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【実施レポート】あしらせユーザーさんのリアルな声を聴く会 第3回~北海道にお住まいの中途視覚障がいユーザーさんご登壇~

こんにちは。私たちAshiraseは、視覚障がい者向けナビゲーションデバイス「あしらせ」を開発している会社です。いよいよ2024年8月より、あしらせ新モデルを先行予約販売開始する予定です。開始時には改めてお知らせさせていただきます。

今回は、6月末に開催されたオンラインイベント「あしらせユーザーさんのリアルな声を聴く会」のレポートをお届けします。

過去2回、同様のイベントを開催しており、その様子も別記事でまとめています。気になる方は併せてお読みください。
第1回の様子はコチラ。第2回の様子はコチラ

第3回目となる今回のゲストは、北海道にお住まいの山田英雄さん。雪国に住んでいる山田さんならではの課題や、あしらせに対する感想もお伺いしましたので是非ご覧ください。

動画は以下のYoutubeからご覧いただけます。

第3回目ゲスト:山田英雄さん

【山田 英雄さんプロフィール】

・大学時代に網膜色素変性症と判明、現在は光が見えるか見えないかという見え方
・音声、ボイスオーバーなどを利用
・北海道札幌市にお住まいで、仕事は7年前からお1人で開業(マッサージ・針きゅう)

移動手段について

・見えなくなってきた当初は、パームソナー的なものや白杖を使って歩行していた。
・自分が住んでいる周辺地域や職場などの良く行く場所については、周囲の音や方向感覚を頼りに、「ここから何歩歩いたら何があって、その後何歩歩いたら…」というように、歩数を数えながら歩くことができている。
・いくつか歩行支援サービスは併用しており、障害物検知のためにアイナビアプリ、信号の色判定のためにOKOアプリを使用したりしている。あしらせは、行きなれない場所に行く時に良く使用している

あしらせ購入のきっかけ

・最初にあしらせの開発の話を聞いた時に、すぐに「これは試してみたい」と思った。
・以前は、GoogleMapを使ったりしていたが、視覚障がい者向けに作られていないため操作性があまり良くなく、代替を探していた。そのため、開発の話を聞いたタイミングですぐに購入したいと思った。
購入後は、実際に使ってみて「もっとこうしてほしい」と感じた要望をフィードバックさせてもらっている。「お気に入りの地点登録をしたい」とか、「分かりやすい道でルート検索できるようにしてほしい」など、細かい点も含めてこれまで40件ほどフィードバックさせてもらった。

あしらせのご利用やアップデートに関する感想

・ここ最近のアップデートで、位置や方向を捉える測位精度がかなり向上したと思っている
以前は5~10m程度の誤差が出ることが多かったが、今は2~3m程度、良いときは1m程度しか誤差がでなくなった
・振動についても、非常に分かりやすくなった。最初は歩いていると振動が分かりづらかったが、今は音声でも曲がるタイミングを教えてくれるし、曲がるタイミングが近づく頃から振動が始まるので、「もうすぐ曲がるんだな」というのがかなり分かりやすくなった。
・目的地を変更するとかでない限り、歩行中はスマートフォンに触らなくて済むので、充電の減りも少ないのも助かっている。
・音声機能を使用するときは、イヤホンは特に使っていない。視覚障がい者が歩いていることを知ってもらうためにも、スピーカーから直接音を流して使用している。
・フィードバックによって各機能がとても充実してきており、行きなれてない場所に行く時でもあしらせがあれば問題なく到着することが出来ると感じている

冬にあしらせを装着している靴

・装着できる靴についても、くるぶしよりも少し上くらいの靴であれば装着できるので、冬でも使うことが出来ている。
・雪がかなり積もっている時は、くるぶし上くらいの靴の上からカバーを被せておけば問題なく使うことができる。

イベント後日、雪が降る時期にあしらせを装着してお出かけされている靴を知りたいと多くのご要望をいただきました。ユーザーさんが冬の時期にお使いの靴をご許可をいただき2つ載せております。冬靴を購入される際には、靴屋さんにあしらせもご持参いただき装着ができるかなど試されることをおすすめします。

足元までカバーするトレッキングシューズ
足元までのスノートレッキングシューズ
外側に少し切れ目があるのであしらせが取り付けしやすいとのこと。
側面に割れ目があるスノーブーツ。割れ目にあしらせが装着されている。
側面に割れ目がある長いスノーブーツ
やや後ろ側が余ってしまうので少しあしらせの取り付けや使用には難点があるとのこと。


あしらせの機能
お気に入り①マイルート機能

・マイルート機能は非常に精度が高く、使用させてもらっている。
・一度歩いたルートをレコーディングして登録できる機能。実際に歩くときは少しフラフラしたり戻ってしまったりすることもあって、登録された道が直線のルートにならないことがあった。
・記録したルートで修正したいところをAshiraseにお願いすればちゃんと修正してくれるため、先ほど述べた測位精度の向上も相まってとても精度の高いものになった。

お気に入り②アイコサポートとの連携

・月10分間だけ利用できるものだが、試してみてとてもよかった。
・自分が試した時にはオペレーターに繋がるまでには10~15秒程度かかったが、行きたかったファストフード店にしっかり到着できているか確認するために使用した。通話時間は1~2分程度で終わった。
初めて行く場所や行きなれてない場所に行く時などは、やはり目的地についても入口が分からないことがある。そんな時にアイコサポートがあると、保険のような感じで安心感がある

