普段通りではない夏が始まる

 6月に入り、急に気温が上がった盛岡だ。4、5月は晴れ間が続かず、農業現場などでは頭を抱える光景が見られたが、ここにきて今度は雨が少ない。これから1週間は曇りや雨で、本日、東北本部は平年通りの梅雨入り。

 さて、5月に入ってからもドラッグストアでは不織布マスクを見ることが久しくなかった。5月23日に所謂アベノマスクの配布が岩手でも始まった(私のところはまだ届いていない)が、そのころからドラッグストア以外の小売店などで、所謂「ナゾノマスク」が流通し始めていた。怪しげなパッケージで、性能表示がないような、ニュースでもたびたび取り上げられたアレである。都市部でだぶついた在庫がこちらに流れてきたのだろうか。
 6月に入ると、きちんとした性能の不織布マスク(だいたい5~7枚入りで300~500円で程度だ)が、ドラッグストアで常時在庫がある状態にまで回復している。こちらは点数制限が設けられていることが多いが、その横には点数制限なしと書かれた「ナゾノマスク」(50枚で2000円程度)が鎮座している。

 10万円の特別定額給付金の案内は、盛岡市はかなりスムーズで、5月18日に手元に届いた。マイナンバーカードを持つ友人も、郵送で申請するくらいだった。私は申請から約3週間後に振り込まれた。
 幸いにも私は、収入が減らずに、支出が減ったタイプの人間である。週末は、どこか遠くにいくことが多かったので、このような状況になって移動をしなくなると、お金はあまり使わなくなる。この10万円は自分のためにも使おうと思うが、一部は自分の出身大学の就学支援として寄付しようかと考えている。

 人々は徐々に生活を元に戻そうとしている。普通に外食もするようになったが、個人経営の定食屋でも、座席は間引いていたし、こころなしか以前よりお昼時の客が少なかった。
 感覚としては、岩手にいるうちは感染するリスク、させるリスクは限りなく小さいのだと思う。だが、マスクとソーシャルディスタンス、不要不急の外出をしないという”文化”は、盛岡でも定着しつつあるように感じる。

 たまには息抜きを、と思い、休日に出張した分の平日休みに、県内の温泉地に宿泊した。片道1000円もかからないような、ささやかな”旅行”である。温泉と食事を楽しみ、ただゆっくりと過ごした。
 県外にお金を落とし続けていたこれまでを省みる省みる機会になった気がする。岩手も広いのだから、県境をまたぐことなく、遠出するという自分の欲望を満たしながらも、きちんと県内の経済を回していくこともできるのだろう。
 逆に県外からの観光はぐっと少なくなっているはずなのだから、経済の地域内循環の在り方を考えていかなければならぬ。

 このように少しずつではあるが、人々は動き出している。が、私の趣味の一つである合唱のように、なかなか思うようにいかないものもある。それに、今年はさんさ踊りがないのである。
 普段通りではない夏が始まる。

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