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[最高傑作]ディズニー映画「ウィッシュ」を語る

ネタバレを含む箇所から区切り線を入れます。鑑賞前の読者はご注意ください。

本日、ようやくウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年の集大成、12月15日公開映画「ウィッシュ」を字幕版で鑑賞することが出来た。ほんとは初日に行きたかったけれど、どうしても予定が合わなかったのだ。

今回は、記憶と興奮が収まらぬうちに、本映画についていろいろ語っていきたいと思う。私は映画評論家ではないから、そんなに面白いことは書けないのだけれど、ウィッシュのサントラでも聴きながらゆっくり読んで欲しい。

鑑賞前のこと

本映画は、広告を初めて目にした時から「絶対観る」と決めていた作品だった。私がディズニーファン、いわゆるDオタであるのはもちろんだが、劇場広告で少しだけ流れていた「This Wish」のサビで、もう神映画である予感を感じられたから。

ところで、私は以前、Youtubeでディズニーのショーパレ(東京ディズニーリゾートで公演されるショーやパレード)の曲を和訳しまくるチャンネルを運営していた。もともと個人用に作成していたものを、せっかくだからディズニーファンにも共有しようということで、割と積極的に投稿していた記憶がある。今は更新を停止しているけれど。

そんな中、たまには息抜きという事で、「This Wish」の曲の全貌が公開されたその日、ショーパレ曲ではない本曲の和訳を行った。映画公開前に作成しているのもあって、当時内容が全く掴めていなかったから、今見れば解釈違いの誤訳まみれなのだが。ほんとに申し訳ない。

有難いことにバズってはいるけれど、私はこの動画を作成したことを正直後悔している。

というのも、Youtubeというのはコメントが投稿されると、チャンネル運営側はどうしてもそのコメントを目にしてしまうシステムなのだが、個人的に見ていて嫌なコメントが本当に多かった。これは、私への誹謗中傷とか、訳の分からない荒らしコメントとかではなくて、この映画、特に吹き替え版に対するマイナスなコメントである。

和訳見て思ったけれど、ほんと英語版に比べて日本語版はダサすぎる

このようなコメントが本当に多かった。

Dオタの皆さんならご存知だろうが、洋画の吹き替え版というのは、登場人物の口の動きと違和感がないように、わざと元の英語とは違う訳し方をされている。例えば、リトルマーメイドの「アンダーザシー」のサビの部分なら、「Under the sea」という口の動きに、「海の下で」という日本語の発音は合わない。だから吹き替え版では「素晴らしい」と訳されている。元の英語から意味がどうしても外れるのは、映画を快適に視聴してもらうにはしょうがないことなのだ。

でも、恐らくこのようなコメントをする人はそんな事情を知らないのだろう。普段はショーパレを扱っていて、私の動画にはDオタしか来ないから、こういう的外れなネガティブコメントは基本来なかったのだが、ディズニー映画の曲となると大勢の一般視聴者が来る。Dオタ達の高い民度を改めて思い知らされた。

しかも、日本語版「ウィッシュ」へのダサいという批判から飛び火して、アーシャの声を担当している生田絵梨花さんに対しても、否定的なコメントをぶつける人も少なからずいた。本当に悲しかった。でもそのきっかけは私だ。ディズニーリテラシーの高くない人たちに、安易に言語の橋渡しをしてしまった。こんな事になるなら、彼らは元の英語の意味を知らないままで良かった。

とにかくディズニー側と、生田絵梨花さんに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。そういうわけで、コメント欄で「ウィッシュ」の他の曲のリクエストも沢山来ているけれど、もうディズニー映画の曲の和訳を投稿するつもりは一切ない。訳は自分の中で分かっていれば別に良いし、知りたければ劇場に行けば良い。安易に投稿すると、私がディズニーの品位を下げてしまう。

あとは、先にアメリカで観たという人の、「現地では酷評だよ」という話もちょくちょく出ていて、観る前からちょっと嫌な気持ちにさせられていた。まあ全部私の責任なんだけど。

そういうわけで、私にとっては、観る前からいきなりマイナスで始まった本映画。切り替えていざ、観てみよう。


ネタバレ注意。ここからは自己責任でお願いします。

「ウィッシュ」本編の前に、オリジナル短編映画「ワンス・アポン・ア・スタジオ -100年の思い出-」が上映された。こちらは、字幕版でチケットを購入したとしても、吹き替え版の映像になっている。

舞台は「ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ」。人が誰もいなくなったその時、壁に絵画として飾られていたディズニーキャラクターたちが動き出して、ティンカーベルの魔法のもと、現実世界に飛び出してくる。なんか「トイ・ストーリー」みたいだよね。

本作は沢山のキャラクターが出てくる。「こんなにキャラクターを登場させることができるほど、ディズニー100周年というのは長い年月だったんだなあ…。」と思わずしみじみ。まあ、私はその長い歴史の中のたった19年しか生きていないのだけれど。

本作で一番良かったのは、ディズニーキャラクターたちが写真撮影に向かう最中、ミッキーマウスが壁に掛けられたウォルト・ディズニーを目にした時の一幕。彼は他の絵と違って、一切動かなかった。それもそのはず、彼はもうこの世にはいない。でも、彼が遺した魔法は今もこの世に生き続け、こうしてキャラクターたちを動かしている。

