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ムスリムストリート、西安の回民街を訪れて

西安の旧市街に位置する回民街は、イスラム教徒である回族のコミュニティが形成されたエリア。ここには多くの清真(ハラル)料理店やモスクがあり、イスラム教の文化が色濃く反映されています。

2003年に訪れた際は、中国人に対する個人旅行への規制が厳しく、外国人以外の観光客らしき人は殆どおらず、地元の人々の生活の場といった雰囲気が強く感じられる場所でした。


2003年9月15日月曜日

2003年当時の回民街は生活者中心ののどかな雰囲気

中国に住むイスラム教徒

中国には約2,300万人から3,000万人のイスラム教徒がいるとされていますが、そのほとんどが回族とウイグル族です。

• 回族: 約40%(1000万人)
• ウイグル族: 約44%(1100万人)
残りは他のイスラム教徒少数民族(カザフ族、タジク族など)

中国国家統計局

他のイスラム教徒と違い、西安の回族は、歴史的な優遇政策と地域社会への現地化を通じて、経済的・文化的に安定した地位を築いてきました。

回族の起源と歴史

その起源は、唐代に安史の乱を制圧するために呼び寄せられたウイグル帝国軍の末裔であるといわれています。唐代に使われた回鶻(ウイグル)や回教(イスラム教)という言葉から回族、と呼ばれるようになりました。

回族への優遇政策


唐代の回族の数は少なかったものの、その後元の時代では商業や行政において重要な役割を果たして優遇されました。
明清時代では自由な宗教活動が許され、多くのモスクが建てられる中で居住エリアが整えられ、人口も増えていきました。
一方で漢民族との融合が進み、現在彼らの使用言語は漢語(中国語)であり、文化的にも漢民族に近いものとなっています。

イスラム教徒といっても、見た目では普通の漢族とほとんど区別がつきません。ただ生活の面ではイスラム教の戒律を守っており、街中では至る所にハラル、という意味の「清真」という表記を目にします。

ハラル料理

回民街でよく目にする「清真」と書かれたハラル料理店。「清真」(qīngzhēn)はイスラム教の戒律に基づいた「ハラル(halal)」の意味で、イスラム教徒が摂取しても良いとされる食材や料理のことです。ここでは豚肉は御法度であるかわりに牛肉や羊肉を使った料理が豊富。

特に有名なのは

  • 羊肉串

  • 羊肉包膜

  • 水盆羊肉

  • 肉夹馍

  • 腊牛肉夹馍

  • 牛肉餅、などです。

肉夹馍は宿泊先の西北大学門前の屋台で売られているものが絶品で連日食べているため、ここでは牛肉面を注文しました。味は蘭州ラーメンのようなごく普通の牛肉面(澄んだスープに香辛料で煮込んだ牛スライスが乗ってる)でしたが、どのお店も空いていて、あちこち覗いても、グイグイ売り込んでくる雰囲気がなく居心地が良かったです。

回民街で購入した兵馬俑の置物

通りには本や雑貨が投げ売りされている光景も見られました。兵馬俑の入り口で100元で売られていたものが、なんとここでは20元。売り子さんは本を読みながら片手間でやり取りしていて、そっけない。そんな商売っ気がない様子が新鮮で、私たちはとてもリラックスして通りの雰囲気を堪能できました。


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