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アカスリ&リンパマッサージ、100分でうけとったもの

朝から有意義に過ごそうと思って、最初に思いついたのはラクーアだった。温泉につかって、久しぶりのアカスリしてもらって、マッサージも予約しようかな。でも電車に乗ってわざわざでかけるのも気が乗らず、結局家の前から出ているバスで行ける場所にしようと検索していたら、ホットペッパーで大幅割引しているアカスリ&リンパマッサージの店を見つけた。歌舞伎町をさらに奥へ行ったところ。途中まではよく知っている場所だけど、そこから2分くらい先・・・まあ迷うこともなさそうだし、なにしろ15000円のコースが8000円くらいになってるんだから、と、14時に予約をとった。

怪しいドアの先、おだやかな女性

わたし、歌舞伎町からこんなにすぐのところに大久保があるって知らなかった。ほどなく韓国料理屋の立ち並ぶ界隈へと足を踏み入れることになって、その店は1階が韓国語の料理店の怪しげな雑居ビルの中にあるようだった。
古びたエレベータ、暗い廊下、ギシギシと音がなりそうな重い鉄の扉。少しだけ警戒心が高まる中、丸いドアベルを押すと、中から片言の日本語の女性が出迎えてくれた。

「はいそこにまず座って」
「コートはハンガーにかけてねー」
「できた?そうしたらお金は8000円ね。3時40分までねー」

窓は黒く目張りをされたマンションの一室は、きれいに整頓されてはいたけれど、暗く、調度品はまちまちで、ニベアのボトルとか柄の布とかが積まれていたり雑多な雰囲気。でも怖い感じはしないな。いい人そうだし。
先払いでお金を渡すと、言われるがままに、服を全部脱いで裸体+紙パンツのなんとも無防備なすがたに。そのまま浴室のようなところに誘われ、アカスリ開始。

アカと一緒に落ちていく何か

アカスリは初めてじゃない。
何回か経験があるけれど、前回行ったのはたぶん3〜4年くらい前だからアカはきっと溜まりまくっている!もともとアカスリに行くとびっくりするくらい出る方だけど、肌は意外と弱くて、強く擦られると痛くてしかたないので、結局弱目の施術になって1回じゃ取りきれず「あなたは定期的にアカスリしたほうがいいのよ」といつも言われる。
今回も「痛いです〜もうちょっと弱く」と伝えて弱めてもらうけれど、それでもお湯をかけられるとひぃってくらい滲みる。
でも、ボロボロと取れたアカが台の上に落ちていく様子や、跳ね返って手にあたったりすると、きれいになってる実感がしてうれしい。
そして・・・手が気持ちいいのだ。途中でアカスリの手袋を取って、ボディソープで洗い流してくれる女性の温かい手が、私の肌をすべって、あ、人肌だ、って思った。抱擁されたわけではないけれど、包み込まれるようなあったかさ。なんだか心底安心してしまうような感じ。素っ裸で無防備で触られてるのもあるかもだけど、人にあまり合わずに過ごしている私の心にじーんと滲み入ってくる。

「お金払ってるんだからやり残したらもったいないでしょ」

と、女性は言う。
入念に40分すりすりしてもって「つるつるになってるわよ〜さわって」。
言われて自分の太ももを触ると、確かに!つるつるすべすべ、私の肌じゃないみたい。気になっていた胸の間のザラザラもなくなって、どうしよもなかった背中やバストの下も、すっかりきれいになった。薄くあったシミなんかも消えてしまった気がする。
不思議だ、なんだか心まで軽く感じられる。

毎日家で1回は身体を気にしなさい

次の60分はリンパマッサージ。
ラベンダーの香りのするオイルを塗られて、あったかいタオルをかけてゴリゴリマッサージされる。力、強い、すばらしい!この女性の細い腕からこんな力が出るんだってくらい強くゴリゴリされる。

