ありのままの君で(創作)vol.1

 笑顔を欠かさない。
 今日も笑顔で乗り越えられる。
 毎日笑顔でいれば全てうまく行く。
 そう自分に言い聞かせて、私は今日も仕事へ向かう車に乗り込んだ。

 中古で買った軽自動車のエンジンをかけると、古びたラジカセが今日のラジオを流し始める。
「今日のお便りはポッキーさんからの、、、」
内容に耳を傾けて、
(ああ、この世には色んな人がいたんだっけ)
と、少しズレた感想を抱いて、ゆっくり車を走らせ始めた。

 私の名前は優。ユウって読みます。なんて事は無い普通の主婦です。子供は男の子が2人。2人とも小学校へ上がったばかりで、少しやんちゃで学校で問題を起こしては、私の携帯に電話が掛かってきます。
 先日も上の子が『窓から飛び降りようとした』と緊急で電話が掛かってきました。何故なのか、先生からの話を聞いていると、どうやら同級生からの注意に腹を立てて、衝動的に窓から飛び降りようとしたらしいのです。先生からの相談を受け、『そういう事はしちゃダメなんだよ』とやんわりと上の子に注意しました。しかし、本当に伝わっているか分かりません。家で私と接している時は普通の子なんですが、小学校などの公的な集団の中では浮いてしまう子でした。
 
 いわゆる発達障害というものなのでしょうか。私には上の子にどんな言葉をかけてあげて、どんな風に育ててあげれば幸せになってくれるのか、将来を考えると暗くなり、分からなくなるんです。
 下の子も小学校へ上がったばかりで分かりませんが、保育園時代を考えてみてもお兄ちゃんと同じで集団生活は合わない子である可能性が高いです。
 近くに住む実母が世話を妬いてくれるお陰でなんとか子育て出来ている、という感じでした。仕事に出れるのも実母のお陰でした。今日もいつものように出勤です。

『おはようございます!』
 本日1番の笑顔と明るい声で挨拶です。
「おはようございます。今日も元気ね」
『はい!』
 正直、仕事でイキイキしている自分が好きです。子供というしがらみがない私は家庭では無いくらいイキイキしているんです。

 仕事の方が私らしい。

 そんな私はおかしいんでしょうか。

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