乳がん疑い、からの検査体験談

最終検査結果はまだだけれど、どうやら大丈夫そうだった私の「乳がん疑い」の話を書いておこうと思う。自分の忘備録の意味もあるけれど、実際自分が体験してみて、調べてもわからないこと、勘違いしていたことが結構あったし、調べて出てくるのは最終的に乳がんになった話ばっかりだったから、そうじゃない人の体験談もあるといいのだろう、と思ったから。長くなると思うけれど項目ごとにまとめてみる。

皮膚科でリンパ腫と言われ、内科に駆け込んだ

私の乳がん疑いは、思わぬところから始まった。
昨年の夏頃、脇の下に小さなおできかみたいなやつができたんだ。触ってみるとコリコリとしていて、サイズは8mmくらいかな。
これに似たやつ、他にもあるし気にしないでいいだろうな、と自己判断をして放っておいたら…冬あたりにちょっと大きくなってきた。
その時点で少し不安になった。
だって脇の下のしこりってよくないっていうじゃない?まさか?いやでもまさかだよね。…結局急いでどうこうするでもなく、行くならまず皮膚科だろうと少し近所の皮膚科を調べたりしたけれど、いつもの行動範囲内に評判のいい皮膚科が見つからず、すぐに数ヶ月が経過してしまった。

それがある日、ちょうど歯医者の帰り道。駅前に新しく皮膚科がオープンしているのに気づく。
その日、歯医者で保険の効かない高い詰め物(7万円!)をした私は「ちゃんとするのだ!」の気分高揚、そういえば脇の下のやつもちゃんとするのだ!という気持ちになってその皮膚科に駆け込んだ。
できたばかりの皮膚科ゆえか、待ち人はいない。すぐに若い女性の先生が診てくれることになって診察室へ。
そしてビニールの手袋をはめた先生が見て、「これですか?」と言いながらくりくりとちょっと触って、すぐにこう言った。
「これ、リンパ腫ですね」
…え?!
「皮膚じゃないです、リンパ腫と思われます」
…リ、リンパ腫ってあのリンパ腫のこと? でも先生は続けて
「まだ小さいので放っておいてもいいと思います。倍くらいになるようならもう一度診察してみてください」

いやいやいや、リンパ腫って聞いてしまうと心中穏やかじゃないですよ。
気になって検索すると、案の定悪いことばかり出てくる!そもそもリンパ腫って皮膚科の分野じゃないよね。倍くらいまでになって取り返しがつかなかったら恐ろしいことこの上ないので、急いで糖尿検査で行ったことのある近所の内科の個人医院に予約をとった。

そして次の日、その内科で触診ののちに超音波で検診。看護師さんがゼリーを塗りながら、まず脇の下をみてくれて…
「これ、リンパ腺よりも浅いところにある気がするんだけど、内容物もあるし…なんだろう?」と。そしてさらに乳房も検査していった(そうか、脇のしこりは乳がんを疑うのか)。
すると、
「右側の乳房になんかあるみたい。内容物もある」
…内容物ってなんですか。というか脇の下じゃなくて胸ですか!?

先生も画像をみながら
「うーーんよくわからないけれど、乳腺外科にみてもらう?」と。
先生がわからないものを「どうする?」って言われても私も判断できないんだけど、単なるおできだと思ってたものが乳になんかあるって、いよいよ深刻さを増したように感じらるし、検査したい。

「じゃあ乳腺外科どこがいい?このへん大きな病院たくさんあるからさー。女医さんのいるところがいいよね?」
あ、別に医者にかかるのに乳見られて恥ずかしいとかないから男性でもいいです。「強いて言うなら腕のいい人がいい…」と言ったら「それが一番難しいんだよ」と笑われて、
結局いま大学病院はいろいろ大変だろうから大きめの病院ということで一駅先の大きな病院の乳腺外科への紹介状を受け取って帰った。

乳がんって、婦人科でもなければ単なる外科でもなく乳腺外科なんだなあ。
そして帰って、やっぱり夜になると「乳がん」を検索しまくって、やっぱり怖い話ばかり出てくる。もともと心配性だし、なんだかわたし死ぬんじゃないかと、そういう気分になってきて…専門医にかかる日が待ち遠しかった。

初めての乳腺外科外来

紹介状をもらった病院の乳腺外科は、専門の担当医がいるわけではなく、持ち回りで4人の外部医が週1日「乳腺外科外来」を開いているもの。週に1度木曜日しか受診できるタイミングはない。
直近の木曜日に予約をとって、初めての検診で担当してくれたのはとても朗らかで面白い男性の先生だった。

