[東大英語対策#1]東大英語の時間配分について

東大英語の時間配分について、具体的に記します。なお、東大英語の本質の一つは「傾向が定期的に変わること」です。この記事に載せている時間配分は、2018年度から2023年度にかけて定着しつつある現形式についてのものであることに留意ください。

・実力証明について


受験の具体的な話をするとき、必要なのは「今ソイツが強いのか」です。いくら昔東大英語で105点を取っても、それが1970年代の話なら通用しない可能性は高いし、ジジイの武勇伝は勝負の世界では参考になりません。というわけで、自分の得点を書いておきます。信用するかしないかは、これを見て決めてください

東大英語(本試験)の俺の得点
72(2014)→93(2015)→96(2016)→93(2017)→93(2018)→77(2019離散一回目合格)→89(2022)→96(2023)

(注 この中では2018が一番大きく傾向変化している。次に大きい変化が2016)

以下、時間配分の具体的な説明です。まずオススメのものを紹介します。これは、ほとんどの受験生(離散受験生含む)向けのものです。一番得点が安定する可能性が高く、やりやすいものを書いています。
もう一つは、俺がどうしているか、です。これもある意味では参考になるとは思いますが、目標が万人向けではないので、普通に合格したい人は最初のだけでよいと思います。(むしろ一部参考にしない方がよい部分がある)


・一般向けの時間配分(目標得点90点)


とりあえず英語で90点を取れば、離散含むすべての科類で、「英語で落ちた」ということはないはずです。なので90点で良いという人向けに、安定しやすいものをまず紹介します。結構真似しやすいと思います。俺も、普通の受験生時代(5浪まで)はこれでした。

試験開始と共に、4Bのところまで問題冊子をペラペラ開いていく。この時に、自由英作文のお題が絶対に目に入るはず(2番が4より前だから)なので、それを見て、頭の片隅(脳の1割くらい)でずっと英作文で何書くかを考える。

4B(9分~13分) 4Bをやる。文章は普通に読むが、1Aや1Bほど読解の精度はいらないので、文章読むのは軽めでOK

2(10分~13分) 英作文やる。この時に、今まででどれくらい脳内で英作文考えれたかが活きる。

1A(12~15分)要約。文章はしっかり読む。下書き用紙も使った方が良いとは思う(字数が少なく推敲しなければ情報を詰められないから。けど絶対に使え!とは言わない、ギリギリ選択の自由の範疇かと思う)

ここでリスニングまでの残り時間で場合分けをする。リスニングまで5分近辺しかない場合、3の下読みへ。そうでないなら4Aを解く。以下、時間に余裕がありうまく行った想定で書く。

4A途中まで(5~10分):文法を、途中で終わってもいいや、というつもりでやる。4Bと同じく読解問題ではないので、文章を精読する必要はないが、第一段落だけはある程度読んで、最低限、何についての文章かは把握する(内容で消す場合があるので)

3下読み(5分):下読みをする。下読みは、何を読み、何を読まないかが大切。
設問文は全て読み、カンタンな和訳を近くに書くといいと思う。疑問詞にはマルをつけて短い時間中でも思い出しやすくする(WhatやWhyに〇つけるってこと)
選択肢は現環境(2018以降の形式)だと5×15=75個もあるし、結構長いので全部読んでる時間はないはず。でも、全部読まないのもリスキー。つまり、選択が大切になる。以下のように読むのがおススメ。

・選択肢に共通する構造がある場合、そこに/記号をつける。(これは共通テスト現代文でも有効)(例えば、He thinks that…の出だしが全て同じならそこにスラッシュ記号。あと、近くに「彼の考え!」とかメモると思い出しやすい)

・選択肢を眺めて数値が問題のポイントと判断できる場合、その設問だけは全ての選択肢を読んで、何の数字が放送されるのか、予想をつけ可能なら覚える。(数字は、文章の全体がわかれば答えられる内容一致とは異なり、細かく聞かなければ普通は忘れやすいから。スペースシャトルの話をしていたことは覚えられても、それの時速が200万キロか300万キロかどっちだったかは覚えづらいだろう)

