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2年間の振り返り -ハカランダ、ヘルメット、コンソメ-

こんにちは。明日の便で帰国となり、今日は最後のメキシコの夜になります。2年間の振り返りを残しておきたいと思います。

サボテンとソンブレロとテキーラ

メキシコに来る前のイメージは多くの人と同じか、より貧相な発想しかなかった。

元々が心配性のくせして大雑把だから下調べもろくにせずにメキシコに来てしまった。

空港に着いて迎えてくれるのはサボテンだろうし、仕事もマーケティングみたいな事をやって、打ち上げでみんなソンブレロとか被っちゃってテキーラで大騒ぎするんだろうなぁ、とかいうイメージ。

テキーラについては間違っていなかった。
サボテンはメキシコシティには自生してなかった。
ソンブレロに至っては飲み会でテンション上がった日本人が被っている以外はマリアッチの人達の衣装でしか見たことない。

空港から会社の契約アパートメントに向かう途中、やたらと目につくどぎつい花。

ハカランダというらしい。メキシコ版桜と説明された。なんか違う気がする。

当時は妊娠中の妻をおいて、単身赴任。想像していたよりも広い部屋を見て新生活への期待と、久しぶりの独身生活に胸を高鳴らせてた。

でも万事がそんな感じなので、仕事のギャップに直面する。

お前如きのペーペーのマーケティングなんて求めてない。

求めていたのは営業人員で、別に日本語とスペイン語が喋れれば誰でもいい。

着任早々にそんな事を上司に言われた。(今となっては直接本人に言う上司もどうかと思う)

日本からは新規ビジネスを!なんて立派なお題目を貰ってきたけど現場はそんなものより日々の生き残りに必死。

スーツでぱりっとして、販促企画たててローカルメンバーを動かすんじゃいとか思ってたけど、実際はホームデポで買ったヘルメットと安全靴をつけてひとりで行動。

そんな販売の現場に染まりきれず、モヤモヤとした日が続いた。

憧れていた海外は思ってたほどではなかった。

望んで来たはずなのに仕事らしい仕事も出来ず、会社で過ごす時間が苦痛に。

あれ、こいつら現場知らないんじゃないの?

スペイン語に慣れて会議での発言が少しずつ分かってくるうちに上司やメンバーたちに対してそんなことを感じ始めた。そういう気分になると心が対立し始めてしまう。もういいや、会社にいてもしょうがないや。

別に辞めたいとかではなく、物理的に会社にいる時間を減らそうと思った。

幸いにして大体のお客様はメキシコシティから車で3時間以上はかかる会社ばっかり。出張さえすればその日は会社にいなくてもいい。不純な動機。

でも営業としては間違っていないので、自分で車を運転してお客様を回る。お客様がいなければ新規開拓と称してテレアポ。

そんなことを繰り返すうちにスーツよりも作業着にヘルメットの時間が増え。車の走行メーターも増え。会社にいる時間は減った。

たまにお客様のローカルに誘われて工場の食堂で一緒にご飯を食べた。日本の工場飯とは違ってメキシコはカチカチのトルティージャと焼いた肉、いつのかわからないサラダ。そして冷えたコンソメスープ。

安くてボリュームだけが取り柄のご飯を目にして、「絶対お腹壊すやん」という覚悟のもと、冷えたコンソメを唇を湿らす程度にしてごまかしたのはいい思い出。

海外に出向するということ

それは現地で自分の存在感を出さないといる意味がないということだと感じた。

私は今回幸いにして現場経験を活かせた。
思い描いてたイメージとはかけ離れたけど。

サボテンはハカランダ。ソンブレロはヘルメット。テキーラは冷えたコンソメ。

かけ離れたけど、悪くはないと思う。
次の国はどうだろうなぁ。でもとりあえず日本に帰るので、まずは温泉にでも浸かりたい。

次は桜、手拭い、お味噌汁。

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