井上あした

事務所ビーラパン所属 役者、脚本、小説

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短編小説「交信を図った」

「だから私は....宇宙人に会いたかっただけなんだって...」 とあるカフェで男女が2人話をしている。男は珈琲を、女はオレンジジュースを飲んでいる。2人とも神妙な面持ちで話をしている。 「だからって…何回言われても納得できるかよそんなの」 「そう言ったってほんとなんだから仕方ないじゃない」 「そんなこと信じれるやつ一体どこにいんだよ。彼女の携帯見たら出会い系のアプリが入ってて、んで他の男から連絡が来てて、なんだこれって聞いたら宇宙人に会いたかった。言い訳するにしてもおかしいだ

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      なぜ飲食店アルバイトを選んだのだろうと時々自分でも不思議に思う。周りを見るとオシャレなアパレルでバイトをしていたり、塾講師や家庭教師で効率よく稼いでいたり。それに比べて飲食店なんて特別給料がいいわけでもないし、汚れるし、特別楽しいわけでもない。 いや、自分だけが楽しめていないだけかもしれない。何せ自分は友人というものを作るのが非常に苦手なのである。このバイト先でもなかなか馴染めず、バイト中淡々と、誰と雑談するという訳でもなく業務に励んでいる。他のアルバイトたちはLINEグル

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        私は遂に惚れ薬を生み出してしまった! 研究を初めて数年、そう!たった数年! 構想を始めたのは小学六年のころ! 「ハカセって勉強できるけどぜんっぜんかっこよくないよね!人の気持ちもわかんないしさ!」 クラスで1番のマドンナに言われたあの日! 幼なじみのあの子に言われたそうあの日!! 君だけは私の味方だと思っていたのに!!! ずっとずっと一人で勉強ばかりしていたためずっとずっと友達のいない僕の隣にいつでもいてくれた君! 「ハカセは将来本物の博士になるんだよ!だからいつもいーっぱい

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