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高額の資産を障害のある子どもに相続させるケース

障害者本人は30代男性、60代の母親と同居しています。


きょうだいはいません。


本人は軽度の知的障害者で一般就労で電機メーカーの工場に勤務しており、お金の管理はある程度自分でできています。


母親は夫と離婚していますが、その際に譲り受けた不動産や自分の親からの遺産など相当額の資産があり、自分がなくなったあと、この資産を知的障害のある子どもが安定した生活を営むために確実に使うにはどうしたらいいかと考えています。


子どもは、自分の稼いだお金の範囲で必要な分を使うには問題ありませんが、多額の遺産を相続したあとのことには、不安を感じています。


母親自身はまだまだ心身ともに元気ですが、今のうちに手を打っておきたいところです。


この場合は福祉型信託の遺言代用信託の活用が考えられます。


日常の生活費は母親の年金と子どもの賃金でまかなっていけるので、息子に残す財産については遺言代用信託を利用して信託財産とします。


母親の死後、遺産を一気に息子に渡すのではなく、受託者の管理のもとに決めた月額を定期的に渡していくように設定しておけば、たとえば浪費して遺産がなくなったり、資産に目をつけた誰かにだまされてしまうといったリスクを防げます。


資産が今後の子どもの日常生活に役立つようにしていくというやり方です。


受託者の候補としては、母親の弟(本人にとっての叔父)とは良好な関係で、信頼もおけるので、彼に頼みたいと考えていますが、親族以外にも法律専門家や信託銀行という選択肢もあります。


信託銀行もこのところ民事信託に力を入れてきているので、費用的な問題はありますが検討に値すると思います。

(障害のある子の家族が知っておきたい「親なきあと」渡部伸著)

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