舞台「EQUAL」を観ての感想(ネタバレ有)

 まず私は舞台をほとんど見たことがなく、小学生の頃に学校の活動で「裸の王様」を観たのが最初で最後だった人間です。全くの舞台素人が書いていることを踏まえ、的外れなことを書いていても決して怒らない、やさしい気持ちで読んでいただけるとめちゃ好きです。


 2月9日、19時30分開場のEQUALを観た。この日のチケットを取ったのは、ひとえに私がセクシー山賊と名高いNU'ESTのベクホさんが好きだからだ。ナイス筋肉、ナイスSMILE。この時分であるからオンラインでの観覧だったが、舞台初心者の私にはハードルが低く、もってこいの視聴方法だった。

 始まってみると多くのことが新鮮で、まず定点1つだと思っていたカメラがいくつもあり、まるで映画のように表情や場面を切り抜くことにも驚いたし、音楽がイマドキ(舞台=クラシックだと思いこんでいた)なことにも驚いた。光の演出も「こんなことができるんだ!」と思うほど多様で、なんだか途中から驚きを通り越してビビッていた。こんなに面白いエンターテインメントを見過ごしていたのかと結構ガチで震えた。今の舞台、こんなにおもしろいの?眠くなんないの??技術すご!!!

 そしてお目当てのベクホさん、なんだか私は多分ファンだからこそ彼にあまり期待しないよう気を付け、そうして彼を好きな気持ちに保険をかけていたことに気づいた。ミュージカルを見て猛省した。ごめんな、演技すごかった、歌もすごくすんごく良かった。期待以上とかそんなレベルじゃなく、ベクホを観ていたはずがテオを観ていた。テオの明るくて純粋で……という性格が本当にそのまんまベクホさんで、笑顔もいつもどおりのニッコニコで「わぁ本当にハマり役だな」と思っていたのだけど、途中からはテオになっていた。テオが叫び苦しみ傷付いてもがくところは「初めて見るベクホの姿」ではなく「テオの痛み」として見入ってしまった。精神が壊れそうな人を実際に見たことはないけど、終わりが近づいていることがすごく伝わってきた。観客の経験の有無に頼らず、誰にでも同じ空想を伝えてしまえる演技、すごいなぁ。でも不思議なことに、エンディングのテオは少しベクホだった。ベクホの人生とラストの嵐を乗り切ったテオの穏やかな顔が重なってちょっと泣いた。私はオタクです。

 ほんでジェファンさん!すごい!!神経質そうで繊細そうな雰囲気が、声が、話し方が、全てがニコラだった、ニコラが生きていた。歌がすごく上手だと聞いていてワクワクしたのだが、本当に、音程が合っているだとか高音が出るだとかそんなものではなく、感情が、思いがダイレクトにアタックしてくるような、繊細で強い歌声だった。画面越しでも圧倒されたけど、是非生で聞いてみたくなる声。最初は謎で不穏な男だなぁと思っていたが、途中からは気持ちが痛いほど伝わってきて、最後に救い救われたときは長年の親友が幸せになったときのような気持ちになった。良かったねニコラ、テオ。


 全体を通して、舞台ってこんなに感情が動くんだ……!と感動した。演技力や演出などもあると思うが、特にたった二人の俳優、一つのセットというシンプルさが、見ていないものが本当か知る由もない、ただ自分の視点で進行していく、現実の人生を観ているかのように感じさせたのだと思った。二人の感情が絡まり、ぶつかり、ものすごい熱量だった。ずっと熱くて、物語が生きている感じがした。理想を求めるニコラが徐々に怒りや執着を強め、違和感を覚えるほどに底抜けな明るさをもつテオが次第に自分やニコラに対しての疑念を強めていく様がある種美しいと思った。作られたキャラクターが人間になっていく美しさだと思った。山を越え、新たな経験をした二人は、きっと初代のニコラとテオとは違う、新たな二人としての関係を築いていくのだろう。個人的に「EQUAL」は「ニコラ=テオ」という意味でもあり、「初代ニコラ・テオ=今のニコラ・テオ」という意味でもあると解釈した。そして二人がこの2つのEQUALから抜け出して、誰でもない新たな人として、新たな二人の関係を生きていく物語だと考えた。他の回は観れていないが、今回のジェファン&ベクホペアでは、大きな化学反応が起こっていたように思う。舞台は一回一回こんな爆発が起こるのかな?初心者すぎて分からないが、そんな気がする。あと、ミュージカル俳優らしくボリュームを絞っても力強いジェファンさんの声と、ベクホさんの優しく少し高めな声が合わさるのが心地よかった。CDが欲しい。一回しか見ていないのにロスに陥りそう。


 EQUAL、すごく良かったです。舞台ってすごいなぁ〜〜〜!!!!また他の舞台も観てみてみよう。

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