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日本アカデミー賞授賞式、当日収録後ダイジェスト放送は、今年でやめませんか?

   今回のコラムは
 3月8日に開催される第47回日本アカデミー賞授賞式である。

 取り上げるのは、そろそろ映画業界を盛り上げる方法として、
今の放送形式ではつまらないから他のやり方をして欲しい
という話だ。

 最初に言っておく。
 筆者は毎年
 日本アカデミー賞授賞式を観るのが楽しみ
 
である。
 地上波に唯一TV放送がある映画賞だからだ。
 各映画賞に特徴があって、結果が違うので、面白い。

 これから主張することは個人的な見解なので、参考程度に読んで欲しい。
 

日本アカデミー賞は権威ある映画賞?

 権威ある日本の映画賞を強いてあげるとすれば
 アメリカのアカデミー賞(以下オスカー)の第96回より歴史が古い。
 キネマ旬報ベストテンが今年で第97回だ。
 戦争による中断で回数はオスカーより1回多い。
 開始が1924年。
 オスカーは1929年。
 実はキネマ旬報ベストテンは100周年を迎える。
 主催は1919年に創刊された映画雑誌キネマ旬報だ。
 雑誌文化の衰退により、1950年以降の毎月5・20日の月2回から2023年7月20日から月刊になったそうだ。

 筆者はキネマ旬報に2006年末に一度映画評論を投稿した。
 (作品は『虹の女神』)
 その時は次点で文章は掲載されなかった。
 悔しかったが、採用された評論を読んだ。
 映画監督する人がやりがちなアレを指摘していて、仕方ないと諦めた。
 筆者はキネマ旬報が2014年にした第9回映画検定を受験し2級を合格した。

キネマ旬報ベストテンと日本アカデミー賞


 2つの映画賞の違いを単語別にグーグル検索してまとめてみた。

 キネマ旬報ベストテンを決める人は

各部門の選出は、映画評論家や新聞記者、映画雑誌編集者などから選抜した120人前後の選考委員によって行われる。
 各自の選考委員が各部門について自分の基準によって10本の映画を選び、1位は10点、2位は9点……10位は1点と評価を数値化し、その合計によって各部門の順位を決定する。 

キネマ旬報ベストテン より

日本アカデミー賞は主催が日本アカデミー賞協会だ。

日本アカデミー賞協会の会員は現在も含め映画事業に継続して 3 年以上従事し、当協会で定めた 運営・実行委員、または賛助法人の推薦を受けた者とする。 会員は年会費2万円を払い、主要な映画館で映画を無料で観ることができる会員証(フリーパス)が与えられている。

日本アカデミー賞協会会員 より

 要するに
 キネマ旬報ベストテンは、選抜された映画関連の執筆者が投票する。
 日本アカデミー賞は、映画業界に従事するアカデミー会員が投票する。
 
 投票者数は後者のアカデミー協会員の方が圧倒的に多い。
 業界内の人気投票の側面を考慮する必要がある。 

 日本アカデミー賞授賞式は地上波のプライムタイムで中継される。
 理由は映像関係者が日本アカデミー賞を運営している。
 放送権がとりやすかったという事情が大きい。 
 その為、第1回の日本アカデミー賞から授賞式はTV放送されていた。
 1978年は昭和のTVの全盛期。
 局が映画制作に出資するのが定着し始めた頃だ。
 当然日本アカデミー賞協会員の中にはTV関係者も多くいた。
 筆者は1976年生れだから、物心ついた頃は授賞式が放送されていた。

 日本アカデミー賞を権威と思うか思わないか?
 第1回授賞式より先か後で生れたか。
 この差は大きいかもしれない。
 マキタスポーツ(『苦役列車』で第55回ブルーリボン賞新人賞)
の出身地の方言、甲州弁で言うと
「なんだ、おまん後輩か」

マキタスポーツ イラストby龍女


 TVer限定で、新人俳優賞を受賞した人たちのインタビューを観た。
 感動している若手の人が多かった。
 自分が生れる前に存在していたモノは歴史であり権威となっていく。

 

日本アカデミー賞がよく分かる事件


 幼少期の筆者が視聴した最も印象的な瞬間は1989年の助演女優賞
 日本アカデミー賞の独自性は、候補になった時点で優秀賞を受賞。
 5人の優秀賞対象者から最優秀賞を決める。

石田えり 『嵐が丘』 『ダウンタウンヒーローズ』 『華の乱』
秋吉久美子 『異人たちとの夏』 『男はつらいよ 寅次郎物語』
池上季実子『華の乱』
樹木希林 『郷愁』『つる 鶴』
名取裕子『異人たちとの夏』『肉体の門』『妖女の時代』

 この年は、最優秀賞最有力は事前予想では秋吉久美子だった。
 既に毎日映画コンクール、ブルーリボン賞、キネマ旬報ベストテンと主要映画賞総ナメ状態だったからである。 
 大林宣彦監督作の『異人たちの夏』。
 小悪魔的役柄が多かった秋吉久美子と真面目な役柄が多い名取裕子。
 それをひっくり返した事が肝になった。
 主人公(風間杜夫)の亡き母が秋吉久美子
 翻弄する謎の女が名取裕子
 これまでお互いの当たり役がフリになっていたから効いた配役だ。

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