドが許さず拒んでいたのではないかな?

フットケアをただの爪切り。ケアとも言えないと思ったのかもしれません。

頭が良い上に、頑固なので一度嫌だと言われたら引き下がるしかありません。

足の状態を心配しつつ、施設の看護師さんやケアマネと連携を取りながら声かけだけは続けました。

コロナ感染予防で中断

2020年4月、神奈川県で最初の緊急事態宣言が発令したことに伴い、9割の訪問先でサービスの中断となりました。

こちらの施設も同様、再開は11月でした。中断期間7ヶ月。

再開時のご利用者の名簿を受け取り、上記のお客様のお名前があることを確認。

さすがに7ヶ月ぶり。足の状態が心配です。どんなに拒まれてもケアしたい。

苦手なお客様は、どうしても順番が最後になりがちなのが私の悪いところ。

何度もお断りされてきたとはいえ、やはりその都度ガックリします。こればかりは慣れません。心の準備が必要なので、なんとなく後半になりがちです。

確かこの日も午後の遅い順番に訪室しました。

他のお客様と同様につとめて明るく、お久しぶりの再会を喜んでいることを伝えました。

その後にフットケアをする旨を伝えると…

あら?別人かしら?

久しぶりのお断りに説得するセリフも考え、なんなら強行に足の確認だけでもしようと決めてました!

それなのに…

なんと言うことでしょう。

ベッドでニコニコの笑顔。フットケアすることを伝えると、お願いします。と、すんなりオッケー。

拍子抜けしつつ、施術を終えてご挨拶をすると「ありがとう」まで、頂きました。初めてです。

その後、昨年11月から先月4月までの半年、一度もお断りされることなく順調にケアに入ってます。

毎回、ニコニコと嬉しそうにケアを受けてくれています。

一体、彼女に何があったのでしょう?私には分かりません。

でも、嬉しい。今までのことはすっかり忘れて、むしろ愛おしくなるから不思議です。

もちろん。今では苦手なお客様リストからは外れています。




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