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「ビリーヴ!シー・オブ・ドリームス」公演初日をめぐる回想

2022年11月11日。

東京ディズニーシーで新ナイトタイムエンターテイメント「ビリーヴ!シー・オブ・ドリームス」がスタートした。
大勢のファンに支持された前作、「ファンタズミック!」は、残念ながら新型コロナウイルスの感染拡大による臨時休園に伴い、予定された公演最終日を迎えることなく、唐突に公演を終了する形になった。

臨時休園から開けた後も、ショーパレの休止・短縮化などにより、エンターテインメントは全体的に暗い影を見せていた。特に東京ディズニーシーは深刻な状況で、記念すべき開園20周年にも関わらず、昼のレギュラーショーは10分程度で終わるグリーティング形式となり、ディズニー界隈は全体的にコロナ禍独特の重い雰囲気が流れていた。そんな中、本ショーは公演初日を迎えた。

この日、私は電車に乗り東京ディズニーシーに向かっていた。今回は、そんなレギュラーショー公演初日の異質なパークの様子と、私の心情にまつわる話だ。


同行者の都合により、少し遅れて10時頃、私たちは電車で舞浜駅に向かっていた。

…突然だが、皆さんはショーパレに何を求めるだろうか?
自分の推しキャラクターの登場頻度、音楽の華やかさ、BGSとの整合性、映画を想起させる構成…。
人によって様々あるだろうが、私は「メッセージ性」を強くショーパレに要求している。

というのも、自ブログ「ドリーミング・アップ!公演最終日をめぐる回想」シリーズでも語ったように、私の人生はショーパレのなかに秘められた、ディズニー側からのメッセージに度々影響を受けている。

だからこそ、私は新ショーパレが登場する度に(拡大解釈気味にはなるが)メッセージ性を読み取ろうとするし、逆に言えば、私が好きになったショーパレは、すべてメッセージ性が強いものになる。当然、「ビリーヴ!シー・オブ・ドリームス」にも、同じものを期待していた。

舞浜駅に到着し、徒歩で東京ディズニーシーに向かう。お昼も迎えようとしているのに、異様にゲストが多かったのを覚えている。
なうタグを使って情報収集をしてみると、DPAが速攻で売り切れたとか、DPA買ったのに地蔵しなければいけないだとか、無料鑑賞エリアが分かりづらいだとか、現地はとにかくカオスな状況らしい。まあ、これから向かうんですけど…。

特にトラブルなく無事インパークし、メディテレーニアンハーバーを目指す。ちなみに、エントリーはしっかり落選。

ハーバーを時計回りに周っていく。無料鑑賞エリアの中で一番近くでビリーヴを見られるであろうポンテ・ヴェッキオは全部2、3列目まで埋まっていた。ガリオン船付近もダメ。要塞も大量のゲストで溢れている。

「あれ、これ終わったんじゃ…?」
そんな諦念が頭によぎる。とはいえまだすべてを周ったわけではない。マゼランズ前を抜けて、アクアダクトブリッジ方面を目指す。

奇跡的に、アクアダクトブリッジは最前列が空いていた。それもそのはず、ショーが行われる箇所とはだいぶ離れており、キャラクターの入退場部分しかまともに見れないからだ。ただ、この場所は、この日に限っては最高の穴場だった。

とりあえず地蔵を開始。
同行者である恋人は、こういう待ち時間にいくら話をしても話題が尽きない最高のDオタパートナーでもあるので、特別長時間の地蔵を苦に感じることはなかった。いつもお世話になっております。

ワンハンドメニューも挟みながら、延々と談笑をしているうちに、あっという間に1時間前スピールが流れてきた。どうやらスペシャルグリーティングを行うらしい。

30分、15分…と、徐々にショー開始まで時間は近づいていく。そして、5分前スピール。

今回は、公演初日を公演して、MISIAさんが…

ここからのスピールの記憶が飛んでいる。発狂していたからだ。
レギュラーショーパレ公演初日というだけで、メモリアルな日であるのに間違いはないけれど、さらにスペシャルグリーティングで、あのMISIAさんがパークに登場とは、それはもうここ100年語り継がれるような日になる。そんな日に居合わせたのだ。興奮で脳汁が止まらなかった。

