足本幸男

盛岡市在住。生活者が好きなことを好きなときに好きなように書いたら、それが自分の記録にな…

足本幸男

盛岡市在住。生活者が好きなことを好きなときに好きなように書いたら、それが自分の記録になったり救いになったりするのではないかという仮説。人に読まれてもいいように書くのがルール。

最近の記事

常磐線、歌、つなぐ、

 常磐線は、よく止まる路線だった。  私は千葉県柏市の実家から、常磐線に乗って大学に通っていた。水戸までは2時間半。教養の授業を受ける、1年生の1年間は、毎日この距離を通っていた。2年生からは県南のキャンパスに移ったけれど、入っていた大学合唱団の練習には、水戸まで通っていた。大学を出たあとも、茨城で合唱を続けた私は、引き続き実家から練習に通った。  学生時代は、同じく常磐線で通学する後輩と、電車に揺られながらよく話をした。そうやって過ごす常磐線が好きだったし、冬の寒い駅のホー

    • 絶え間ない他者との交渉の物語/オンライン演劇『不本意アンロック』評

       アイドルグループHKT48のメンバーが、自ら企画、脚本、演出、出演、衣装・美術、音響・映像、広報を務めてオンライン演劇を上演するプロジェクト「HKT48、劇団はじめます。」、通称「劇はじ」。オンライン演劇を展開する劇団ノーミーツの支援を受けながらふたつの劇団、劇団ミュン密と劇団ごりらぐみがこの2月に旗揚げ公演を敢行した。  何を隠そう、HKT48のファンである私も、それぞれの公演を観劇した。特に、劇団ごりらぐみ『不本意アンロック』(作・豊永阿紀、演出・下野由貴)は、私にとっ

      • 共感・分断・想像:3月に寄せて

         東日本大震災の発災から10年が経った。  私は発災当時、千葉県の実家に住みながら、茨城の大学に通っており、所属していた大学合唱団の練習中に水戸市内で被災した。  常磐線は寸断され、3日間、実家に帰ることはできなかった。3月14日に水戸からつくばへ向かうバスとつくばエクスプレスを使って、実家に戻った。  バスは一般道を中心に走行していたのではないかと思う。つくばエクスプレスは普通に動いていた。実家もすでに平常運転といった具合だった。水戸との温度差から、少し家族とぎくしゃくし

        • (2020年8月16日の下書き)

           会いたい人に会えていない感覚がある。  

        常磐線、歌、つなぐ、

          久々に書く

          久しくnoteから離れていた。 理由はnote社周りの諸問題が発生していたので、少し距離を置いてみたかったため、 それから、8月から毎日日記をつけ始めたら、誰かに向けて文章を書きたい欲がどこかへいったため、だろうか。 日記と言っても、スマホのアプリなのだが、ローカルであることにはかわりない。 日記はなんというか、未来の自分に向けて書いている感覚で、だからなるべく普遍的にかつ誰が読んでも理解できるように書いている。その作業をしていると、noteだけでなく、各種SNSへの投稿

          久々に書く

          なかなか難儀だ

           あっという間に8月になってしまった。  さんさ踊りがなければさんさの練習もないので、調子がくるっている感じがある。いや、さんさだけでなくて、あったはずのものがなくなり、なかったはずのものがあったり、調子はくるいっぱなしで、人生設計からくるっている気がしてしまう。  長い梅雨もその原因。天気に影響を受ける仕事をしているので、全然うまくいかない場面も多かった。天気予報を見ていたら7月が終わってしまった、くらいの感じ。7月の半ばに、久々に岩手山の頂上が見えた。気が付いたら雪は消

          なかなか難儀だ

          普段通りではない夏が始まる

           6月に入り、急に気温が上がった盛岡だ。4、5月は晴れ間が続かず、農業現場などでは頭を抱える光景が見られたが、ここにきて今度は雨が少ない。これから1週間は曇りや雨で、本日、東北本部は平年通りの梅雨入り。  さて、5月に入ってからもドラッグストアでは不織布マスクを見ることが久しくなかった。5月23日に所謂アベノマスクの配布が岩手でも始まった(私のところはまだ届いていない)が、そのころからドラッグストア以外の小売店などで、所謂「ナゾノマスク」が流通し始めていた。怪しげなパッケー

          普段通りではない夏が始まる

          西天満のうまい中華

           こういうご時世だから、大型連休はだいたい読書をして過ごした。読書のお供はコーヒーだったりお茶だったり。コーヒー豆は常時2種類は用意しているし、お茶も煎茶、紅茶、ルイボスティーなど、われながら幅広く押さえている。お酒をやめてから、金をかけるところが変わったのだ。  この前、ハリオのティーマグ(茶こしと茶こし置きにもなるフタがセットになっているので一人でも楽においしくお茶を飲める)で台湾茶を何煎か楽しんでいたら、ふと、大阪にいたころのことを思い出した。  前の会社で大阪の事務