ひととおり説明をしたら
「うんうん、紹介の内容はわかった。つまり君はこれが死ぬようなものか死なないものかを確かめにきたわけだね!」
いや、まあ、そうなんだけどね(笑)
「じゃあまず、脇の下のそれ見せて」
と、その先生は見てすぐに「あ、これはアテローム、粉瘤って知ってる?脂と汗が固まってできてるやつ」と診断をつけた。早いな(笑)リンパ腫でなないのね。でも念のため「皮膚科でリンパ腫って言われたんですけどー」と伝えてみると
「うん全然違うよ、皮膚科っていうかアテロームは外科の範疇だから皮膚科の先生専門じゃなくてわからなかったかな?」
と。あっさりとリンパ腫疑いは消え去った。
次は胸の「内容物のある何か」。それについてはまずマンモグラフィを撮って、それから超音波で確認をして、生検って言って針を差して組織を採取する検査をするかどうか決めたい、とのこと。
針?組織を採取?「…それ、痛いですか?」痛いのほんと苦手。思わずそう聞くと
「麻酔するし全然痛くないよ〜」
そっか、よかった。ちょっとほっとした。

ちなみに、アテロームに関して、なんかリンパ腫に間違われたし忌むべきものな感じがして「これ取ってもらえないですか?」と聞いたら
「え?とる?いいけど・・今手術しようとすると全身検査してPCR検査もしないと受けられなくて大事になるけどそれやる?」とのこと。
「バイキンが入って膿んで腫れてきてからでも何とでもなるよ」
いや、膿んで腫れてくるのを待ちたいわけじゃぜんぜんないけど、8mmの死なない上に現状痛くもないおできにその検査は確かにオオゴトすぎるし、医療が圧迫してる時にそんなことする必要も全然ないわけで、いやごめんなさい、とらなくていいです。

マンモグラフィ&超音波検診「なんかある」

マンモグラフィを撮りに放射線科へ。
私の会社の健保の定期検診は女性検診は別オプションなので、もともと健康診断嫌いな私は、48歳にもかかわらず今まで受けたことがなかった、初めてのマンモグラフィ。乳挟んで痛いって聞いてたけど、あれ本当に痛いのね…(涙)乳潰されるのもなんか屈辱的な気分だし。

そしてその結果は
「う〜ん、特に何もないなあ」
「じゃあまあ、超音波で見てみようか。なんか超音波検査するところがいっぱいみたいだから、ここで僕が診るよ」
とのことで奥の部屋で先生自らが見てくれることになった。
まずは内科で指摘された右の胸。
そういえば脇の下のアテロームに似たものが胸の下にもあったなーと思って、これもアテロームですか?って聞いたら
「あ、そうね。こっちにもあるよ」と。アテロームが出来やすい人は体のいろんなところにアテロームがあったりするようだ。脇の下のが一番でかいけど、小さいのはいくつもきっとあるんだな。リンパ腫じゃないかって訴えたのにたくさんあってなんか恥ずかしい。

「…ゴミの塊でしたっけ」と呟くと
「いや、ゴミじゃないよ!汗と脂ね」なんかそれ似たようなもんじゃないかと思うけど、私を気遣って(?)かアテロームへの敬意(?)か、訂正された。
そして右胸の指摘された部分を見ていくと
「あ、これは問題ないね。水がたまってるだけ。よかったね〜。まあただ、乳首の下はちょっと見えづらいから念のためMRIとっておくか。その方が安心できるよね?せっかくきたんだし」
なんて言いながらMRIを撮る方向に話が進み、今度は指摘のなかった左胸も念のためみていくと…

「ん?」
「ちょっとまって」
「気になるやつがあるぞ」

グリグリグリ。ゼリーを足しつつゆっくりと探って、画面を見せられた
「ほら、ここにあるやつ」画面を見ても白黒のもやもやでよくわからない。でもどうやら黒い部分のことを言ってるようだ。
「赤いのピコピコしてるでしょ。血流があるんだよ。血流があるっていうのはー、ここ動脈から離れてるんだけどそこから血を引き込んでるわけね。組織が増殖しようとしてるの。右なんかよりもよっぽどこっちがまずいよ、これはちゃんと見ないとダメなやつ。」
サイズとしては6mm、と確かに先生は言ったけど、カルテには8mmと書き込んでいるのを私は見てしまった(!)
脇の下のおできから、右になんかあると言われ、来てみたら左になんかあったと、いったいなんなんだと思いながらもちょっとドキドキする。
「これもしすごい悪いやつだったとしても小さいから大したことではないんですよね?」と聞くと
「うん、2cm以下は乳がんのごく初期って言われるくらいだからね。ただ悪いもんだといろいろ処置も必要だからちゃんと調べておこう。」
生検の前にMRI、次あいてるのは2週間先の火曜日。それでその結果をその後の木曜日に来る別の乳腺外科医が見てくれることに。