お気に入り③AIおすすめ検索

・かなり利用している。この間旅行に行った時にも使わせてもらった。
・旅行の時など、その辺りにどんなお店があるのか全く分からない。その時に「○○(地域名) レストラン」のように検索すると上位3つくらいがまず提示される。
とても良いのが、営業日や営業時間、おすすめの料理、今の場所からの距離などが要約されて出てくること。なので、事前に計画を立てるときに利用して、「いいな」と思った場所をお気に入り登録しておくと、実際行きたいと思ったときにすぐ呼び出すことができるので、とても良い。

お気に入り④AI画像認識機能

・Be My Eyesと似たような機能だが、大きな違いは「ボリュームボタンでカメラのシャッターを切ることが出来ること」だと感じている。
・be My Eyesだとスマートフォンの画面をタップして写真を撮るのだが、雨などで画面や手元が濡れていたり手袋をしていたりすると、うまく反応しないということを懸念している。
・あしらせはボリュームボタンでシャッターを切れるので、使いやすさという点でとても優れていると感じる。画面をタップする操作する機会がかなり少ないので、使いやすいなと感じている
・使用場面としては色々あるが、例えばコンビニのおにぎりの種類や賞味期限を調べたりすることができるようになった。
・写真を撮った後に、この画像を解析するのかもう一度写真を撮りなおすか選ぶのだが、そこは人によって選ぶことができるともっと良いと思っている。できたばかりの機能なので、改善されていくことを期待している。

参加者の方から頂いた質問

ここからは、事前やイベント中に参加者の方から頂いた質問に対して、山田さんや弊社の香山が回答している様子をお届けさせていただきます。

質問1.初めてのところに1人で行く時にどのような準備をしていますか?

山田さん:あまり1人で初めてのところに行くことは多くないですが、例えば旅行に行く時には事前に旅行先の観光協会に連絡をして、地図やパンフレットを事前に手配して、晴眼者の方と計画を立てながらあしらせにお気に入り登録する、などはしています。
本当は航空券などの公共交通機関の予約などもあしらせから全部できたりすると嬉しいなと思っています。

質問2.目的地検索の際に、略称や通称名でも可能ですか?

山田さん:曖昧な検索でも全く問題ないです。
あしらせスタッフ香山:例えば、「近くのファミマ」とか「近くの吉牛」とかでも問題なく検索できます。

質問3.ゴミステーションなど目印がないところでも検索することは可能ですか?

あしらせスタッフ香山:現在地登録という機能があるので、それを使えば対応することが可能です。職場を登録したり、役所などの大きな施設でも特定の入り口を登録することができるので、そういった用途で使っているユーザーが多いです。

質問4.山田さんが使用しているスマホの機種名は?

山田さん:現在はiPhone15Proを使用しています。

質問5.GPSの精度はどれくらいですか?

あしらせスタッフ香山:通常時は1~2m程度の誤差で使用することが出来ます。ただし、高いビルが近くにあるなどで精度が下がってしまうことはどうしてもあるため、場所による部分が大きいです。

質問6.早歩きでも問題なく使えますか?

山田さん:私自身かなり早歩きな方だが、全く気にならないので問題ないと思います。
あしらせスタッフ香山:盲導犬ユーザーさんもご利用いただいているのですが、かなり早歩きでも問題なく使用されています。ただ、最初の1歩目の方向検知の時にはしっかり立ち止まって方向検知をしてから歩き出すようにしていただければと思います。

質問7.方向の確認の仕方や振動の伝わり方はどうでしたか?

山田さん:どうしても慣れの部分はあるので、最初に何回か歩きなれた道で試してみました。そうすると、「あー、こんなタイミングでこんな感じで振動が来るんだな」というのが徐々に分かってくるので、そういったトレーニングをするのが大事だと思います。
あしらせスタッフ香山:どのユーザーさんも、練習して習熟してからの利用を始めています。そのため、いきなり試すのではなく、行きなれた道で何度もしっかり感覚をつかむことをおすすめします。

質問8.デバイスも重さは気になりますか?

山田さん:全く分からないですね。重さはかなり軽くて、着けていることは私はほとんど分からないです。

質問9.あしらせを使ってみて一番すごいと感じることは?

山田さん:例えば1人暮らしとかで、どうしても1人で外出しなければならない時に、頼れる相棒になってくれるのが、あしらせの素晴らしいところだと思っています。また、声を大にしていいたいのは、機能に対してフィードバックをしたときの反応がとても素晴らしいと感じています。フィードバックもメールを送るだけでとても簡単だし、ベンチャー企業が開発しているからこそ、一緒にあしらせを育てていける感覚があり、それがあしらせの一番の魅力だと思っています。

終わりに

いかがでしたか。山田さんからのお褒めいただきましたが、あしらせはユーザーさんの声をもとに新機能や様々なアップデートを絶え間なく行っています。これからもユーザーさんと共にお役立ちできるサービスを創ってまいります。

あしらせにご興味のある方はこちらのフォームよりメーリングリストへのご登録お待ちしております。