3(30分):リスニング。これは個人の自由の範囲かもしれないが、聞きながら問題を解くのは、頭の中がゴチャゴチャしそうで聴く精度が下がる人が多そうだから俺はオススメしない。

また、できたら、放送が一回で完全に分かった時とか、下読みができてヒマな時は、4Aを同時進行でやるといいと思う。リスニング中に読解が必要なものをやるのは危ないけど、一番4Aがそういう力が不要だから。1問、2問進めるだけでもだいぶ違う。ここで同時進行できるかで、結構変わる。

リスニングが終わった時に4Aが終わっているのが理想だけど、残っていたら、5分だけ4Aにかける決意をして、5分がきたら切り上げる。

5(24分~27分)やる。最初に、最後の方の内容一致の問題の選択肢に目を通して、だいたい何の話なのか、小説なら登場人物が誰かは把握してから読んだ方が読むスピードが上がる。これは、東大英語だけではなく、選択肢が付いている「外国語科目」(古文漢文英語)なら全て有効なアドバイス。

1B(残り時間全て) やる。具体的なやり方はこちらの動画(https://youtu.be/9MsD9b2z37E)をみてください。最初に選択肢を見て〇付けるとか、色々やることはある。

1Bは、全部文章を読んでから設問を解くべき。これは「個人の選択の自由」ではない。そうしろ。「そうしなくてもボクはできますよ」という人は、難しい問題で痛い目を見たことがないのだと思う。2013,2015などの高難易度の1Bでも、東大模試のすべての1Bでも、そのやり方で12分以内でできるのなら、キミには才能があるのだと思う。だからそれを貫けばいい。(これは皮肉とかじゃなくて実際そうならそうしてほしいということ)でも難しくなるとできなかったり時間がかかるのなら、大人しく俺の言うようにした方がいいよ。


・この時間配分の理由について


実際に俺はこれで点数を安定させたし、勝負の世界は経験が全てだと思うから方法を知るだけでいいとは思うけど、一応、どうしてこのやり方をしているかの理屈を説明します。経験則を受け入れられない人・理屈を知って他の分野に応用してみたい人向けの説明です。

・試験時間序盤の人間の精神状態について(前提):まず、試験時間序盤、受験生は「とにかく答えを出したい!」と思いがちです。これは仕方ない。ここで大事なのは、心理的には、「答えを出したい!」としか思っていなくて、「正答を出す」意識が薄れがちなことです。つまり、結論が見えたと思うと、飛びつきやすい。頭では、正しい答えでないと評価されないとわかっているのに、とりあえず出せた答えらしきものに流されてしまう。(数学でいうと、楕円を円に直した後は、元の倍率に戻さないといけないけど、そういう最後の一作業みたいなのを忘れて直近に出た答えに飛びつきがち。)

だから、試験時間序盤に、頭をフル回転させるような設問・飛躍があると減点対象になるような設問はやらない方が良い。
英語でいえば1Aと1B、数学でいえば証明問題がそれにあたります。
4Bを最初にやる理由の一つ目が、これです。和訳は良くも悪くも、点数の振れ幅が少ない。答えに飛びついても、落とす点数はタカが知れている。

また、一番最初に解いた問題の手ごたえが芳しくないと(難しかったり時間がかかったりすると)、それ以降ずっと慌てた状態が続きます。これもこれで危ない。だから、試験時間の最初に難問が多い分野や時間がかかりやすい設問は解かない方がよい。英語でいうと、難問が多いのは1Aと4A、時間がかかりやすいのは5、数学でいうと整数・確率が難問が多い(正確には、難しい時の難易度が限界突破しやすい)方に、積分が時間かかる方に該当。
この点でも、難易度がほぼ一定で、小問も3つしかない4Bを、最初に解くべきです。

