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高校受験を終えて

長男の受験が終わりました。

第一志望の私立高校を単願で受験し、合格することが出来ました。

初めての子どもの受験。

初めての高校受験。

親が子の勉強をサポートする。

……既に不吉フラグが何本も立っています。

うちの子は勉強が好きではありません。
苦手です。
成績は、中の下、いやいや下の中だろうな。

中学校が大好きです。
やさしい、いい子です。

好きなことはおぼえますが、好きじゃないことはおぼえられない、おぼえたくもない。

わかりたくないものはわかりたくない。
考えたくもない。
とにかく楽しく生きたい。

学力が全てではない。

全くもってそう思います。
でも、試験で問われるのは学力です。

「高校なら、行ければどこでもいい」

本人も私もそう思えませんでした。
この成績で何を言ってるんだ、けしからん親子です。

「行きたい高校に行こう」

ここだけは、長男と私のゆずれない、そして家族みんなの願いでした。


・私立単願たんがんって?

私立単願と言えば、受験方法の中ではラクな手段だと思います。
ここで言う楽とは、精神的に…という意味です。
勉強や体調管理はそれとは別と思っています。

私はこの学校しか受験しません
という受験方法です。

本人の成績や状況が志望校の提示する基準を満たしていれば、試験はあれど、不合格になることがありません。
受験前から内定が出ていることになります。

世間では楽な方法と言われ、SNSでワード検索するとフルボッコです。

我が家にとってはこれしか「行きたいところに行く」方法がなく、しかもこれですら、楽ではなかった。

推薦ではない一般受験を控えている方々からみたら、お怒りになって当然だと思うようなことです。
あんたら、受験なめてんのか、です。

なめてないです。

思っていた以上に高校入試というものが大変で、こんなにも親の手が必要なのかと正直びっくりしました。(学校探しや見学会、説明会の申し込みや同行、web出願など)

東京にはたくさんの高校があります。
都立高はかつては学区制であり、居住する区域によって受験できる高校が分かれていました。
今はそれがありません。 
どこでも受験できます。

私立高校も、昔と校名が変わっていたりします。
女子校が共学になっていたり。

我々の頃は……という過去の受験情報は、今や何の役にも立たないと実感しました。


1.都立と私立

子どもが三年生になり、学校から聞かれるのは「都立にする?私立にする?」

うちの子は当初、「都立を受ける」と言っていました。学校見学に一校も行っていない段階です。
私立と都立の違いすら把握していませんでした。

同級生達の多くが、都立第一志望のようだと長男からは聞きました。
時期的には三年生の一学期。

試験の日程は私立が先で、都立が後。

私立推薦→都立推薦→私立一般→都立一般という順番。

都立を受験するなら、先に私立を押さえておく(合格しておく)ことが必要になります。

都立は一校しか受けられません。(高専とは併願可能)

うちの子の通う中学は、私立を受けずに都立のみの受験をすすめない傾向にあります。
都立第一志望であれば、その前に私立を受けておくようにと。
受けられる私立校を探しておくこと。

万が一、都立に失敗してしまったら…のことを考えてだと思います。



2、併願優遇へいがんゆうぐう

私立高校の中には「併願優遇(併願推薦)」という試験を設けているところがあります。

基本的には都立を第一志望の生徒が申込むことができ基準を満たしていれば試験前に内定がもらえます。(前述の単願と同じ)

試験を受け「合格」の通知がくる。
本来ならそのまま入学手続きに入りますが、併願優遇の場合、都立の合否が出るまで手続きを待っていてくれます。
都立に行けなかったらこの学校にきます」という前提ありきのもの。

数週間後の都立の結果次第。
もし都立に合格していたら、先に受かっていた方の私立の入学辞退が出来ます。

推薦と名の付くものは、通常は辞退出来ません。
この併願優遇だけが特別です。

うちの子も、当初はこの併願優遇を目指していました。

ここで大切なのは、三年生の学校の成績と、状況(出欠席、クラブ活動、生徒会、ボランティア活動など)です。

長男の成績は、可もなく不可もなく"普通"。
不可がないのはいいのですが、良いものもない。

公立中の評定は、1から5の5段階。
東京都の場合、三年生の成績が入試に関係します。

三年生になると、定期テスト(中間、期末)の平均点がグッと上がると聞いていましたが、その通りでした。

評定をあげることで、併願優遇がとれる高校の選択肢が広がる。

三年生になった長男は、定期テスト前の勉強を必死にがんばっていました。


3、学校見学

一学期の成績が出ました。
長男、今までの中で一番いい評定をもらえ、大喜び。(本人比)

夏休みから二学期にかけて、都立と私立の幾つかの高校の見学説明会に行きました。

web予約し、申し込みます。
(ミライコンパスという入試サービスツールが役立ちます)

学校によっては予約がすぐ満員になってしまい、次の説明会はいつ?となり、見学に行くのも容易ではありません。

「受ける可能性がある高校の見学説明会にはいくように(個別相談を受けて、"行った"証明をもらってくるように)」と中学から言われます。

私立で一校、都立で一校、長男が行きたい高校が見つかりました。



4、いちばん行きたいのはどっち?

