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ウズ作家インタビュー 第3回

中国から2019年に本格的に日本に上陸した『マーダーミステリー(以下、マダミス)』。
上陸当初は、『殺人事件が起こり、プレイヤーはその場に居合わせた登場人物になり切って、登場人物の中に紛れている犯人を探す』という、人狼ゲームにストーリー性が加わったコミュニケーションゲームと定義されていた。
謎解き要素、登場人物を演じる事の楽しさ、高いストーリー性等、その魅力は多岐に渡り、マダミスが普及するにつれて定義も変わって来ている。
深化と多様性を模索中のマダミス。
その変革期だからこそ、今活躍している作家がどのような考えで作品作りに取り組んでいるか、残したくなったのが本インタビューのきっかけである。
ここは歴史の真ん中だ。

マダミスの普及において、マーダーミステリー専用アプリ『ウズ』の存在は欠かせないと筆者は考える。
アプリが進行役を担い、いつでもどこでも全国のプレイヤーとGMレスのシナリオを楽しめる―――その手軽さはプレイヤーはもちろん、シナリオ作成のハードルも大幅に下げ、多種多様なシナリオが日々生まれている。
その中でも著名な作家3名に、それぞれテーマの違うインタビューをおこなった。
インタビューは単独でおこなったにも関わらず、共通の話題が自然に出て来る等、興味深いものとなった。
                           取材/星アッシュ

「『未来の俺が気づくだろう』と考えて、とにかく何でもノートに書きます(笑)」

最終回は、『ウズ』で13作品をリリースしているまさに『ウズ』代表作家・ろわーる伯爵さん(以下、ろわーるさん)。
ランキングの常連であり、”人を楽しませる”シナリオの名手である。最終回となる第3回は、ろわーるさんのシナリオの作り方について伺い、作品がどうやって産まれるのか、その過程を紐解いていく。

シナリオを作り始めたきっかけ

――本日はありがとうございます。早速ですが、シナリオを作り始めたきっかけは何だったのでしょう?

元々人狼をやっていて、人狼仲間の方にマダミスを教えて貰いました。それこそ、『ウズ』で<あらしのびょういん(作:LAND様)>と<キヨスの会議(作:しんこすたん様)>を遊んだ事がきっかけです。

――以前から創作活動はされていたのでしょうか?

ツイキャスで声劇(注:こえげき。声で演技をして作り上げる劇。ラジオドラマ等。)をやっていました。声部の人に誘われ、台本も製作していました。起承転結があり、構成が似ているので、トリックを付け足せばマダミスのシナリオになると思いました。

――凄いですね!

マダミスはキャラクターが1人でに歩いて行くのが面白いですね。ただ、声劇と違ってマダミスのシナリオは”キャラクターが物語を織り成すにはどう動かしたらいいか”を考えなくてはいけないのが難しいです。

――ろわーるさんの作品は等身大でロールプレイがしやすいキャラクターが持ち味だと思います。シナリオを書く時は、キャラクターから思いつくのですか?

シナリオによります。<MEMORIA>はギミックからですが、<ラブレター大作戦>は「殺人が起こらないマダミスが好き」「ロールプレイでわちゃわちゃするのが好き」という人に向けて作りました。<機械の心の在り処>はレオナというキャラクターから作りました。

――ろわーるさんの作風はとても広いですよね。その広さが、やはり『ウズ』代表作家と思う根拠なわけですが…ネタはどんな時に思いつきますか?

思いつくというより、生活の至る所にノートとペンを置いてあります(笑)仕事場、車、自室など、動線に筆記具を用意しておいて、思いついたら書きます。もちろん、1つのシナリオを作る時はノートを集約して、書き直しますが。

――ろわーるさん並みに用意しているわけではありませんが、分かります(笑)でも、どれがどのメモか分からなくなりませんか?

『未来の俺が気づくだろう』と思って書いてます(笑)

――(笑)

ヒントは日常に転がっている

<四人の勇者と一人の魔王>という作品は、運転中に見かけた「あなたは真の勇者だ」という看板から着想しました。<四人の勇者と一人の魔王>までは全てスマホで製作していたので、3~4時間ぐらいで完成したのですが、消えてしまって。それから1時間半ぐらいで書き直しました。

――凄いですね!元々3~4時間かけて作った物があったから、取り戻せたと(笑)

はい(笑)

――ヒントを得るのは看板だけでしょうか?

警察の呼びかけや、飲食店のPOPから得たりもします。タイトルだったり、軸だったり、それが何になるかは分かりませんが、とにかくノートにメモしておきます。

作風の確立

――ろわーるさんの作品だと、1作目の<MEMORIA>が推理要素が多くて一番好きなんです。2作目以降は、ロールプレイを楽しむ<ラブレター大作戦>や、ロールプレイと推理どちらも楽しめる<機械の心の在り処>等、作風が変わっていったように感じますが、これは意図的なものですか?

<MEMORIA>は<あらしのびょういん>と<キヨスの会議>をきっかけに思いついたギミックを活かしたシナリオでした。しかし『ウズ』で求められやすいシナリオはロールプレイの満足度が高い事と達成感がある事だと分析し、分析結果をもとにいくつか製作しました。自分に合ってるものを理解し、評価を受けた理由を分析して、”需要に寄せて自分が書きたい物を書く”というスタイルになりました。

――需要に寄せる事で、作者としての満足感は減りませんか?

それはありません。リリースしたものは全て、納得して出したものですから。ただ、リリース後にキャラクターごとの評価結果を見ると、”特定のキャラクターの満足度が著しく低い”という問題に最近悩んでいます。キャラクターごとの満足度を均一にするのが一番大変ですね。

――作者じゃないと分からないと思うのですが、本ッ当に大変ですよね。

(笑)

――事前にお送りした質問は以上なのですが、黄鱗きいろさん・劇団ですわさんにインタビューした中で(第1回・2回参照)、ろわーるさんにも伺ってみたいご意見がありまして…。伺ってもよろしいですか?

はい。

――ありがとうございます。『ウズ』のランキングは現在1つしかありませんが、有料・無料・新着・評価急上昇といった複数ランキングにするという意見がありました。ランキング外になってしまったシナリオはユーザーの目に付きにくくなってしまうからです。

僕は今のままでもOKだと思います。ただ、古いシナリオが目に付きにくい事に関しては、目に付きやすくする工夫が必要かなと思います。

――ありがとうございます。最後に、新作の構想を伺ってもよろしいですか?

内容は言えないのですが、自分にしかできない物をテーマに、3本のシナリオを製作しています。2022年3月~2023年2月にかけて12本マダミスをリリースしていて、”月間ろわーる伯爵”と『ウズ』運営さんに言われました(笑)さすがに今年も同じペースでリリースは出来ないと思うのですが、精力的な活動をしていくので応援よろしくお願いします!

プロフィール
ろわーる伯爵 (ろわーる・はくしゃく)
Twitter:@Roir_mdms
推理重視・エモ・RP中心等、幅広い作風を持つ作家。
等身大でRPしやすく、魅力的なキャラクターを書く名手でもある。(取材者・評)

ウズ作品リスト
<MEMORIA><ねぇ、どっちを選ぶの?><ラブレター大作戦><機械の心の在り処><深淵を覗く者よ><桜舞い散るあの日の空を><四人の勇者と一人の魔王><Colorfill Step><クリスマス大作戦><まぁまぁまぁ><バレンタイン大作戦><君に捧げるソナタ><泥酔警察~居酒屋物語>


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