見出し画像

マイ・ブロークン・マリコ


※がっつりネタバレあるので注意してください

「マイ・ブロークン・マリコ」久しぶりに本屋にいって表紙に惹かれて買った。
この漫画はとにかく感情が全面に出ていて、一つ一つのコマにすべて意味が込められている。要所要所の大事な場面で描かれている絵の迫力はすさまじいものがあり、展開がスピーディーでとにかく衝撃が大きい作品だった。


人間はあまり悲惨なものは自分の中に受け入れられないと聞いたことがある。今回この漫画ででてくる「虐待」の話は自分が今まで無意識に避けてきたもの話であった。
実際、世の中には虐待は存在していて、そういった子どもを救うことはとても難しいものだと感じた。人生は運の要素が大きいなと思ったし、生まれ育った環境というのは自己を形成するうえで大きな部分を占めるものだなと感じた。そういった意味で自分はとても恵まれた環境で育ってきたのだと思った。


先日購入したBRUTUSにあった幡野さんの考察にはシイちゃんはレズビアンであり、マリコのことを友人として、恋愛対象としても好きだったのかもしれないと書かれていた。
確かに、いわれてみればそういった描写は多かった。
この物語に出てくる男はナリタ商店のマキオ君意外気持ち悪い表情で描かれている。
マリコにとって男は恐い存在であったが、シイちゃんはマリコとは違った意味で男性に対して苦手意識があったのかもしれない。(レズビアンで男性が生理的に苦手なのかもしれない)
また、この漫画に出てくるマリコはとても丁寧に描かれており、シイちゃんにとってマリコがそれだけ美しく、大切な存在であったことが伝わってくる。


この漫画で読者は、シイちゃん目線のマリコのほんの一部しか見ることができていない。
マリコの最後の思い(手紙)はシイちゃんにはしっかり伝わっていた。手紙の内容はシイちゃんの胸の中にだけしまっておいておくのは、個人的にとても良い締めかただったと思う。

平庫マリさんの次回作がとても楽しみだ


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?