私立と都立、二校のうち、長男の第一志望はどちらなのかを聞きました。

「いちばん気に入っているのは私立。
でもお金のことを考えると、都立がいいんでしょう?」

長男の意思を尊重しようと言い出したのは、夫でした。

夫は、自分の高校生活に「思い出がない」と言います。
担任の先生から「おまえの成績ならここだ」と言われて受けた学校。(昭和)
都立が学区制だった頃。(昭和)

「エアコンがある、建て替えたばかりの都立高校。エアコン目当てで倍率は高かった」と夫は言います。

そこで過ごした三年間、何も楽しくなかったそうです。
都立だからじゃない。
受験の時、自分では何も決めなかったんだ。
何も考えずに行ったんだ。

「本人が行く前からこんなに気に入っているんだから、この高校にしよう。後は勉強するだけ」

長男がいちばん行きたいと言っている私立高校を、第一志望にしました。

その時はまだ、本人も私も、都立受験をあきらめきれていませんでした。
もう一つの都立高も、魅力的だったのです。

併願優遇がとれたら、都立に挑戦できる。
あとすこし評定が上がったら。
この"あと少し"は、高い山でした。

がんばったのですが、基準に内申点が届きませんでした。

長男は、「第一志望の私立高の併願優遇が取れなければ都立は受けない」と言っていたので、これで「私立単願」受験することが確定しました。

受験する私立高校は、私大の付属校です。

長男は、私立高校を探す時に「大学の一般受験をしないでいいところ」がいいと言っていました。 

「お母さん、オレは大学入試ムリだと思う……」

夫も私も完全同意でした。

平均的な成績であれば、そのまま大学に進める附属高校がいい。

その大学に長男が学びたい学部と、とりたい資格の修得課程があることが必須。
長男のなりたい職業には(それはこれから変わるかもしれないが)大学で資格をとる必要があります。

私大附属高校ならどこでもいいではなく、その先にある大学を調べました。

5、家庭での学習

親子での勉強はつらいです。

楽しい時もありましたが、私には圧倒的につらいです。 
それは自分の能力(学力)不足のせいだと思っています。
そして感情を抑えきれない己の未熟さ。


この世から受験がなくなってしまえばいいのに。

私は何をやっているのだろう。
どこで道を間違えた?

振り返っている時間はありません。
進む。
毎日毎日。

努力の先にあるものなんてクソくらえ、と思いながら。

長男も相当苦しかったはずです。

勉強をしていても心ここにあらず、逃げたい、逃げ出したいと思っていたことでしょう。

12月初旬、長男からの決別宣言(一人で勉強したい、お母さんとはやらない)がありました。
noteにも書きました。

大爆発があって、心の中に溜まっていたマグマが地表に流れ出てから、互いに楽になりました。

背負っていたものが下ろせる……私は開放感でいっぱいでした。

誰に言われた訳でもなく、勝手に背負っていたものです。

子どもの受験を通して、いかに自分が見栄っ張りで、負けず嫌いで、くだらない価値観を持っているかを痛感しました。

そういうものを嫌でも目にしていく、ペラッペラな自分と対峙していく……勉強とは別の苦しさがありました。


私の、受験勉強サポートからの解放。
でも子どもの勉強は続きます。

同じ家にいれば、子どもが勉強しているかどうかは気配で感じられ………見ないようにしたり、言わなければいい小言を言ってしまったり。

長男が体調を崩さずに試験に臨めるように。

私が考えるのはこれだけ。
自分に言い聞かせました。


6、いざ受験日

出願が済み、じりじりと受験日が近づいてきました。
単願で不合格にはならないはずですが、不安はゼロにはなりません。

試験は英語、国語、数学の三教科、お昼をはさんで、午後は面接です。

マークシート方式なので、鉛筆を持っていきます。

試験前日に、小学校時代のもので、今は使わなくなった鉛筆を貯めてある箱を二人でガサゴソ。

たくさんの鉛筆。   
長さも色もいろいろ。

これがよくない?
こっちの方が長いよ。
これだけあれば平気かな。
やっぱ、ちっちゃい鉛筆削りも持ってくわ。念のためね。

そんなやりとりをした後、長男とずっと一緒に勉強してきてよかったなと思いました。

短い鉛筆たちが詰まった箱を見ながら。

あたたかな気持ちが込み上げました。
やってきてよかったな。

私は過保護、過干渉な母親です。

ちっとも子離れ出来ていない。 

やりたがるくせに能力がない。

過去問をいくら分析したって、解くのは本人です。 

上手く教えられる人は、お金を出せばいます。

私が下手に教えることで、彼を苦しめてきたと思います。

ずーっとゲームしていたい。
そりゃそうでしょう。
うちの子は悪くない。

悪いとか悪くないとかの問題じゃない。

ここまでやってきたことを信じて、さいごまで駆け抜けよう。  
出来るよ、出来る。出来る。出来る。

受験の朝、いってらっしゃい、と見送りました。


…………………………………………

noteで、長男にたくさんのエールをいただき、ありがとうございました。

わからない問題を教えてもらったこと、気持ちを聞いてもらったこと、ずっとそこに居てくれたこと。
本当にありがとうございました。

これから受験を控えている受験生とご家族を、心から応援しています。










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