「スターウォーズって知ってるよね?あれのチューバッカに似てるやつがその日いるから、そいつにみてもらって」
チューバッカ!それは楽しみだ(!)
「死ぬものかどうか調べないとね」
やけに死ぬかどうかを基準としてしゃべってくれるのは、ちょっとびっくりするけれど、それはそれで安心できるな。わたしも死ぬものかどうかを知りたいわけだし。
MRIと次回の予約を入れて、MRIのための採血だけしてもらって病院をあとにした。

余談だけれど、乳がんの初期の5年生存率は90%。
それは以前から何となく知っていたし、90%って聞くとほぼ生きてられるんじゃん、安心じゃんって思うじゃないですか。初期に見つかってよかったね、ってくらい。
でもね、自分がいざその身になると思うと違うんだなと思った。1/10の確率で5年を待たずに死んじゃうんだっていうの、それだけで結構びっくりすること。だって5年後生きていないなんて48歳の私は思っていなかったもの。そりゃ誰でも今日死んでしまう可能性はあるものだけれど、やっぱりそれは人ごとに感じているもので…。それは死生観を変えるには十分な結果なんだなって思った。
だから周りにもしそういう人がいたら、よかったね、なんて言わないでほしい。
一方「死ぬこと」に関しては自分は思うより自然に受け入れられそうだなとも思った。悲観もしない、くやしさも特にない、生きる喜びも色濃く感じられはするけれど、死ぬことを必要以上に忌み嫌うものとは思わない。ただ淡々と、そうなんだ、その事実とどう向き合っていこうかとそんな気持ちになるのではないか、と感じた。
この話はまた今度ちゃんと書きたい。

乳がんのためのMRI検査

看護師の方に「今までMRI検査したことある?」って聞かれて、MRI検査とCTって違いがよくわからなかったけれど、「すごいうるさい音がするやつ」って言われて、過去2回ほどやった経験があることを思い出した。最後にやったのは2年ほど前、母が認知症になったのに自分も不安になって、脳を診てもらったんだった。
検査をするのに事前の制限はほとんどないけれど、2時間前に食事を終わらせてくださいと書いてある。
そして乳がんのためのMRI検査は、脳の時と違い「造影剤」というものを使う。
造影剤と言われてもなんだかわからなかったけれど、当日、針で血管の中に入れるものだと知った。なるほど、飲むんじゃないのね(当たり前?)。とはいえ、直前まで乳に直接入れるんだと思っていたけれど、腕に点滴をで入れるものでした(これも当たり前?)。
ただ、いつも採血の時に看護師さんを悩ませる私の血管。細い上に奥の方にあるタイプらしく(人によって位置が違うんだって)、大抵の場合1度失敗して、奥から一番上手い人が出てきて採血になるので穴が2つくらいあくか、同じ穴にもう一度刺されたりグリグリされたりして、子供みたいに注射が嫌いな私は本当に本当に採血が嫌なのだけど、今回の造影剤の点滴も男性が腕を慎重に触りながら、肘の内側から手首まで血管を探していて…結果、手の甲に針を刺すことになった。
「ここでも問題ないですよね?」「あ大丈夫です」とか会話が聞こえてきて、なんか泣きそうになる。こわい、手の甲痛いじゃん。

MRIは筒状の機械の中にスライド式の台が入っていく仕組みだけれど、乳を撮るときは乳の台だった(当たり前か)。つまり、胸のところに穴が2つ開いている台で、そこにうつ伏せになって胸を入れてセットされる。
「この場所は息をすると動きやすいからちょっとしばりますよー」
って台に体を固定され「息できますかー40分くらいこのままだから息苦しかったら今教えてくださいねー」
息できるくらいの強さに調節してくれた。
顔も穴の開いた固定パーツにおでこと頬をつけて、かろうじて目は塞がれないけれど(なんか下に鏡がおいてあってちょっと自分の上方を見れるようになっていたな)、顔を動かさないので最後まで点滴してくれる人の顔は見えなかった(声で男性だということはわかった)。
最初は造影剤なしで、筒の中に入る。
けたたましい音、動いちゃいけないという緊張感。つばは飲み込んでいいんだっけ。

