ウイスキー試飲会のすすめと感想
雑感
私が試飲会に参加するようになったのは、2016年程からだったと記憶している。其の頃は料飲資格をより官能的に取ることに躍起になっていた記憶だし、それに表題の「ウイスキー試飲会」は一般の方と同伴で臨めるというタイプということで、試飲会とは料飲関係者向けであるという閉鎖的コミュニティ化していた（と勝手に思っている）試飲会というイベントを、開放的にしてくれたという点で非常に功があるように思う。
特にコロナ明けから、私は関西地区の試飲会しか顔を出したことはないけれど、明らかに料飲関係者ではない一般の方の参加が増えたように思えるし、
それはメーカーの悲願であるウイスキー（ハードリカー）の大衆化のさらなる一歩だろうから、業界的にもいいことに感じる。
本稿では別にバー文化のことを話す気はないから触りだけにしておくが、
メーカーと一般消費者がダイレクトに結びつきはじめている昨今、例えば私は数年前に引越し前のブログ記事で「スーパーに立ち並ぶアルコールの顔ぶれの変化」を説いたことがあるし、そういった日常の変化から「もしかして新商品のウイスキーを買って注ぐだけでは今後苦しいのでは」とか、そういう話をするつもりは今回、さらさらないのだ。
試飲して感じたこと
まず第一に、薫りがさっぱりわからないこと。
使い捨てのプラカップでは無理があるのだろうか。（今更だが）
落ちても割れにくい頑丈なテイスティンググラスを一脚もっていくほうがいいかもしれない。
どうせ試飲会中は２リットルくらいの水を飲むわけだから。
第二に、非常に残念ながら――参加者の素行の悪さを感じた。
周りが同業者ばかりである料飲関係者向けの試飲会にはない、濫竽充数というべき輩が多く見受けられた。
酔って地面に座り込んだり、開放されているテーブルを占拠したり、あまつさえ飲み物を噴射して人に吹きかけるなんぞ、場合によっては暴力的なトラブルに発展しかねない前段階を醸成する野放漢が、いた。
私の経験上、そういった事例の目撃数最多イベントである。
（そんな中、会場責任者である某氏は顔を綻ばせながら会場内を闊歩していたが、彼には以上のような実情が見えていないのだろうか）
こういった痴態の振る舞いを見せる輩は、当然会場外でもその空気を引きずっている（蒸留酒の酒気帯びがそんなに早く引くわけがない）だろうから、お酒というものを嗜まない層にとって、歩くマイナスイメージでしかないだろう。大阪南港は海遊館が近いし、お子さん連れのファミリーも多いのだから、なんというか――もっと配慮すべきだと思うのだが。
"有料"試飲の悪い面が出ているように感じる。
酒は紳士淑女の嗜好品であり、社交界を彩る最高の飲料である。
精神年齢の成熟が待たれる人間の飲むものではない。辛辣かもしれないが。
つまらないことだけ書いて終わりたくないので、
第三は酒のことを書く。私が飲んだウイスキーは、以下である。
＜前提＞
・有料試飲は「グレンファークラス ファミリーリザーブⅠ1997 / ￥2,000」のみ。
・他は全てスタンダード。ポートやシェリー系、ハイエイジは避けた。
１．クロナキルティ
２．グレンタレット
３．リンドーズ
４．バフェット
５．トルベイグ
６．久住
７．日の丸
８．グレングラント
９．グレンファークラス
１０．尾鈴山
１１．スケープグレース
１２．猫尾崎
１３．嘉之助
１４．遊佐
１５．ベンリアック
＜総評＞
ヨーロッパ系の新興蒸留所の多くに、抑えきれないアルコールの鮮鋭感を得た。エネルギッシュといえば聞こえはいいが、もう少し熟成が待たれるように思う。逆に、なぜか南半球系のウイスキーにはその尖りがあまり看取できない。示された味わいに理解が追いつきやすい反面「なぜ？」という疑問が付きまとう。（調べればわかることだろうが）
国産ウイスキーに関しては、特に遊佐や嘉之助は価格の面でなかなか手が出ないが、私の予想を上回る味わい深さだったのが嬉しい誤算だった。
これは思っていたより、国産ウイスキーの未来は明るい気がする。
そして最後に、特筆して面白かったのが猫尾崎という台湾のウイスキー。
これは名前すらノーマーク。ポップでキュートなマスコットキャラクターもすでに作られており、ラベルのスタイルなどは同国のウイスキーファインドを彷彿とさせられる造りだ。（関係があるのかな？）
2022年創業ということなのでまだまだ若いけれど、台湾ウイスキーは短熟でも飲ませるウイスキーが出てくる印象なので、これは今後に期待したいウイスキーとして記憶にとどめておこうと思う。
（京都の試飲会にも来ないかなあ…）
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