小さな箱に詰め込んで
ジェスチャー付きで歌う「おべんとうばこの歌」。
自分サイズのお弁当が完成したら、ゾウさんが食べる巨大なお弁当箱や、アリさん用の吹けば飛ぶような極小お弁当箱を作るのがお約束。
小学校夏休みに参加したキャンプでは、この歌をよく歌った。
ゾウのお弁当箱を、空に描く私の指は、実は密かに緊張していた。
大きなものを思うままに描くことに、慄いた。
周りの子ども達を見ると、背伸びしたり、飛んだり跳ねたりしながら、大きな箱を空に描く。
手を伸ばし、少しでも大きく大きく。
そんなに大きくして大丈夫?
本当に本当に大丈夫?
たかだか手遊び歌なのに、余計なことを考えてしまう空想過多な子どもだった。
昔から箱が好きだ。
小さな箱が、特に愛おしい。
きれいな紙が貼ってあるものや、飾りが付いたものや、シンプルなもの。素材もさまざま。
何を入れるのか分からないようなサイズの箱に、訳もなく魅かれることが多い。
結局何も入れないで、箱だけを見えるところに置いている。
眺めているだけでいい。
何が入っているのか、何を入れようか、想像することが楽しいから。
見出し画像の金色の箱は、額縁作家である親友が作ったもの。
一辺が約3㎝の四角い小箱。
手のひらに乗せてもあまるミニサイズ。
5月末の展示会で見たときは、ピアスや指輪を入れようかと思ったのだが、何も入れずにこのまま、部屋に置いてある。
この小箱と一緒に、毎日を過ごしている。
箱の中には、今年の夏が入っていると思う。
がんばって終わらせた宿題や、次男と観たアニメ「SPY×FAMILY」、長男の声変わりアーニャ
夫とアツく感想を述べあった映画「ドライブ・マイ・カー」や、「着なくなったからあなたが着て頂戴」と渡された義理母の洋服(ごめんなさい、たぶん着ない)
夏期講習に持っていくサンドイッチやおにぎり、金曜の夜はアイス2本食べてもいいルール
小さな箱にはまだ余裕があるから、あともう少し、この夏を詰めよう。
追記:小箱の作者さんから、彼女のHP掲載許可をもらえたので、ここに貼らせていただきます。
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