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子どもも作り手になれる、映像の世紀?!〜ユーチューバー(なりきりラボ#12)〜

小学生向け、アウトプット型・探究学習プログラム「なりきりラボ」「おしごと算数」(2019年度グッドデザイン賞受賞)。子どもたちの探究心や創造性を刺激する、数十の職業が詰め込まれています。マガジン「なりきりラボ・おしごと算数の世界」では、その一つひとつのタイトルの魅力をご紹介します。第四弾となる今回は、ユーチューバー(なりきりラボ)です。


<プログラム開発者、いわたく&ほっしーに聞きました!>

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いわたく(岩田拓真):
株式会社a.school(エイスクール)代表取締役校長。京都大学総合人間学部卒、東京大学大学院工学系研究科修了(専門分野は、脳科学とイノベーション)。大学院在学中に、ひとり親家庭に対して動機づけ教育を行うNPO法人Motivation Makerを仲間とともに創業し、理事に就任。Boston Consulting Groupにて経営コンサルタントとして勤務した後、a.schoolを創業。探究学習の塾「a.school」を運営するとともに、様々な創造的な教育コンテンツの開発に携わる。自分自身も新しいことを学ぶのが大好き。一児の父。

ほっしー(星功基):
学び表現作家/a.school研究開発者。慶應義塾大学環境情報学部卒業。佐藤雅彦研究室にて「ピタゴラスイッチ」(NHK Eテレ)や「日常にひそむ数理曲線」(ベネッセコーポレーションとの共同研究)などのプロジェクトに携わる。ベネッセコーポレーション進研ゼミ中学講座にて、12年間、理科や数学の教材編集、デジタル推進を担当。「学びは自分たちでつくる:Cスタ」など、学びと表現の間を探る活動・作品づくりを行う。「文字とことばのデザインユニット・二歩」として2019年11月にはじめての絵本を刊行。


ー 「ユーチューバー」が職業として語られる時代が来たことに驚きがありますが(笑)、今回はどんなプログラムなんですか?

ほっしー:最終アウトプット(作品)はずばり、「自分の好き」を詰め込んだYouTube番組です!

全8回の授業のうち、前半3回では、YouTube番組の引き出しを増やすこと、YouTube番組の《作り方》の引き出しを増やすことの二つに挑戦します。

まず、YouTube番組の引き出しを増やすことなんですが、YouTubeにアップされている番組の種類や特徴を徹底的に分析するんです。普段なんとなく受け身で見ている番組を、徹底解剖する「メガネ」をかけて見てみると、どんな特徴が浮かび上がってくるだろう、なにが人気の秘密なんだろう、と探究するんですね。

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さらに、今現在YouTubeにアップされているような動画だけでなく、これからYouTubeに投稿されるかもしれない未来の番組を想像してみます。例えば、テレビ番組との比較。今のYouTubeには「やってみた!」系の実験番組や、ゲームの実況中継番組などが多いけれど、それ以外の可能性を探るため、あえて「昔ながらのテレビ番組をYouTubeで流したら・・・?」と思考実験してみるんです。テレビ番組だけじゃなく、映画や、今だとNetflixのようなオンライン・ストリーミングも分析してみると面白いかもしれませんね。

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そうしてYouTube番組の特徴をたくさん発見することで、次のステップでいざ自分の番組を作ろう!となった時にいかすんです。あの番組のこの要素と、この番組のその要素をかけ合わせたら、オリジナルの面白い作品ができるんじゃないか?!と。

ー あえてテレビ番組の考察もする、というところが面白いですね。

いわたく:映像・動画を通して何を伝えるのか、人々にどんな変化を起こすのか、という目的のほうが大きいのかもしれませんね。YouTubeはあくまでその配信手段の一つであって。映像・動画の特徴を深く探究する分、YouTubeならではの制作ノウハウの習得という側面は少し弱めかもしれない。最近はやりのYouTubeに特化したプログラムとは、ちょっと違うところですね。ちなみに、プログラム後半ではミニコラムとして、テレビの歴史にも迫ります!

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ー Youtube番組の《作り方》の引き出しについてはどうでしょうか?

ほっしー:主に、①企画をたてる ②撮影する ③編集するの三つのステップがあるのですが、実際は③②①と逆から学ぶのがポイント。企画をたてるのってとても抽象的なのだけれど、編集だと具体的な素材を目の前にすることができるから、体感しやすいメリットがあるんです。「こういう動画素材があって、こんなふうに編集したらどうなるだろう?」「こういう動画素材を撮るとしたら、どんな準備やプロセスが必要だろう?」「そもそも、こんな動画を撮ろうと企画するのって、何が必要だっただろう?」と、逆算していきます。

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ー 「自分の好き」を形にするプログラムは、a.schoolの定番ですよね。ゲームデザイナーとか、絵本作家・漫画家とか。今回ユーチューバーならではの「好き」の突き詰め方はありますか?

いわたく:今回は、例えばゲームデザイナーのように時間をかけて深く内省して「好き」を掘り起こすことはせずに、割と直感で進めます!ここでいう「好き」も大きくは三つの切り口があって。

1. テーマ・モノ・コト(恐竜、宇宙、アニメなど)
2. 番組タイプ(伝え方・アプローチ)
3. 制作プロセス(企画・撮影・編集)

1〜3のどこにフォーカスしてもいい自由さがあるので、どの子もなにかしらのめり込める要素を見つけられるんじゃないかな。特に2・3は、前半3回で徹底的に引き出しを増やすからこそ、挑戦できる幅も広がりますね。

ちなみに、ゲームデザイナー、絵本作家・漫画家、ユーチューバーと合わせて、クリエイター三兄弟とよんでいます(笑)。どれも自分の好きを題材に、表現の方法論を少しずつ違えて挑戦できるのがポイント。アプローチが変わるだけでアウトプットがここまで違う!という面白さを体感してほしいです。(なりきりラボ「クリエイターコース」として、サマースクールなどで開講予定)

ー 最後に、受講されるみなさんへのメッセージをお願いします!

ほっしー:とにかく最後までつくりきってみる、というのが大事。今回、取り組む期間や機材に制約がある中での挑戦となりますが、まずは一度やりきることで、モチベーションに火がついたら、その後はマイプロジェクトとしておうちで試行錯誤を続けてみてほしい。ユーチューバーとしてまずはデビューするための、2ヶ月間です。

いわたく:プログラム最後のスライドにも書いたのですが、自分の好きなことを日々発信し続けてほしいなと。好きの発信、という意味では、映像・動画にこだわる必要はないんです。でも一方で、僕らの子ども時代と違って、映像は確実に身近で手の届く存在になっている。スマホでぱっと動画を撮れる敷居の低さがあるんですよね。だからこそ、映像に対する感度をあげることは、これからの時代重要なんじゃないかなと。

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あと、保護者の方々にとって、YouTubeって悩ましい存在でもあると思うんですよね、子どもがスマホにかじりついているのは不安、とか。でも、(YoutTube番組の引き出しを増やす、で話したような)「メガネ・見方」を身につけると、それこそ浴びる学びから探す学びへ、さらには創る学びへと発展する可能性は大いにあって。折角の機会なので、親子で一緒にYoutubeにハマってみてほしいですね!

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グッドデザイン賞受賞の小学生むけ・アウトプット型探究学習プログラム「なりきりラボ」「おしごと算数」は、東京は本郷・池上の直営校のほか、全国のパートナー校で受講できます!(2020年4月からは、オンライン受講も可能に!)くわしくはエイスクールのホームページをご覧ください。


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