普段通りでもない春

 「普段通りの春」を見出しとする産経の記事(https://www.sankei.com/life/news/200412/lif2004120021-n1.html、現在は見出しが変わっている)が出たのが4月12日。その記事はごく限られた取材に基づき、レジでも前の人や後ろの人と間隔をあけて並ばないとか、国道沿いの店舗でなければマスクは入荷しても1日残っていることがあるとか、そういう話を書いていた。以来、普段通りではないことを記録しておこうという思惑もあり、身の回りのことを書いてきた。

 私も盛岡の端の方に住んでいるが、マスクは1月の終わりには店頭から消えたのではないかと思う。以来、ドラックストアをこまめにのぞくようになったが、久しくマスクを見ることはなく、アルコール液、百円ショップの霧吹き、体温計――と店頭から在庫がなくなっていった。4月の2週目くらいにチェーンのドラッグストア各店が、開店時のマスク陳列を取りやめたが、それまでは朝からマスクを求める50人ほどの列が、近所のドラッグストアの開店30分前に観察できたくらいだ。
 私は合唱をやっているから、喉の保護のためにマスクは買い置いてあったが、職場につけて行ったりしているうちに、だんだんと在庫もなくなってくる。不織布マスクをようやく購入できたのが、4月30日。いつものように買い物のついでにのぞいたドラックストアで偶然7枚入りのものが一人1点限定で販売されていた。その後、店頭に並ぶマスクを見ることはない。
 また、この記事と時期を同じくして、近所のスーパーでは週1回の卵の特売をやめたし、レジのビニールカーテン、レジ待ちの前後の間隔を示す床のサインなど矢継ぎ早に感染防止策が打たれている。最近はついにポイントサービスデーも取りやめた。買い物客も、だいたいの人はマスクを着けている。

 5/7の緊急事態宣言の延長後は、県の方針が若干緩んだこともあり、久々に街に出てみた。ひと月半ぶりにバスに乗ると、運転手の後ろの席は使えないようになっていた。乗客のマスク着用率は9割ほど。飲食店を見ると、テイクアウトを始めた店、自主的に休業を続ける店など、さまざまだ。

 私の職場は4月の最終週から出勤を9割(ほぼ10割)削減する方針で、私も5月8日まで在宅勤務をした。土日を挟んで5月13日からは半日交代勤務で出勤者を5割削減。だが、これも緊急事態宣言の解除により、通常に戻る。それどころか、2月の第3週から禁じられてきた公共交通機関を使った出張も、緊急事態宣言が継続されている都道府県への出張を除いて許されることになった。

 3月以降、とても普段通りとは言えない春だったが、それが徐々に元に戻されようとしている。私はたびたび、常に1週間前の自分が楽観的であった、というふうなことを書いてきた。そこからすると、果たして2月までの姿まで戻していいものなのだろうか、と思う。

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