[Short Story] 覆い隠すもの

この記事を読んで浮かんだ、妄想の未来。

きみの頬を両手で包み込み、その指先は耳たぶに優しく触れる。
敏感な耳の裏を掠めながら、そのすぐ下の紐を外す。

まずは右の耳から。

露になる鼻の先。
艶めかしく濡れる唇。

左の耳も、裏の敏感な素肌をそっとさすりながら紐を絡め取り、マスクをすっかり外す。

ぼくはもう一度、柔らかい唇に視線をもどし、指でそっと触れる。
きみはうっとりと唇を開き、恍惚となる。

ぼくは背徳感を感じて法悦にひたる。


*****

マスクをすることが常識になり、素顔で外を歩くことが禁止となった未来のお話。
イスラム文化のニカブの男女共通義務化みたいな。
禁止と、それを侵犯する背徳の先に、恍惚あり。
(by バタイユ)

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