見出し画像

『日本が売られる』にみる政府の手口 【政治と政府と日本の悪事 7月号】

この記事では、堤未果氏の『日本が売られる』という書籍をもとに、政府の手口を分析したいと思います。

同書では、売られたものとして、次の18個が解説されています。大きな分類として、「資産」と「未来」に分けられています。
第1章 日本人の資産が売られる
1 水が売られる(水道民営化)
2 土が売られる(汚染土の再利用)
3 タネが売られる(種子法廃止)
4 ミツバチの命が売られる(農薬規制緩和)
5 食の選択肢が売られる(遺伝子組み換え食品表示消滅)
6 牛乳が売られる(生乳流通自由化)
7 農地が売られる(農地法改正)
8 森が売られる(森林経営管理法)
9 海が売られる(漁協法改正)
10 築地が売られる(卸売市場解体)
第2章 日本人の未来が売られる
1労働者が売られる(高度プロフェッショナル制度)
2日本人の仕事が売られる(改正国家戦略特区法)
3ブラック企業対策が売られる(労働監督部門民営化)
4ギャンブルが売られる(IR法)
5学校が売られる(公設民営学校解禁)
6医療が売られる(医療タダ乗り)
7老後が売られる(介護の投資商品化)
8個人情報が売られる(マイナンバー包囲網拡大)

資産では、水や土といったものから、タネや食に関するものが売られています。未来では、労働者や学校、医療が売られています。

政府の手口としては、基本的には、法律を変えることにより売っていると思われますが、そこにどのような手口があるのかという視点で整理していきたいと思います。

まず一回目は、水が売られる、です。

水が売られる(水道民営化)

これは、大雑把にいえば、水道事業を民営化して外資に売り渡し、利益は外資にわたし、リスクは自治体と国民に負担させる狙いです。

同書では、外資としては、世界最大の水ビジネス企業である仏ヴェオリア社があげられています。

ここで、民営化による国民にとってのリスクは
・水道料金の値上げ
・公営化に戻す際の費用(株の買い戻し、違約金、賠償金)の税金での支払い
・品質の低下
であると考えられます。

水道の民営化を行なったのは、日本だけではないようです。南米、アメリカ、アジア、ボリビア、そしてそれらの国々は、民営化されたものを公営化に戻しています。というのも、次のような問題があったとされるためです。
・水道料金高騰
・財政の透明性欠如
・公営が民間企業を監督する難しさ
・劣悪な運営
・過度な人員削減によるサービス低下

政府の手口

詳細は、同書を見てもらうこととして、以下の手口がありそうでした。

1.民間に委託できるように法律を改正する。
2.「民営化こそが解決策だ」というキャンペーンを実施し、国民が疑問を持たないようにする。
3.外資企業にとってのリスクを減らし、確実にリターンが見込めるように法律を改正する。
4.自治体の弱みにつけ込む
 例:自治体が水道民営化しやすいように、企業に運営権を売った自治体は、地方債の元本一括繰り上げ返済の際、利息が最大全額免除させるようにする。
5.手続きを簡略化する
 例:水道料金は厚労省の許可がなくても、届け出だけで企業が変更できるようにする。
6.市議会等の地方議会が反対できないように特例を法律に盛り込む
7.運営する企業ではなく、自治体に責任を負わせる
 例:災害時に水道管が壊れた場合の修復も、国民への水の安定供給も、どちらも運営する企業ではなく、自治体が責任を負う

水道事業の民営化に関しては、次のような時系列のようです。詳しくは同書を参照してください。

・小泉政権時(2001~2006年)に、竹中平蔵主導で、水道業務の大半を民間に委託できるように法律を改正
・2011年3月11日 PFI法改正案を閣議決定。
 自治体が水道を所有したまま、運営だけを民間企業に委託できるようにする「コンセッション方式」の導入。
 ※PFTは正式名称は「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」のようです。
・2011年6月 改正PFI法が公布
・2012年3月 外国企業が単独で日本の水道事業を運営する初のケースが現れる。その企業とは、仏ヴェオリア社。
・2013年4月 日欧EPA協定(日EU経済連携協定、EPA:経済連携協定)の交渉開始
・2018年5月 企業に公共水道の運営権をもたせるPFI法を推進する法律が可決される。
 自治体が水道民営化しやすいように、企業に運営権を売った自治体は、地方債の元本一括繰り上げ返済の際、利息が最大全額免除させるようにする。
・2018年7月5日 水道民営化を含む「水道法改正案」が衆議院本会議で可決
・2018年7月 日欧EPA協定署名

EPAに関しては勉強不足のため、どのように考えればよいのかは分かりませんでした。

課題とまとめ

今回紹介した手口をもとに、新たな法律や法改正のパターンが見つけられるかもしれません。

どのような原則に基づくのかといえば、それは、
・外資が儲かり、国民が損をする
ようにすることが原則に思われます。

この原則に則り、
・外資が参入しやすくする
・外資にとってのリスクを低減させる

ように法律を改正します。

関連記事

水道民営化のウラに…麻生財務相“身内に利益誘導”の怪情報


水道民営化で特需か 仏ヴェオリア日本人女性社長の“正体”

安倍政権、強硬に水道の事実上完全民営化を進める背景…“外資支配”に貢献する麻生太郎副総理


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?