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誰でもできる立体の描き方を伝授!〜建築家〜(おしごと算数#11)

子どものうちから鍛えると良いとされるスキルの一つ、空間把握能力。小学校高学年になると展開図や見取図など、平面図形と立体図形を行き来するような問いが出題されるようになり、苦手意識を持ってしまう子どもも少なくありません。「おしごと算数:建築家」では最初から頭だけで考えようとせずに、実際に手を動かして描いたり作ったりすることで、図形に対する体感覚を養います。身近な建物や憧れの職業をテーマにとりあげるのも、モチベーションアップの秘訣!

※本記事は、グッドデザイン賞受賞の小学生向け探究学習プログラム「なりきりラボ」「おしごと算数」の各テーマを紹介するシリーズ記事の一つです。

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<プログラム開発者、いわたく&すぎちゃんに聞きました!>

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いわたく(岩田拓真):
株式会社a.school(エイスクール)代表取締役校長。京都大学総合人間学部卒、東京大学大学院工学系研究科修了(専門分野は、脳科学とイノベーション)。大学院在学中に、ひとり親家庭に対して動機づけ教育を行うNPO法人Motivation Makerを仲間とともに創業し、理事に就任。Boston Consulting Groupにて経営コンサルタントとして勤務した後、a.schoolを創業。探究学習の塾「a.school」を運営するとともに、様々な創造的な教育コンテンツの開発に携わる。自分自身も新しいことを学ぶのが大好き。一児の父。

すぎちゃん(杉野 亮介):
慶応義塾大学経済学部卒業。学生時代に学習指導やテニスコーチの仕事を通じて「人に何かを教えること」に没頭。一方、日頃から思考ゲームや数学パズルなどに高じる、根っからのロジカルシンカー。大人の教育を手掛ける企業に7年勤務し、子どもの教育分野へ転身し、算数・数学の魅力を伝えるべく活動中。a.schoolではラーニングデザイナーとして、「おしごと算数」の企画開発に携わるほか、2017年3月〜2019年7月は柏の葉T-site校の同名クラス講師も務めた。

ー 今回の「建築家」は久々の"ものづくり系"おしごと算数ですね。

いわたく:確かに。今回はガッツリ手を動かしながら、建築家という仕事に挑戦します!まずどんな建物を建てるのか、構想を練ってから設計に落とし込みます。図形の概念を活用しながら図面を描くのですが、なかでも頭に浮かぶ立体のイメージと平面の設計図を行き来するのがポイントです。

\「建築家」全8回の流れ/
・はじめましての建築〜世界中の建築やその構造に迫ろう〜(Week1)
・立面図・平面図の考え方(Week2)
・建築パース(透視図)・設計図(立面図・正面図)の描き方(Week3-4)
・オリジナルの建物を構想しよう!模型作りに挑戦(Week5-8)

初回の授業ではクイズ形式で世界中の建築に迫りながら、建物への興味関心を引き出します。あと、ペーパータワーという20枚のA4コピー用紙だけを使って誰よりも高い建物をつくる遊びにも挑戦。シンプルなルールながら身の回りの高層建築を参考に試行錯誤できるので、ぜひご家庭でもやってみてほしいですね。

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すぎちゃん:ほかにも、実在する有名建築の設計図をみてどんな建物か想像するワークも面白いですよね。

ー 「建築家」というタイトルを聞くと、同じおしごと算数シリーズの「都市開発士」を思い浮かべますが、似ているところはありますか?

いわたく:うーん、「都市開発士」は街や建物を扱うというテーマ性では共通するところがあるのですが、算数の学習要素としては結構違うかな。

すぎちゃん:学習要素が一番近いのは「ファッションデザイナー」ですね。立体的なもの(建物・服)をつくるために、平面図を描くところが。あと、模型作りという観点では「模型クリエイター」の考え方や技も応用できますね。

今回の「建築家」は図形の中でも、平面図・立体図・展開図について徹底的に学びますが、面積・体積計算はやりません。

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ー ファッションデザイナーと共通点があるとは意外でしたが、言われてみたら確かに。洋服の場合は曲線を三次元化する難しさがありますが、今回はどうですか?