パソコンを使う仕事をしているせいか、もともとかなり上半身が固いようなのだ。以前通っていたマッサージ師の人にも、こんなところに骨みたいな塊がある、筋肉が骨みたいになってる、と言われながらやってもらっていて、あまりに凝りすぎて最初は痛みすら感じない状態だった。

マッサージは約1年ぶり。
やっぱり今日もやっぱりカチカチで、「固い、ゴリってなるよ」「スマホばかり見てる?」と女性はつぶやきながらゴリゴリしている。
でもまあ、マッサージ屋さんや整体やさんってきっと誰にでも「凝ってますね〜」とか言うんだと思う。その方が来た甲斐あったって思うし、毎日頑張ってるんだよわかってくれるかい?って気分にもなるし、「だからまた来てくださいね」っていうトークにも繋げやすいだろうし。
だから凝っているんだろうとは思いながらも、話半分に聞いていたんだけど、女性はこんな言葉を続けた。

「リンパ毒、溜まってるから」
「首は力弱めに、鎖骨から方にこうして、ここリンパね。そこから下に行って首にいってー、脇の下へ抜ける。これを家で毎日やらないと」
「顔がひと回り小さくなるからやって」

え?家でやるの?
それめんどくさがりすぎてわたし全然自信ないんだけど。だから
「また来ますよ(笑)」
冗談めかしてそう言ったら・・・・叱られた。

「お金でなんでもしようってのはダメよ」

え。あ。はい。

「簡単な体操もあと教えるから」

え、え。あ。はい?・・・なにこれ、めっちゃいい人やん。
女性はリンパの上をなぞるようにゴリゴリして、台の上に上り背中を跨ぐ形で上からグイグイと押していく。相変わらず手から伝わる人感が、心地よくて、こんなふうに人に触られたのっていつだったかなって思った。

「女性は顔だけじゃなくて全身。1日1回はちゃんとみないと」

・・・そうかー。わたし顔も何日かに1回しかちゃんとみてなかったかもしれないし、体なんてもう長いことほっときっぱなしだったよね。1日1回体のことを気にかけてみるって、昔はしてた気もするけどいつの間にしなくなっちゃったんだろう。

あらかじめお願いしていたヘッドマッサージもしてくれた。髪の毛ぐしゃぐしゃにされながらゴリゴリゴリゴリ。イタ気持ちいい。そしてピンピンと髪の毛を束にして抜くみたいにして引っ張られて、なんだかおかしかったけど、意外に効いてる感じ。

温かいものを受け取った100分間

終わって、ゆず茶をいただいた。
ふんわりと懐かしい味がした。これはオーナーが手作りしているものなんだそうだ。

「アカスリの後は毛穴が開いているから、寒く感じるの。しっかりコートの前を閉めて外に出てね」

毛穴が開いてるから寒く感じるっていうのが、科学的に正しいのかどうかは知らないけれど、確かにさっきより冷気を肌に感じる気がして、コートのファスナーを上までしっかりと上げた。
でも、こころはじんわりとあたたまっている。

(・・・ゆず茶、おいしかったな)

実家に生えていた柚子の木を思い出した。毎年たくさんおくってもらって柚子ジャムを作っていたけれど、今年はやらなかったな。こないだ買った柚子、まだ冷蔵庫に残っていたっけ。腐る前に砂糖で煮込んでおこうかな。

人が人の身体を施術すること。
今まではあまり意識したことがなかったけれど、人肌をわけてもらうってことなのかもしれないな。温かい心に触れて、温かい手を向けてもらって、とても大切にしてもらった100分間だった。
この100分で8000円じゃ、安いでしょ。お得なスペシャルコースではあったものの、やっていけるのかな大丈夫かしら。こんな心のこもった施術だったら元の15000円でも足りないくらいだ。

また来ますね。ってわたしが言った時、今日一番のシワを寄せて微笑んだ女性の顔が忘れられないから、また行かせてください。
今日はあたたかいものを、ありがとう。
リンパマッサージも家でがんばってみます。
なるべく・・・

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