一眼の設定をしていたその時、アクアダクトブリッジ下から急にMISIAさんが登場してきた。

声が聞こえる近さ

結果として、この場所は一番MISIAさんを近くで見られる位置になった。

スペシャルグリーティング後、少々システムトラブルがあり、本編開始時間は予定より遅れることになった。噂によると、原因はズミ同様大勢のゲストがスマートフォンを使用していたことによる通信障害らしいが、この後同様のトラブルを聞いたことはないので真相は不明である。


そして、「キラキラ…」という音と共に、本編がついに始まる。

皆さん、願い事は叶うと、信じていますか?
時には、思い通りに行かないこともあるかもしれません。
でも、諦めないで。信じ続けて。
その心に、本当の魔法が宿るまで。

私が思うに、このショーの核となるメッセージは、この冒頭のナレーション部分に込められていると思う。
自分の願いを信じ続けることの大切さ。東京ディズニーリゾートに限らず、ディズニー映画で広く大切にされてきたメッセージだ。

ちなみに、「その心に、本当の魔法が宿るまで」という部分、はじめは少し理解に苦しんだ。"魔法"ではなく、"本当の魔法"であるのが大切らしい。

今現在、私なりの解釈では、恐らく"願いが現実になるまで"という事なのだと思う。

フェアリーゴッドマザーの魔法や、東京ディズニーリゾートを訪れた時だけ笑顔が溢れるような、"一時的な"ディズニーの魔法ではなくて、ディズニー以外、すなわち現実で魔法が宿る(夢を成し遂げる)まで夢を信じ続けなさい、ということ。

余談だが、世界的なサッカー選手、リオネル・メッシが似たようなことを言っていた。個人的に好きな言葉なので紹介しておく。

"努力すれば報われる?そうじゃない。報われるまで努力するんだ。"

私は未だ、願いや夢を追っている段階だ。…正直何回も諦めそうになっている。そのたびに、東京ディズニーリゾートに夢を諦めない大切さを説かれてきたのだが、「ビリーヴ!シーオブドリームス」も同様に、私の人生を支えてくれるらしい。

「ビリーヴ!シーオブドリームス」がいつまで続くかは分からない。
ただいつか、本ショーが最終公演を迎え、同様のナレーションが流れた時、私はきっと、心の中でこう思うだろう。

おかげさまで、本当の魔法を宿すことが出来ました

…冒頭のナレーション部分だけで相当語ってしまったのだが、全体のショー構成にもメッセージ性を見出すことが出来る。

願いが生まれる→挑戦する→諦めかける→もう一度信じて実現する

時系列としてはこの順番で進行する。
願いを実現するまでの過程で、とんとん拍子で上手くいくことの方が珍しいだろう。心が折れそうになった時、初心に帰って、もう一度その願いを信じることが大切になってくる。

メッセージ性もさながら、音楽や演出も過去最高レベルで、興奮が止まらなかった。

毎回こういうショーを観るとふと思うのだが、地球が誕生して、よくわからんちっぽけな生物が果てしない時間をかけて進化して、人間になりこうしたエンターテインメントを創ったことって、本当に奇跡なのだと思う。


最後に。

著名な哲学者・ニーチェは、このような言葉を遺している。

"たった一度でもほんとうに魂がふるえたことがあるなら、
その人生は生きるに値する
"

私は東京ディズニーリゾートを通して、"魂が震える"経験を何度もさせてもらった。今回の「ビリーヴ!シーオブドリームス」伝説の公演初日に立ち会ったこともそうだ。

私の人生の素晴らしさは、東京ディズニーリゾート抜きに語ることが出来ない。それは、『「ドリーミング・アップ!」公演最終日をめぐる回想』シリーズで散々語り尽くしたところではあるが、ここで改めて感謝の意を述べて、この回想を綴じることにしよう。

私の人生を、最高のものにしてくれてありがとう。

2024年1月8日
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