ミッキーマウスは騒がしい中でも、彼を目にした途端たった1人立ち止まり、敬意を示し帽子をそっと取る。この「動」と「静」のギャップで、思わず涙が出てしまった。ミニーマウスに呼ばれて、「行かなきゃ」と悲しそうに、でもどこか決意を感じるような声をかけてその場を離れる演出も、とても良かった。制作陣の「これからのディズニーも、私たちに任せてください」という決意表明を、この一瞬のミッキーマウスに込めたようにも見えたから。

そういえば、これは余談だけど、東京ディズニーリゾート35周年最終日、TDR全体を通してタイムスケジュール的にフィナーレを飾っていた「ハロー、ニューヨーク!」ラス回で、ショー公演終了後、最後にミッキーマウスが、ステージバッグに飾られていた35周年のロゴを見上げ、満足そうに俯いていたのを今でも覚えている。こういう「動」と「静」のギャップを使った演出ってほんと堪らないよね。

そんなこんなでグダグダの(笑)写真撮影も終わり、いざ本編へ。


冒頭は「美女と野獣」のような、本を開く形式で始まる。ロサス王国と王さまにまつわる話。広告の時点で王さま「マグニフィコ」がもうヴィラン確定なのが、個人的には有難かった。裏切り形式はちょっと下衆みが強すぎてあんまり好きじゃない。

最初の音楽は、「Welcome To Rosas」。ロサスの町と王さまを褒めちぎる内容。明るい曲調とサビのリズム感が好き。

ロサスの住民は願いを王さまに授けることで守ってもらう。そしていつか叶えてもらう。でも、授けるとその「願い」は忘れてしまう。分かりやすい世界観で内容がすんなり入ってきた。

途中出てきた、願いを忘れてしまったサイモンの骨抜き感が印象に残る。こんな感じの夢を諦めた大人たちを、私はよく目にして育ってきた。

そうこうしているうちに、アーシャとマグニフィコとの面接が始まる。アーシャの祖父、サビーノが100歳の誕生日を迎えることもあり、サビーノの願いを叶えてあげたいと、面接に緊張しながらも挑む。

面接ではマグニフィコに気に入られ、みんなの願いを保存している部屋に通してもらう。

「これは…(この世の)全て」と思わず口にしてしまうアーシャ。言い過ぎたと反省するも、マグニフィコ王はそのセリフを肯定する。

ここで2曲目「At All Costs」。まじでここ映像も音楽も綺麗。王さまはAt all cost(何としても)願いを守ってくれるらしい。嘘つけ。

ここでアーシャは祖父の願いを目にする。「音楽で人々を幸せにする」。なんかミゲルみたいだよね。

でもこの願いは危険だからと叶えることはできないと聞き、アーシャは問い詰めてマグニフィコ王を怒らせる。そして、アーシャは「願い」は王様は叶えてくれないということと、「願い」は自分で叶えるしかないということを悟る。
ここの部分が、本映画の一番重要なメッセージだと思う。

結局、祖父ではなく別の人が王さまに願いを叶えてもらえることになった。その後、地獄みたいな空気でアーシャ一家は夜ご飯を食べる。

アーシャは王室で見た「願い」の真実の話をして、家族を怒らせる。アーシャは家を飛び出して、ここでメイン曲「This Wish」突入。映像の綺麗さがやばい。

そしてスター登場。かわいいね。なんか「ロゼッタ&チコ」のチコ感ある。

「I'm A Star」も良い。元気を貰える。この映画、神曲しか出てこない。

これがきっかけでマグニフィコ王はアーシャとスター、そして自分の願いを叶えたがるロサスの住民にぶち切れて、完全に闇堕ちしてしまい、アーシャたちとバトルを繰り広げることになる。

ここからの曲も全部やばいけど、決意の曲「Knowing What I Know Now」と、終盤みんなで合唱する「This Wish (Reprise)」の迫力が特にやばい。

最恐とか言われてたヴィランは意外と弱かった。

後味すっきりのハッピーエンド。う~ん、完璧。ちなみに、私の映画に対する評価は基本甘々です。


全体通して

とにかく、終盤の「This Wish」の迫力がまじでやばかった。「ビリーヴ!シー・オブ・ドリームス」の後継ショーの内容、もうこの映画で良いんじゃないか。ショー終盤、みんなで合唱してマグニフィコ王をぶっ倒す内容。中盤から終盤への繋ぎは「Knowing What I Know Now」。そして、夜のメディテレーニアンハーバーに響き渡る「This Wish」。最高でしょ。まあ、Dオタがお構いなしに一眼パシャパシャしそうだし、なによりBGSめちゃくちゃだけど()

このイベント関連で、みんなの願いを紙に書いて、決して誰にも渡さないように持ち帰ってね、みたいなグッズも良さそう。

妄想はさておき、特にポリコレというか、説教まがいのメッセージ性も別に感じられなかったのがとても良かった。え、私の感受性が低いだけかな。とにかく、「映画」をただ純粋に「映画」として楽しめた。

あなたの「願い」を忘れずに。悪い大人に奪われないようにね。

最後に、私の「願い」をここに残して、本感想を綴じることにしよう。

この世の中が、夢と希望で溢れますように。
そんな世の中を創る一員になれますように。

2023年12月20日


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