【長編小説】清掃員の獏(14)
前回
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しばらくすると、空澄は手招きして歩き始めた。
「どこへ行くの?」
「彼を迎えに行かなきゃ」
暗闇の中、ぼんやりと光って見える空澄の背中を追いかける。歩くのが速い空澄に置いていかれないように、沙凪はたまに早足になったり小走りになったりする。空澄は、沙凪がギリギリついてこられる速さを保って歩き続けた。
しばらく歩くと、暗闇の先が白くかすみ始めた。空澄はその手前で足を止める。
「彼が必要。沙凪だけじゃここから出られない」
空澄が横にずれて道を開ける。ここからは