特定のチームを応援し続けること

 私はスポーツが好きだ。幼少期から野球が好きで、その後は友人らの影響もありサッカーが好きになった。一般的にギャンブルだと位置づけられる競馬も、私にとっては小学生の頃から大好きなスポーツだ。

 サッカーに関していえば、最初は海外サッカーや日本代表から入った口だ。元々父がサッカー好きだったこともあり、2002年の日韓ワールドカップは常にリビングのテレビで流れていたが、それよりもう少し後、2005年頃から熱心に追いかけるようになったと思う。

 Jリーグを観るようになったのはその後だ。周囲にはガンバ大阪のファン・サポーターが多かったが、スタジアムへのアクセスが容易だったこともあり、私自身はセレッソ大阪を中心に追いかけるようになる。

 さらに時が流れ、近所に住んでいた幼馴染と現地観戦体験を重ねる中で、ほぼ彼について行く形ではあったがゴール裏にも足を運ぶようになった。数は少ないがアウェー遠征に行くこともあった。ファンクラブに入会し、シーズンシートを購入、ユニフォームはほぼ毎年新調と、この時期の私はまさしく「セレッソサポーター」だったように思う。

 転機となったのは2014年。ウルグアイ代表のレジェンド、ディエゴ・フォルランを獲得し、「史上最攻」を掲げて臨んだシーズン。結果はご承知のとおり、J2降格という悲惨なものだった。

 応援しているチームが勝てず、ましてや降格することとなれば、当然応援しているファン・サポーターとしてもストレスが溜まる。さらに、これは主観だが、単に試合に勝てないだけでなく、クラブ内外で様々なことがギクシャクしていたように思う。

 特にこの時期、私は中途半端にサッカーについて詳しくなった(と思いこんでいた)ことから、単なる勝ち負け以外の部分を気にかけるようになっていた。それこそ監督選びや志向するサッカー、戦術、フロントの挙動など、これまでなら気にならなかったことが気になり始め、素直な気持ちでチームを応援することが難しくなりつつあった。

 それでも、J2降格後の2015年、私はまだセレッソサポーターだった…と思う。ただし熱量は下がりつつあり、アビスパ福岡との昇格プレーオフはゴール裏ではなくバックスタンドで観戦していた。

 そして翌2016年。結果としてセレッソはこの年にJ1昇格を決める。ただ、私自身はこのシーズンの戦い方(というか当時の指揮官)に大きな不満を持っており、いつ、どの試合がきっかけだったかは失念したが、とうとうこのような考えが生まれてきてしまった。

 「こんなクソサッカーなら負けてもいい」

 一般的に、特定のチームを応援するファン・サポーターとして至ることのない、至ってはいけない考えである。

 好きだったはずのサッカーを観て、応援していたはずのチームを目の前にして、モヤモヤした気持ちしか浮かばない。趣味・娯楽のはずのサッカー観戦が楽しくない。試合に勝っても内容に不満があり喜べない。

 この心情に気づいてからは、少しセレッソ大阪というチームと距離を置くようになった。自分のことをセレッソファン・サポーターと名乗らなくなった。サッカーというスポーツ自体は依然好きだったので、京都や神戸方面に足を運ぶことも増えた。(吹田にもちょっと行った)

 セレッソが嫌いになったというほどではなく、尹晶煥監督時代や、ロティーナ監督時代もたまに現地で観戦することはあった。ただ、場所は常にメインスタンドかバックスタンド、それもホーム寄りではなくミックス席が多くなっていた。ルヴァンカップでの初タイトル奪取は喜ばしいことだったが、一歩引いた位置でその歓喜を眺めていた。

 特定のチームを応援すること、特に「サポーター」という立場で苦楽を共にすることが怖くなっていたし、再びその立場に戻ろうという気持ちも浮かばない。しかしサッカーというスポーツは好き。数年間、そのような立場を続けていたが、最近になってようやく「別にそれでいいじゃないか」という考えに至った。

 一歩引いた位置で一つのチームを見続ける。熱心に応援するとまではいかないが、そのチームの歩みを見届けていく。このくらいのスタンスが自分には合っているのだと認識できた。

 この文章は、少なくとも今シーズンは前述したスタンスでセレッソ大阪を追いかけてみよう、という決意表明のようなものである。いや、正直そんな格好つけるようなものではないけど。

 このスタンスを続けてみることで、特定のチームを応援し続ける以外にも、サッカーを楽しむ術があったのだな、と気づくことができるかもしれないし、できないかもしれない。いずれにせよ、サッカー観戦は趣味・娯楽であり、その向き合い方や楽しみ方も人それぞれなのだと思う。

 

あとがき

 特定のチームを応援している方々からすれば、チームの勝ち負けで気分が浮沈するのは当然のことで、例えチームが勝てず、取り組みが上手くいかず、応援する側がストレスを感じることがあったとしても、その分勝利の味は格別で、試合後に飲む酒も格別、それがあるからこそファン・サポーターを楽しく続けているのだということなのかな、と思います。

 ただ、下戸で陰キャな私が、健全なメンタルのもとにサッカー観戦を楽しむ上で、ちょっと違ったやり方も試してみようかな、というだけのお気持ち表明なのです。「こんなやつもおるんやなw」くらいのもんです。熱量を持ってチームを応援することを否定するものではなく、むしろその熱量を羨ましくも感じます。

 そんな、応援するチームと苦楽を共にする方々に敬意を評しつつ、今回は筆を置きます。

 


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