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[私が見たTDR史③]全てが終わった年

この「私がみたTDR史」シリーズは、2018年から執筆現在までの東京ディズニーリゾートを、シーズンごとに私の記憶を基に振り返るもの。
(②はこちらから)

第3回は、20-21シーズンの東京ディズニーリゾートについて筆を進めていく。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、東京ディズニーリゾートは臨時休園に追い込まれた。
臨時休園が明けてからも、蔓延防止への取り組み、通称「マンボウ」に追われ、この界隈は絶望的な様相を呈していた。

私たちは、ここから長く、苦しい戦いに巻き込まれることになる。

ファンタズミック!よ、永遠に

新シーズンが始まっても、東京ディズニーリゾートは一向に閉園していたために、私の関心は直前に終了した「ファンタズミック!」に一途に向けられていた。

私が本格的に界隈に参入したのは、2018年のことだったーが、実際には、初めてパークに足を踏み入れたのは、それよりも遥かに過去にあたる、「ファンタズミック!」がスタートした年、2011年のことだった。

そのため、私にとって「ファンタズミック!」はこの時まで東京ディズニーリゾートに関わった全ての期間を共に過ごしてきたものであり、強い結びつきを感じていたのである。

東京ディズニーシーを満喫した夜、そろそろ一日も終わろうとしている頃。
Yanni氏の曲が流れる中、キャストさん達がせわしなくゲストコントロールを行う。
迷子になって泣き叫ぶ子ども、一眼レフの設定に忙しいDオタ、待ち合わせに苦労し電話をかけているグループ…。

この情景は、どこかホームシックな寂しさを誘発すると同時に、これから訪れる素晴らしい世界への期待を胸に抱かせる。

あの情景を、あの感覚を、私はこの目で、この身体で味わったことを誇りに思う。


想像力は素晴らしい。
今がどんなに辛い状況でも、想像力さえあれば、どこにだって連れて行ってくれる。

想像力は恐ろしい。
どんなに力があっても、時に上手くいかない未来を想像してしまい、足が竦んでしまうこともある。

それでも。
どんなに未来が不安で溢れていたとしても。

ー絶対に夢を諦めてはいけない。

私は、「ファンタズミック!」に大切なものを教わった。

だから今でも、

不安に駆られ、涙で過ごした夜は。
過去に囚われ、未来を憂いた時は。

ミッキーマウスのセリフをいつも思い出す。

君がどんなに強くても、
これは、ぼくの夢なんだ!!!

ファンタズミック!

虚無

正直、このシーズンに関する題材を扱おうとすると、先述した「ファンタズミック!」のみが記憶からハッキリと浮かび上がってくるのみで、その他東京ディズニーリゾートに関する思い出が殆ど思い出せなかった。

強いて言うならば、キャストの賃金問題、ディズニー系Youtuberのライブ配信問題、パークへの訪問が県境を越えるとして起きた数々の批判…等と、取るに足らないディズニー学級会が行われていた記憶が微かに残っているのみである。

逆に言えば、それほどまでにディズニー界隈は低迷していた。
…いや、日本社会全体に憂鬱の雲が覆い被さっていたのだろう。

多くのDオタはパークを離れ、外出を自粛し、自宅時間を無理やりに謳歌していた。
私は当時高校2年生、最も青春を送れるこの時期に、会話や接触が制限され、退屈な毎日を送っていた。

当時の私の頭の中で、東京ディズニーリゾートについて割かれたリソースはどれほどあったのだろう。恐らく、1%もなかったのかもしれない。それほどまでに、私は東京ディズニーリゾートに対しての関心が薄れていった。

コロナ禍は深刻な影響をもたらした。
それは私のように、Dオタのディズニーに対する情熱を薄めたばかりか、パークに対し経済的なダメージを負わせることで、拝金主義を前面に押し出す経営戦略へと舵を切らせてしまった。

そして、休園明けの東京ディズニーリゾートに対してわざわざ足を運ぼうとするDオタは数を減らし、界隈は縮小した。

この地獄は、広義には恐らく今も続いている。

共通の敵

しかし、この地獄は一部ではある種の団結や、OLCに対する味方意識を高めたという見方もできる。

何故なら、OLCは新型コロナウイルス感染拡大や、それに伴うWHO・日本政府・自治体の対応の「被害者」であるとする見方が十分に可能であったからである。

公権力の行使として遊園地・テーマパークに課した制限は厳しく、この時の対応が適切であったかどうかはーご存知の通り批判の種になっている。

そして、この地獄を乗り越えたOLCを高く評価し、コロナ禍明けの東京ディズニーリゾートにただ感謝し、喜びを享受する流れも十分に界隈に存在していた。

しかしながら、現在はそのような見方は一般的ではなく、東京ディズニーリゾートの現状に関し、OLCに対して責任を求める声が多くなってきている。

そのことはー次回にお預けするとしよう。


以上、20-21シーズンの東京ディズニーリゾートを私の記憶を頼りに振り返ってみた。

このシーズンははっきり言って虚無に近く、筆がなかなか進まなかった。この地獄を乗り越えた全ての人たちを、私は誇りに思う。

次回は、21-22シーズン。

コロナ禍の煽りを受ける中、東京ディズニーリゾートはどうなっていくのだろうか?

ー乞うご期待。

おわり

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