・1Aを中盤付近におく理由について:1Aをここに置いてあるのは、
①4Bと2で稼いだ得点という安心感があり、焦りとかから誤読するリスクを減らせる
②推敲が必要だから

の2つです。②について解説します。推敲が必要なものは、中盤あたりで取り掛からないとリターンが薄い。というのも、推敲はすればするほど得点が上がるのに、それを例えば最後にやってしまうと、急ぎ足で答案を書くことになってしまい、推敲で伸ばせる点を取れなくなるからです。

1Aは一番、推敲が必要な問題です。だからこそ、「時間的にも精神的にも余裕があり」「推敲も結構できる」序盤中盤でやるべきだと考え、1Aをここに配置します。


・俺がどうしているか


次に、今(2023 5月)の俺がどうしているかです。具体的には、100点以上を目指すものです。(これから改良される可能性はある)

いくつかマネしない方が良い部分があります。具体的には、最初の解きかたは、安定性では優れているのだけど、そのぶん得点の上限が抑え気味になっている。それを、安定性を多少捨てて、得点の上限を追求する(つもりの)ものです。その意味で、安定性の観点から、マネしない方が良い部分・普通の練習量では真似できない部分がいくつかあります。(ただし同じ部分はコピペor記述を省略します)


試験開始と共に、4Bのところまで問題冊子をペラペラ開いていく。この時に、自由英作文のお題が絶対に目に入るはず(2番が4より前だから)なので、それを見て、頭の片隅(脳の1割くらい)でずっと英作文で何書くかを考える。

4B(7分~9分) 4Bをやる。下線部だけを見て、文脈判断が必要そうな部分があるか判断。あるなら、2分だけ文章を読む。(マーキングはしない)ないのなら、第一段落だけ読んで、あとは設問をいきなり解く。(これはマネしない方が良い。文脈判断が必要か必要でないかの判断は、大学受験の和訳問題をかなり解いて、出題者の意図に詳しくないとできないから、普通の受験生がやるのはリスクが高すぎる。)

4A(10~12分)文法。ここに4Aを配置するのも、あまりマネしない方がいい。俺にとっては4Aも満点を取らなければいけない問題なので、冷静に考えられるこの時間帯に配置しているけど、普通の人は離散志望でも4Aは捨て問題だから、英作文を解いて得点を確保しにいくべき。(ただ90点取るならやっぱり解くべきではあるので、最初の解きかたでも最後には配置していない。ただ、リスニング中に片手間にやっても良いと思うということ。)

1B(13~16分)1B。ここに1Bを配置するのは、全然アリな気はする。理由としては冷静に考えられることができるから。

1A下書きまで(5~10分):1Aを、読解と下書きの完成まで終える。ここまでの難易度が低いと清書まで終わることもある。

3下読み(5分):下読みをする。下読みは、何を読み、何を読まないかが大切。
設問文は全て読み、カンタンな和訳を近くに書くといいと思う。疑問詞にはマルをつけて短い時間中でも思い出しやすくする(WhatやWhyに〇つけるってこと)
選択肢は現環境(2018以降の形式)だと5×15=75こもあるし、結構長いので全部読んでる時間はないはず。でも、全部読まないのもリスキー。つまり、選択が大切になる。以下のように読むのがおススメ。

・選択肢に共通する構造がある場合、そこに/記号をつける。(これは共通テスト現代文でも有効)(例えば、He thinks that…の出だしが全て同じならそこにスラッシュ記号。あと、近くに「彼の考え!」とかメモると思い出しやすい)

・選択肢を眺めて数値が問題のポイントと判断できる場合、それは全ての選択肢を読んで、何の数字が放送されるのか、予想をつけ可能なら覚える。(数字は、文章の全体がわかれば答えられる内容一致とは異なり、細かく聞かなければ普通は忘れやすいから。スペースシャトルの話をしていたことは覚えられても、それの時速が200万キロか300万キロかどっちだったかは覚えづらいだろう)