息をおとなしくしようとすればするほど、大きく息をしたくなって、しかも若干閉所恐怖症のケがあり、筒の中に入ってる自分に意識を向けてしまったらパニックになりそう。今地震がおきたら?もし動いてしまったらやりなおし?この音、耳が潰れてしまわないよね?たまる唾液を飲み込んだら動いちゃう?ひ〜意識するとつばが出てくる!!
はい、びびりぃです。はずかしいほどびびります。だから意識飛ばしに集中する。出産したときのことを思い出した。痛くて痛くて意識を飛ばしてたな・・・あのときできただから今だってできるはず。何を考えたらいい?何を思い浮かべたら集中できる?集中力には自信があるでしょ?
結局、ぼんやりすることに集中することにして、音も聞こえないくらい無意識を心がけた。

15分くらいなのかな?音が止んだら筒から台がスライドして出てきて、そして次に造影剤を入れておなじことをすることに。
にしても、台が筒に入っていくときって緊張する。
「それでは台が入りますよー」って看護師さん言うけれど、できれば黙っていて欲しい。他の人はどうだか知らないけれど、私は知らずにスライドして知らずに入ってくれたほうがいいなと思った。もちろん地球には重力があるし、スライドして入っていってるなっていうのはわかるんだけど、「入りますよー」の言葉でパニックになりそうだったんだよな・・。
造影剤を入れてる手の甲も重くて鈍痛がする。でも「液が入るときちょっと冷んやりしますよー」って言われて緊張してたけど、それはほとんど感じられなかった。今入ってるの?ってわからないくらい。
こちらも同じ時間くらいで終わって、終了。
針を抜かれて、パッチ当てられて「造影剤は尿と一緒に排出されるから、このあとたくさん水分をとってくださいね」
実はMRIをする前に割と喉が乾いていて水を買っていたのだけど飲んでいなかった。終わってからそれを飲み干して、不思議なことに(?)その後家に帰ってからもなんだかすごく喉が乾いていつもよりも水分をとっていた気がする。

MRIの診断結果、そして乳房組織の生検

「失礼しまーす」とスライドドアをあけると、そこにいた先生はチューバッカというよりはエネオスのキャラクターみたいだった(失礼!)
待合室で待っている時、私よりも年配の女性たちが出てきて「あの先生若いけど、本当いい先生だったわ」なんて話していて、若いのかーって思っていたけど別に若くはなかった。けど、いい先生だというのは本当にそう思った。限られた時間の中で一生懸命説明をしようと、早口でいろんなことを全部言葉にしてくれる。あまりに早口なものだから息を切らしていてこちらが心配になるくらい。

MRIの結果はというと
「結構血流はあって注釈つきではあるものの、悪いものって感じは全然しないね」とのこと。よく覚えていないけど確かそんな感じ。
そしてこの後の方法は2種類あって、1つ目は悪いものではなさそうということで半年後にまた検査を受けに来るというもの。半年以上放っておくのはなし。2つ目はいまここで悪いものじゃないっていうことを知るためにちゃんと生検をして結果を出すというもの。どちらにする?
これは迷いはなかった。生検は怖いけれど半年間モヤモヤした気分で過ごすのは耐えられない。今細胞を採取して結果が出るのならやってしまいたい。
「2つ目でお願いします」

生検は、超音波で針が入っていく様子を映しながら、気になる部分の真ん中、端っこなど3箇所の細胞を採取するというもの。局部麻酔の注射を打ってから2mmほどの穴をあけて、そこから針っていってもドリルみたいなやつを入れて細胞を摂取してくる。
その前に血圧と体温を測って、それから準備。
血圧はちょっと前の健康診断で、上が95、下が56と低血圧レベルの血圧が出ていたのだけど、その時は141、69!高血圧じゃないか。
しかも体温を計ったら37.0度。全く熱っぽくなかったのでもう一度計らせてもらったら今度は37.3度!上がっておる。これで生検できなかったら困る〜と思ってたけれど特に問題はないみたいで、そのまま生検の流れになった。