          西天満のうまい中華

          普段通りでもない春

           「普段通りの春」を見出しとする産経の記事(https://www.sankei.com/life/news/200412/lif2004120021-n1.html、現在は見出しが変わっている)が出たのが4月12日。その記事はごく限られた取材に基づき、レジでも前の人や後ろの人と間隔をあけて並ばないとか、国道沿いの店舗でなければマスクは入荷しても1日残っていることがあるとか、そういう話を書いていた。以来、普段通りではないことを記録しておこうという思惑もあり、身の回りのことを書

          普段通りでもない春

          寒の戻り、春、夏日

           今年は雪解けが早かった(というより解けるほどの雪がなかった)割には、所謂寒の戻りが長く続いた気がする。先週まで外に出るときはダウンとマフラー、ニット帽、そして手袋を装備していた。が、ここにきて急に暖かくなった。というか、今日突然気温が上がった。いきなりの夏日。それも盛岡の最高気温は29.8℃なので、ほぼ真夏日といってよい。  さすがに家の中にいるのはもったいない気もしたので、お昼を食べた後散歩に出かけた(体を動かさないと寝つきが悪い)。春から初夏のぽかぽか陽気を、お酒を飲ん

          寒の戻り、春、夏日

          それでも桜を

          常に1週間前のほうが楽観的だった、というふうなことをこの前書いた。これは現在進行形でそうで、なんだか少し反省してしまう。2週間前は県内の温泉にでも旅行しようかなとか思って宿探しなんかしてみたし(もちろん安くなっているのでは?という目論見があったのだが、温泉宿のシングルユースはなかなか高い)、1週間前くらいは、来週は岩手公園に桜を見に行きたいな、とか考えていたのである。 岩手は感染者が確認されていないし、それぐらいの行動は許されそうなものだけど、首都圏で観光地に車の渋滞ができ

          それでも桜を

          日常が遠い

          ここ1週間、寝ようとして横になると息が詰まる。喉に蓋がかかったようだ。鼻でゆっくり呼吸を整えて、ようやく入眠しそうになった瞬間に”ふんがっ”となって目が覚める。深呼吸すれば問題ないから、肺が機能していないことによる呼吸苦ではないのは理屈ではわかっているのだが、なかなかの恐怖体験である。 医者の診断を受けたわけではないが、こういう風邪でも何でもないのに喉に何か詰まった感覚というのは、咽喉頭異常感症とかヒステリーボールとか、梅核気とか言うらしく、要はストレスによるものだ。息が苦

          日常が遠い

          忘却・回想・記録:3月に寄せて

          3月になると「忘れない」という言葉がよく聞こえてくるようになるのだけど、いやいや、忘れないなんて嘘だ、今この瞬間も忘れていたじゃないか、といつかの3月から思うようになったわけです。 忘れない、ではなく、思い出すのだ、と。 記憶を呼び起こすには何らかのトリガーがあって、それが実は(なんとも逆説的だが)「忘れない」「忘れない」と叫ぶ声だったりします。 人々の思い思いの回想が、忘却の彼方に行ってしまいそうになった私の記憶を救いだすのです。 岩手に来て、この土地の人々のさまざまな

          忘却・回想・記録:3月に寄せて

          雪がない

          「雪、ないね」と言っていたら、3月になってしまった。 盛岡に来て2度目の冬である。昨年は雪が少ないと聞いていたので、今年は心して冬を迎えたが、もはや雪が"ない"という感じだ。 年末年始に降り貯めた雪は、1月の終わりには解けてなくなってしまった。 ハクチョウも早々に北へ向かって飛んでいった。 雨がよく降る冬だ。 こっちの人は、雨より雪の方がマシだ、とか言っていて、首都圏で雪のせいで交通機関がズタズタになる感覚からするとわけがわからなかったが、今では少しわかる気がする。 何せ

          "生活者"として書いてみようと思った

          新しい職場で文章をほめられるようになった。すると、私は書くことが好きなのではないか?と思うようになった。 よくよく振り返れば、私は明らかに書くことが好きそうな人だ。小学校低学年の夏の読書感想文こそ母にかなり手伝ってもらっていたが、小4でクラスの新聞係を引き受けたことを皮切りに、小中高の委員会活動は広報ないし新聞だったし、小学校の頃は自由帳にガンガン小説を書いていたし(漫画も書いたけど)、チラシの裏にもガンガン新聞(○○〔本名下の名〕新聞といった具合)を書いていたし、中1の時

          "生活者"として書いてみようと思った