見出し画像

データを読み解け!数字が教えてくれる、未来の世界〜未来予報士(おしごと算数#5)〜

小学生向け、アウトプット型・探究学習プログラム「なりきりラボ」「おしごと算数」(2019年度グッドデザイン賞受賞)。子どもたちの探究心や創造性を刺激する、数十の職業が詰め込まれています。マガジン「なりきりラボ・おしごと算数の世界」では、その一つひとつのタイトルの魅力をご紹介します。今回は、「未来予報士」(おしごと算数#05)です。

<プログラム開発者、いわたく&すぎちゃんに聞きました!>

画像1

いわたく(岩田拓真):
株式会社a.school(エイスクール)代表取締役校長。京都大学総合人間学部卒、東京大学大学院工学系研究科修了(専門分野は、脳科学とイノベーション)。大学院在学中に、ひとり親家庭に対して動機づけ教育を行うNPO法人Motivation Makerを仲間とともに創業し、理事に就任。Boston Consulting Groupにて経営コンサルタントとして勤務した後、a.schoolを創業。探究学習の塾「a.school」を運営するとともに、様々な創造的な教育コンテンツの開発に携わる。自分自身も新しいことを学ぶのが大好き。一児の父。

すぎちゃん(杉野 亮介):

慶応義塾大学経済学部卒業。学生時代に学習指導やテニスコーチの仕事を通じて「人に何かを教えること」に没頭。一方、日頃から思考ゲームや数学パズルなどに高じる、根っからのロジカルシンカー。大人の教育を手掛ける企業に7年勤務し、子どもの教育分野へ転身し、算数・数学の魅力を伝えるべく活動中。a.schoolではラーニングデザイナーとして、「おしごと算数」の企画開発に携わるほか、2017年3月〜2019年7月は柏の葉T-site校の同名クラス講師も務めた。

ー 未来予報士って、あまり聞き慣れないお仕事ですね。どんなことに挑戦するのでしょうか?

いわたく:子どもにもわかるうまい言い回しはないかなーと思って、こんなタイトルに(笑)。過去における数字の変化から未来を予測する、データアナリスト、といったところでしょうか。マーケティングの専門家よりもシンクタンクの研究者のイメージが近く、題材とするのは世の中の大きなトレンドや社会問題など。例えば漁獲量や日本人の身長、スマホの画面の大きさなどマクロなテーマから身近な話題までさまざまです。

すぎちゃん:算数の領域としては、時系列データの分析(数の規則性・数列)と2つの数字の関係性分析(比例・反比例/関数)の二つに挑戦します。どちらも小学校の授業で扱うのはごくごく一部ですね。学校では直接的に学ぶことはなくても、中学受験で出題されたり(数の規則性・数列)、理科の実験結果を整理するのに使ったり(関数)と、触れる機会はあるのですが。

いわたく:でも、データを分析して事実を捉えるスキルは文系理系問わず大人が必要とするものです。特に今はさまざまな数字が独り歩きする時代、インターネットを開けばデータの山です。それらを前に、正しく数字を理解しその先を推測できる力を子どもたちに授けたいと思って設計しました。同じ「おしごと算数」シリーズの経営コンサルタントに似ていますね。

ー 未来を予測する、と聞くととてもワクワクする一方で、実際に取り組む課題は大分難しそうです・・・

いわたく:そうですね、「おしごと算数」シリーズの中でもかなり難易度高めなんで、年間スケジュールの終盤にしか開講できないんです(笑)。前回夏前に開講したときは、新小1の子どもたちをかなり苦しませてしまったんで・・・(苦笑)。ただ、その時点から大幅に内容をテコ入れしています!

改善点は主に二つ。一つ目は、ステップ・バイ・ステップでデータ分析の技を身につけられるようにしたこと。一つひとつの見方・考え方の習得に、相応の時間と例題を費やすようにしました。二つ目は、プログラム後半の研究プロジェクトで取り組むテーマと関連データを予め準備したこと。実は前回、テーマ選びからデータ集めまで全て、子どもたちが好きずきにやるスタイルだったんですけれど、これがもう大変で・・・(苦笑)

ー テーマはどのように絞ったんですか?

すぎちゃん:データにある程度規則性があったり、因果関係があったりするもの(わかりやすいもの)を抽出しました。あと、子どもたちが興味関心にあわせて選べるように、ビジネス系からエンタメ系まで幅広いテーマを集めたのも特徴です。

例えば小4〜6年生を対象とするベーシック・クラスでは、9つのテーマから1つを選んで未来予報に取り組みます。データ量・数値(桁数など)・規則性(ノイズの多さ)の3つの観点からそれぞれの難易度を5段階評価しているので、取り組むテーマは興味関心に沿って、もしくは難易度別に選べます。

画像2

いわたく:(プロジェクトを)完全に自由課題にしてしまうと、適切なデータが存在するか、どのようにデータを収集するかという分析以前のところでつまづきがち。今回の狙いはデータ収集ではないので、ある程度こちらで材料を揃えたうえで、子どもたちが未来予報に集中できるようにしました。そのため、今回のプロジェクトは子どもたちの空想や創造を入れ込む余白はいつもよりかなり少なく、圧倒的に思考寄り。(ユニークなテーマ設定をするなど)余白が少なくなってしまったのは残念ですが、前回遊びも思考もどっちも!と欲張った結果、どっちつかずになってしまったので、今回は思考に振り切ってみました。

すぎちゃん:だからこそ思考力はかなり使います(笑)。その結果身につくのはデータから「気づき」を得る力です。日頃新聞やテレビで目にする表やグラフも、見方を知らなければ意味がない。このプログラムをとおしてデータの「見方」を養うことで、「なんでだろう」「不思議だな」とデータの秘密に気がつけるようになってほしいなと。今だと新型コロナウイルスにまつわる数字が毎日のように発表されるので、ぜひ時事問題にも関心をもって自分なりに洞察を得てほしいですね。

▼なりきりラボ・おしごと算数の紹介記事はこちらから!

▼エイスクールのHPはこちら



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?