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長田海浜公園に残る旧道敷 山口県周南市

最近水難事故の小さな話題があった長田海浜公園だが、ここに旧道の欠片が残されていることを知っている方は多くないだろう。今回は、おそらくほとんどの人が気にも留めない、可愛い道路の断片の紹介。

最新の地理院地図だとこのように庭園路が描かれている部分。緑色矢印を付けたのですぐ分かると思う。

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並行して2本の庭園路が通っているが、この北側の道が旧道敷だ。新旧航空写真を比較するとより分かりやすい。元々の海岸線から埋め立てによって陸地が延長され、南側の庭園路が新たに作られていることが一目瞭然だ。

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さて、肝心の旧道がどうなっているかと言うと、こうだ。旧道西端側から撮影。

原っぱの中で何の脈絡もなく道が始まっている。
この道を見つけた当時は何の予備知識もなく、道があるとも思っていなかったので、突然の出会いに興奮したものだ。

少し道に入ってから振り向いて撮影。道が完全にぶった斬られていている。可愛いくもあり、不憫でもある。多分、道路趣味者じゃなければ、何も感じない光景なんだろうが。

東へ侵攻。岬を回り込む部分だ。このガードレールは、車道なのか。こんな所に。軽トラが辛うじて通れるくらいの道幅だ。

看板。テストの穴埋め問題のようになっている。消されてしまった四角の中は何だろう。「自動車」かな。
潮風にやられて溶けたような姿になったガードレールも可愛いなあ。
これ、ガードレールの外は見るからに後付けの地面=埋立地だ。
昔はこのガードレールの先がすぐに海岸線になっていたんだね。このことは後に、過去の航空写真によって確かめられた。


さらに進むと、埋立地と旧道を連絡する小さな階段状の構造物が見えた。

階段を下りて旧道を撮影。
ああ、可愛い石垣が埋まってる。この石垣部分がかつての海岸線に違いない。今立っている場所は50年ほど前は海だった。
右の方を見ると、もう道が…

舗装は密林に突っ込み途絶えた。
100mにも満たない僅かな区間残された旧道敷はここで行方不明となる。

埋立地をさらに東へ進んでから、振り返って撮影。旧道は左端の林に突っ込んで消えた。緑の芝生の斜面の上に広場があり、今は駐車場として使われている。道はそのあたりに繋がっていたのだろうが、痕跡は見つからなかった。斜面の下は全て人工の大地だ。

風光の良い公園の片隅で、どこにも繋がることなく、誰にも注目されず、静かに横たわる旧道敷。そんな可愛い存在の紹介でした。

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