すぎちゃん:曲線を使った建物をデザインしたい子どもがいればもちろんサポートします! ですが、今回のシリーズでマスターしてほしい目標は、直線的な建築を図面に落とし込めるようになることかな。

まず建築に関心を持ってもらおうということで、初回の授業では世界中の有名建築を見て回るけれど、実際に作るのは大きな建造物よりも戸建ての模型を想定しています。子どもたちが把握しやすいサイズ感やリアルな間取りでないと、いざ模型を作ろうとなった時に無理!となってしまいますからね。

ー あくまでゴールは建築模型づくりということですね。具体的にはどんなプロセスでたどり着くのでしょうか?

いわたく:①イメージ構想→②建築パース→③設計図→④模型作りという4つのステップをたどります。

建築パースというのは透視図(Perspective Drawing)の略なんですけれど、要は建物が立体的にみえるように紙に描くことなんですね。新聞に織り込まれているマンションのチラシなんかも、この図法が生かされています。中高の美術の時間で習うこともあるこの透視図法、マスターしたら誰でも上手に立体を描けるようになります!

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すぎちゃん:透視図にはいろんなタイプがあって、図形のドリルでよく目にするのは等角透視図。でも本当のところ人の目にはどんなふうに映るのかというと、奥行きが出れば出るほど消滅していく(線が近づいていく)んですね。そんな「人の目に見える世界」を表したのが、建築家がよく使う1点透視図・2点透視図という描き方です。せっかく建築家に挑戦してもらうので、授業では1点透視図・2点透視図を、それも定規だけで描けるようになってもらいます!

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いわたく:建築パースは立体を立体らしく描いてどんな建物なのかイメージを掴んでもらうためのものなのですが、設計図は壁や屋根など建築の各要素を正確に作り込んで組み立てるために必要な「説明書」のようなもの。だから、まずはパースでイメージアップをしてから設計図に落とし込むというステップが大切なんです。

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設計図は平面図(上から見た図)・立面図(横から見た図)の両方を描いてもらいます。これもまた折込チラシの間取り図なんかが参考になるので、ぜひたくさん集めてコツを掴んでほしいですね!

ー 絵を描いたりモノを作ったりするのが苦手な子も、一つひとつ丁寧にステップを踏めば立派な模型に辿り着けそうなところがいいですね!

すぎちゃん:そうですね、今回の「建築家」はおしごと算数シリーズのなかでも一番専門職が強いプログラムかもしれませんね。細部に配慮しながら企画・設計・試作のサイクルをまわして試行錯誤を繰り返す必要があるので、まだまだ休校や分散登校が続いて日中暇を持て余しているお子さんにはぴったりかも。夏休みの自由研究にもおすすめです。

あと、図面おこしはなにも建築に限ったことではなくて、例えばティッシュ箱のような、おうちにある身の回りのものでもできるんです。「家庭のモノ図面図鑑」みたいなものも作れちゃうので、ぜひハマってほしいですね!

いわたく:あと今回から、2ヶ月間の探究の先にコンテストを開催する計画があるんです!名付けて「小学生探究グランプリ〜なりきり!建築家〜」。あったらいいなと思う夢の建物を設計図や模型で表現して、プロの建築家に評価してもらいます。詳細は近日中に発表予定なのでお楽しみに!

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▼(追記)第1回小学生探究グランプリ「建築家」を開催しました!受賞作品のご紹介はこちら

▼おしごと算数:建築家のプログラム詳細はこちらから

\2022年も、探究サマースクールで「建築家」を開講します!/

季節講習で建築家はいつも大人気。2022年夏は、本郷校(海外現地校・インター生向け/一般向け)・池上校(一般向け)の2ヶ所計3コース開講です。算数領域としては平面・立体図形の範囲を扱うので、計算が苦手なお子様にもおすすめ。建築家に憧れがあるお子様はもちろんのこと、工作好きのお子様にお楽しみいただける内容です。また、模型を組み立てる「模型クリエイター」・まちづくりを学ぶ「都市開発士」と併せて学ぶことで、都市計画・まちづくりの視点を養います。





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