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【23】新生活

春休みの間に、なんとか引越しができた。
新しい土地、新しい家での生活に、
私たちは、わくわく半分、不安半分という感じだったが、
ケイと『ちゃん』には、わくわくしかなかった。

今まで住んでいた家より、少し広い家に、
『ちゃん』は大喜びで、持ち前の運動神経のよさで飛び回っていた。

まだ片付けの終わっていない部屋で、危なっかしくてしょうがないので
ナッツとアカルンに目を離さないようお願いしていた。

すると、アカルンが
「ママ。『ちゃん』を走り回らせないいい方法があった♪」
と言うので見てみると

今回の引越しで見つけて持ってきた「フラフープ」を、
得意げな笑顔で回し続けている『ちゃん』の姿があった。

回すだけではなく、回しながらジャンプしたり、
変顔しながらまわしたり、自分も回りながら回したり…
あきることなく、延々と回し続けているのだ。

それには、みんな大爆笑して、
「すごいすごい!」って声援を送った。
『ちゃん』は、夜までできそうなくらい夢中になってずっとしていた。

あまりにも長い時間させて、
後で、腹筋が大変なことになったら
ケイにまた怒られそうなので…

「え?まだまだできるよ?」
という『ちゃん』に、ストップをかけたのだった。

何か…大人しくしていてくれる遊び。

『ちゃん』が、動き回らないでいてくれるのは、
ナッツとアカルンが、『ちゃん』をテーブルに座らせて
お絵描きさせてくれている時だけだった。

『ちゃん』は、あっちの星の動物の絵を描いてくれたり
(筆圧が最初弱かったのに、どんどん上手になった)

点を書いて「これ地球ね。」と言って、
そのまわりをぐるぐる丸で囲み、
また、その周りをまた丸で囲み、紙をはみ出して

「うーん。やっぱり全部書くのは無理か。」
とつぶやいて

「ここらへんかな。ちゃんの星」
と紙からはみだした、テーブルの上を指さすのだった。

自分の星の場所を書きたくても、遠すぎて
「なかなか書けないなぁ。」
と、何度もチャレンジしていた。

あと、『ちゃん』の楽しみは、
コープの注文書を私と一緒に見ることだった。

新しい街で買い物に出かけるのが億劫な私は、
ある程度の食料品を注文して届けてもらうことにしたのだ。

それは、『ちゃん』にとって、
「好きな食べ物を選べる楽しい時間」
になった。


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