台に横になり、少し待たされる。何度も寒くない?って聞かれて看護師さんがとてもやさしい。
左の胸だよね?でも一応右から見ていこう。
実は前回の超音波検査の時に、マークを右側だけで入れてしまっていたようで、左胸だという記録になっていないようだった。でも先生は左胸を見ていたしそういう説明だったし、カルテにもそう書かれていたけれど念には念を。右からみていくけれど、右にはそれらしいものがなかった。
やっぱり左側だね、ということで左にいくと
「あったあった。これか」
けれど血流は今回は見受けられないみたい。
「まあでも境界線がはっきりしていないし確かに悩ましい所見ではあるから、生検しましょうね」
ということで、局部麻酔。
何度も言うけれど注射大嫌い。こないだの健康診断、MRIのための採血、MRIの点滴、今回の麻酔。2週間の間にこんなに針をさされたことはないと思う。しかも健康診断と採血は、血管が細くて見えにくすぎて1度じゃ無理で、何度か針を刺されたから…この2週間で数えてみるとこれで7回目。

「ちくっとしますよー」
うん、言わなくていいです…。すごい身構えてしまう。そして、アイタタタタ…痛かったであります。「ここが一番痛いからねー」
…はい。
びびりなので緊張がすさまじく、両手は頭のしたで組むように言われていたけれどいつしかほどけ、頭の上で拳をつくってギューってしてた。
先生も看護師もそれを見て「大丈夫、大丈夫」って何度も言ってくれる。たぶんびびりすぎなんだな。
「今、これ痛い?」ううん、大丈夫です。
「うん、今メスの先で刺したんだけど」
ひぃ〜〜!言わなくていいです
「痛くないなら麻酔効いてるね、はじめるよ」
だから言わなくていいです。
ふと目を開けたら、目の前に木材に穴をあけるようなドリルみたいなやつが見えて、うわ、これを突き刺すのかと思うと血の気が引いてくる。「目つぶってます…(涙)」とつぶやくと、看護師さんと先生がハモって「うん、つぶってて!」安心させようとしてくれてるんだよな。ありがとうございます、でも怖いです。
「針を指すとちょっと押される感じになる、それでパチンって大きな音がするからね」「その音の前には、3、2、1ってカウントするから!」
いや、カウントしなくていいって思ったけど声にならず
「針入れますよー」いや針じゃないやんドリルやんとツッコミながら声を出せず
「押される感じしますよー」いや言わなくていいからやっちゃってください
なんどか出し入れしてる感覚だけある。そして押される。胸に今あのドリルっぽいのが突き刺されてるのかと思うと生きた心地がしない。拳にいっそう力が入ってしまう。
「いくよー3、2、1!…あれ?」
あれ!?うわ、嫌な予感しかしない
「もっかいいくよー3、2、1…あれ?」
ひぃ〜。
「ごめん、ちょっと抜きます」
どうやらストッパーがかかっていたらしく、かちゃかちゃやっていたら、パチン!と音がして、「あ、これか」って。うわーん。
「もう一回押される感じするよー」
麻酔が効いているから痛くはないんだけど、痛みというよりもドリルが胸に突き刺さっていく感じを想像すると気が遠くなりそう。想像力豊かなことは仕事をする上でもプラスなことは多いけれど、つくづくこういう場面では必要のない能力だと思う。目をつぶってるんだから、頭の中に情景を描く必要はどこに!自分にツッコミをいれつつ、ドリルはまた位置をさぐるように胸の中をグリグリしている。
「はい、ごめんなさい、もう一度いくよー3、2、1!…ん?」
ま、また?!と思ったら、解決したようで
「いきます、3、2、1!」パチン!と音がして「抜きまーす」と1回目が終了。
その後この作業を2回繰り返して、生検のための組織採取が終わった。

乳がん生検の先生の所感。そして次週へ。

全然関係ないけど、先生はわりと恰幅がよく、親切なので短時間にいろんなことを喋ろうとしてくれて、マスクもしているから息がいつも切れているハアハア。
超音波検診、生検のときって胸はだけてるじゃないですか。その横でハアハアハアハアしてるから、なんかおかしくなっちゃった。変態チックやん(失礼!)。

終わって起き上がると、先生もやり切った感な表情で
「手間取っちゃってごめんなさい。でもね、やわらかかった!悪くなさそう」と満面の笑み。
悪い腫瘍(乳がん)の場合組織は硬くて、針で押すとしこりごと奥に押されるようになるんだそうだ。でも私の場合すんなり入ったし、しこりのギリギリのところ針を入れてしまった時には、するんって逃げるような感じになったくらいだから、ほんと柔らかい感じ。悪いものじゃないと思う。
とのこと。
ああ、よかった。その話はすごく納得がいく。こうやって自分の所感を言葉にして説明してくるのは本当に安心できるよね。

