オンラインでも、一人ひとりが「生み出す」学びを【小学生向けオンライン探究】
こんにちは!探究学習塾エイスクールの木幡です。
「オンライン学習」という選択肢が当たり前になってきたこの一年間。英語やプログラミングはもちろんのこと、「探究学習」や「STEAM教育」という新しいジャンルの学びも次々とオンライン化されていきました。
私たちエイスクールもご多分に漏れず、オンラインでの学びを試行錯誤し始めたのが昨年3月。もともと子どもたちや講師・メンターが積極的に関わり合いながら議論をしたり発表をしたり、作品作りに取り組んだり一緒に企画を立ち上げたりと「動きのある学び」「生み出す学び」を大切にする教室だったので、最初は自分たちも半信半疑だったんです。果たしてオンラインで同じような学び体験を届けることができるのだろうか、と。
そこで思い出したのは「答えはいろいろ。とにかく、試してみよう」というエイスクールの掟。普段口酸っぱく子どもたちに伝えているんだから、大人が率先して背中を見せなきゃ嘘だよね… ということで試行錯誤の日々が始まりました。1年間で3度(!)のリニューアルを経てようやくできあがったのが、今のエイスクール流「オンライン探究」です。
手探りのなか、オンライン探究スタート!
遡ること1年前の春、初めての緊急事態宣言が出る直前に、エイスクールのオンライン探究コースは生まれました。休校という前代未聞な事態を前に、とにかく子どもたちへ学ぶ楽しさを届けたい一心で作り出したカリキュラムがこちら ↓
はい、最初からちょっととばしすぎました(笑)。これまでに作り貯めたオリジナル・プログラムをまるっと放出して、毎日100名前後の子どもたちとわいわい大賑わい。子どもたちが初めて見聞きする"おしごとテーマ"のもと、みんなでクイズやゲームに夢中になりました。
ここで感じたオンライン探究の良さはなんといっても、日本全国(果ては海外まで!)に住む子どもたちとつながれること!そして、なにか新しい知識を届けたり盛りあがったりするだけなら100人でも200人でもいける!ということです。
たくさんの子どもたちに探究学習を届けたい私たちにとってこれは嬉しい発見だったのですが、同時に頭をもたげてきたモヤモヤがありました。
それは、「子どもの"やってみたい!"をどれだけサポートできているだろう、一人ひとりの成長にどれだけ目を配れているだろう」ということ。
そもそもエイスクールが一番大切にしてきたのは、子どもが新しいものごとを生み出す=アウトプットするのをとことん後押しすること。そのために、一人ひとりの学びに向かう姿勢や能力を最大限引き出すような伴走をすること。
でも、当初の授業形態では興味関心に火を点けるところまでしかできず、その先の探究・対話・議論・創作・実践・発表などアウトプット型探究の真髄にまではたどり着けなかったんです。
オンラインでも、生み出す=アウトプットする学びを
実際に走り出して初めて、自分たちが理想とするオンライン探究の形が見えてきました。緊急事態宣言が解除され「withコロナ」という日常が当たり前になるころには、いくつかのサービス・リニューアルを重ねることになります。
その1. クラス人数を大幅削減!100名規模から20〜30名に
その2. 少人数で学びを深める「ゼミ」「メンター制(固定)」を導入
その3. 2ヶ月間かけてじっくり学ぶ、プロジェクト型の学び
なんといってもまずは、人数問題をクリアすること。100名規模のクラスではどんなにスタッフ体制を工夫しても、全ての発言に耳を傾けたり子ども同士の対話を促したりする余裕がありませんでした。ましてや、一人ひとりの性格や能力に合わせたサポートなんて、到底無理。大人数ならではの盛り上がりも捨てがたいけれど、一人ひとりの顔が見えないなんて、ちょっと違うよな… そこで、みんなで盛り上がるレクチャー(20〜30名)と少人数でじっくり議論をしたり企画を磨いたりするゼミ(5名前後)とに分けて、それぞれの"いいとこどり"ができるようにしました。
そして、アウトプットまでの道のりを徹底伴走することに。インプットさえあれば自由にどんどんアウトプットし続けられる、という子どもはほんの一握りで、ほとんどの場合はもう少し踏み込んだ支援が必要です。それが高めあえる仲間や伴走してくれる大人(講師・メンター)の存在であったり、ステップ・バイ・ステップで丁寧に設計されたプログラムであったり、子どもたちのワクワクを没頭へとつなげる仕組みなんです。
こうして改めて眺めてみると、全部教室でやってきたことばかり。なんで最初から同じことをしなかったの、と聞かれると、正直なところオンラインではそこまでアウトプットできないんじゃないかと思っていたからなんです。そんな私たちの思い込みが見事覆されたのは、「建築家」というプログラムを開講したときでした。
子どもたちの作品を見て感じた、大きな手応え
平面図形と立体図形の特徴をいかしながら、理想の建物をオリジナル建築模型として表現するのが「建築家」というプログラム。プロ同様に、「パース図」という奥行きのある図面を描いたり、スチレンボードで模型作りをしたりします。
「オンラインで、本当に模型なんて作れるんだろうか…」
という若干の不安もありつつ、それでも「自分だけの建築模型を作る楽しさを味わってほしい!」という一心で開講したこの授業。
果たして結果はというと… 百聞は一見にしかず、ここでRちゃん(小2)のエピソードを紹介したいと思います。
最初は縮尺の計算に苦戦したり、まっすぐスチレンボードを切れなかったりしていたRちゃん。それでもパース図は壮大で、「一体どんな模型になるんだろう…実現できるかな…」と少し心配になったことを覚えています。
▼Rちゃんのパース図は工夫がたくさん!でも屋上にはどうやって行く…?