3(30分):リスニング。これは個人の自由の範囲かもしれないが、聞きながら選択肢読むのは頭の中がゴチャゴチャしそうで聴く精度が下がりそうだから俺はオススメしない。

また、できたら、放送が一回で完全に分かった時とか、下読みができてヒマな時は、1Aの推敲と清書を同時進行でやる。(ただ普通はリスニング中に精読系をやると頭バグるから、マネしない方がいい。)

5(24分~27分)やる。最初に、最後の方の内容一致の問題の選択肢に目を通して、だいたい何の話なのか、小説なら登場人物が誰かは把握してから読んだ方が読むスピードが上がる。これは、東大英語だけではなく、選択肢が付いている「外国語科目」(古文漢文英語)なら全て有効なアドバイス。

2(10分)やる。まずスピードが普通真似できないと思うので、真似しない方がいいと思う。
ここに置いてある理由はあるから、それは書いておく。
最後の最後にやることで、それまでの読解の文章で表現や単語がたくさん書いてあるから、合法的なカンニングになるのが一点。また、最悪時間がなくて適当になっても、2Bの英訳が少し雑になるだけなので、減点の幅も大きくはならないだろうから。



・やらない方がいい時間配分

最後に一つだけ、よく見るものの中で、やらない方がいい時間配分を指摘する。
「解き順は自由でいいじゃないか」と言う人がいるが、そういう人は、自分の頭が良すぎることに気が付いていないか、人間の脳内というものをわかっていないか、「所詮受験」とバカにしているか、試験場から離れすぎていると思う。

・1Aからやってしまうこと
ハッキリ言って論外。いくら考えても、何もそうする理由がない

まず東大英語の要約は、難しいものが時々出る。それもイヤな難しさで、答案自体は書きやすいのに、落とし穴があってそれを踏み抜くとほぼ0点、というようなものが多い。こういう落とし穴は、さきほど述べた試験時間最初の精神状態ではハマりやすくなる。避けれるなら、避けた方がいい。また、推敲が必要なものを最初に解かない方がいいのも、指摘した通り。

厳しい言い方になるけど、東大英語で1Aから解き始めるような人は、どうせ国語も現代文から解いているし数学も1番から解いているし(1番を解こうと判断した場合は除く)化学も有機から解いているのだろう。

そういう人は、一度冷静に、「例え要約が4番にあっても4番から解くかな?」と自問自答した方がいい。もしそうだと断言できるのなら、仕方ない。(それでも言いたいことは山ほどあるが)

でもそうじゃないなら、頭を使って作戦を考えていないだけである。
作戦を考えず、エラい東大教授に言われた通りの順番で問題を解く。そんなことを続けているのなら、「お勉強」「学問」の才能がある生まれつきの天才たちには一生勝つことはできない。(地頭で差があるのに方法を真似してたら一生生まれの差が埋まらないから。)勝ちたいのなら、ずるがしこく、作戦を工夫し続けろ。マジメに先生の言う通りにしていて評価されるのは学校の通知表だけで、大学受験は君のマジメさなんか見てくれない。


・最後の最後に、高度に推敲が必要なものを持ってくること
これは前者に比べると、危険度は低いが、あまりやらない方がいい。具体的には、1Aと2Aが該当する。(4Bも和訳の日本語の推敲というものは確かにあるが、「高度」とまでは言えないから除外した)

推敲という作業は、やればやるほど点数が上がる。特に1A。1Aは日本語を短くして要素をどれだけ入れられるか勝負という側面があり、この追求は1時間かけても終わることがないレベルである。1Aは、考えるべきことは多い。
そういうものを最後の最後にやってしまうと、肝心の推敲ができなくなってしまう。
もちろん最後にやることで、冷静に考えられるメリットはある。しかし、冷静に考えても、推敲という作業が不要になることはない。推敲だけで2,3点は伸ばせる。それを考えれば、なるべくこういう設問は、時間があるし余裕もある中盤に解くべきだと思う。