ちなみに終わってみて体温を計ったら35.9度。ずいぶんさがっている(笑)看護師さんは「暑かったのかなー」って言ってたけど、先生が最後結果だけチラッとみて「相当緊張してたよね、熱まで上がってる」と言ったので、先ほどの体温と血圧の上昇は私の緊張のせいということになってしまった。
いや、その通りなのかもしれないけれど!だとしたら無意識にもわたしびびりすぎ(笑)我ながらなさけないな…。

穴を開けてドリルのような針をさしたところは、ガーゼで処置をしてくれて、粘着力の強いテープで固定された。
ほぼないことだけれど、もしここの血が止まらなくて溢れてくるようなことがあったら絶対に連絡してくださいね。僕のいつもいる病院の方でも構わないから。と優しい。そしてこのテープはとても粘着力が強いから、剥がすときはゆーっくり剥がすこと、と念を押された。
「年とった人とかだと、テープにくっついて皮膚もベロンと剥がれちゃうことあるんだよ。まだ若いし、肌の感じも剥がれやすそうな肌じゃないから大丈夫だと思うけど」
剥がれにくそうな肌ってなに(笑)脂性ってことか?思わぬ着眼点での「肌質診断」。テープにくっついて剥がれやすい肌かどうか、という視点で肌を意識したことがないので、なんかおかしかった。
今日は患部は濡らさないように。テープは明日の朝には剥がしていいですよ。
そう指示を受けて、この日は終了となった。

ところでこの病院は毎週違う先生が来ているから、最初の先生に会うのはなかなか難しそう。
担当がコロコロ変わるのはあんまり嬉しくないなーって思ってたんだけど、友達に話をしたら「セカンドオピニオンがすぐに聞ける環境でいいね」と言われて、なるほど、と思った。確かに今回超音波で見てくれた時も最初の先生の反応と今回の先生の反応を照らし合わせるとわかってくることが結構ある。わずかな見立ての差だったり、あと自分ではない他人の診断は極力自分で確かめて次のステップに進んでくれるから、診断のダブルチェックになって安心できる。
左の胸なのに右って書いてあるからなんだこれ?って同じ先生だったら確かめることもないだろうから、毎回流れでものごとをとらえられないというデメリットはあるかもだけど、先生が毎回違うことで安心できる要素も多いんだなというのは発見だった。

ちなみにマンモグラフィと超音波検診どっちがいいの?
乳がんは遺伝するもの?

今回わたしはマンモグラフィでは何も見つからなかった。超音波では2人の先生がすぐに「あ、これは!」って思うやつを見つけてくれたので、自分はマンモグラフィではがんが見つけにくいタイプなのかな?と思ったからどちらがいいのか聞いてみた。
どこかのサイトでは、アジア人は(特に40歳以下の若い人)乳腺の発達している人が多くて、マンモグラフィでは白く写っちゃって診断がつかないことも多いって書いてあったから。
でも、わたしのマンモグラフィの写真は、素人目には白いじゃん!って感じだったけれど、先生によればこれは全然診断がつくレベルなんだそうだ。
細かい数字は忘れてしまったけれど、がんを見つける率はマンモグラフィの方が圧倒的に高くて、超音波よりも優れている。ガンは石灰化するから小さな石灰化も見逃さないのがマンモグラフィ。だから両方やるに越したことはないけれど、マンモグラフィをやらないっていう選択肢はないよ。って言われた。
そして先生は唐突に「2%」と言った。
近しい親族がん患者がいりる乳がん患者の数字。あとの98%は親族にいなくて発症しているもの。だから自分はがんの家系じゃないからって検査しないのは間違いだからね。と。
だからみなさん、40すぎたらマンモグラフィはしたほうがいい。できたら一年おきに超音波もあわせてやるとなお良し。


生検の検査結果は来週になるので、今時点では結果が出ていないけれど、先生の所感からもう安心している。
結果が出たら一応追記するけれど、多分大丈夫と思っている。
もし良性のしこりだったとしても、そのうちの20%くらいは悪性化するから半年ごととかの定期的な検査は必要とのこと。でもしこりですらなかったら、定期検診でOKだからね、と言われています。


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