それでも、ゼミで仲間の設計図や作りかけの模型を見ては、「ここはどうやってつくったの?」とたくさん質問していたのが印象的でした。頭に浮かんだ理想のイメージを彼女なりに書き出せているからこそ、講師からのフィードバックも「屋上にはどうやって出る?」「設計図に縮尺を書き込んでみよう!」とより具体的に、実現へと後押しするものになっていきました。
そして2ヶ月後、私たちのもとに届いたのが、こちらの写真です!
正直、驚きました。
最初はふわっとしたイメージでしかなかったものが、よくぞここまでこだわり抜いたと感心したものです。講師から受けたフィードバックをもとに屋上へと続くはしごをかけたり、タイルや芝生の工夫はゼミ仲間から学んで採り入れたりと、【レクチャーやゼミで刺激をもらう⇔一人で制作に没頭する】という探究サイクルを見事にまわせていました。
「オンラインでもここまでできるんだ!アウトプットも十分できるぞ!」とオンライン探究の可能性を確信した瞬間でした。
オンライン探究だからこそ!2つの魅力
オンライン探究の可能性を子どもたちに見せつけてもらうと同時に、オンラインならではの利点も見えてきました。
その1. 自宅だからこそ!途切れぬ没頭
その2. 遠隔だからこそ!つながる世界
その1. 自宅だからこそ!途切れぬ没頭
基本的に自宅で受講するので、通塾時間は0秒。授業でモチベーションが高まったら、そのまま家で好きなだけアウトプットに没頭できる。この没頭への接続の速さが大きなメリットなんです。
さらに自宅だからこそ、リラックスして受講できるという点も見逃せません。実際にいつも味付け海苔を食べながら参加している子もいます(笑)。 教室だと緊張してしまったり、周囲の刺激に反応しがちだったりする子にとって、"ホーム"でのオンライン受講という選択肢は大きな安心につながります。
その2. 遠隔だからこそ!つながる世界
ゼミを導入して再認識したのは、一緒に探究する仲間の存在が探究を加速させるいうこと。そしてその仲間が、地域やコミュニティ・学年を超えて集まることが大きな刺激になるということです。エイスクールの教室は多様性があるほうだと思うのですが、流石に県境や国境を超えてつながることはまれ(笑)。
例えばこちらの作品は、中国に住む子どもが「エレキエンジニア」に挑戦したときの様子。その名も「お風呂がわきました」という仕組みで、中国の生活環境ならではの着眼点が面白いですよね。なによりも、毎週顔を合わせる仲間が中国や九州、オーストラリアに住んでいるなんて、とってもワクワクしませんか?!
それでも、教室でしかできないこともある
「オンライン探究」のあり方を探って1年間、私たちなりの答えに近づいてきました。一人ひとりの成長支援にコミットする、アウトプットに向けた伴走を諦めない、オンラインならではの学びやコミュニティを創り出す。想像以上に広がる可能性に気づく一方で、やはりこれは教室でしかできないよな、と思うことも。
細かい手元の作業を横で見ながら手を添えてサポートすることや、みんなで一緒に身体を使って表現すること、授業前後にその場で自然発生的にうまれる遊び… 特に自分の考えや目の前の事象を言葉で説明することに限界のある低学年〜中学年の子どもたちは、非言語コミュニケーションをとおして理解しあえる教室環境のほうがいい場合も多々あります。実際にオンライン開講に適さないプログラムもいくつかあり、オンライン探究では教室とは異なる年間カリキュラムを組むことになりました。
なので今のところ、お住まいの近くに教室(エイスクール直営校もしくはパートナー校)がある方には教室受講をおすすめします。近くに教室がない、低学年だから一人で通えない、など教室に通うのが難しい方はぜひ、オンラインをお試しください。まだまだ発展途上ですが、現時点で考えうるベストなオンライン探究 〜授業で発見、おうちで没頭〜 をご用意してお待ちしています!
オンライン探究の詳細は下部の資料もご覧ください!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?