セレッソ大阪に関しての雑感

 セレッソ大阪が苦しんでいる。開幕から1分2敗の勝ち点1、順位は17位であり、例年であれば降格圏ということになる。昨季リーグ5位、骨格はそのままに、Jリーグで実績のある外国籍選手や、クラブレジェンドを獲得してシーズンに臨んだことを踏まえると、最序盤とはいえ不満のある立ち上がりと言える。

 セレッソ大阪のクラブスローガンは「SAKURA SPECTACLE」である。森島社長は「SPECTACLEとは、壮大なショーという意味ですが、魅力あるスタジアムで選手が魅力あるプレーで躍動して、サポーターをはじめとするセレッソファミリーの皆さんの心を動かして、ワクワクする。これがSAKURA SPECTACLEの意味になっております」と発言している。
https://www.cerezo.jp/news/2022-02-24-20-28/

 では、セレッソ大阪が目指す「ワクワクするサッカー」とは何か。「積極的」か「慎重」かの二択で言えば、間違いなく前者だろう。そうであれば、積極的な(≒ワクワクする)サッカーを標榜する現首脳陣が、慎重なサッカーを志向するロティーナ監督と袂を分かつ結果になったのは理解できる。

 一方、サポーターが最も喜ぶ(≒ワクワクする)ことは何だろうか。それは応援するチームの勝利に他ならない。ただし、サッカーというゲームにおける勝敗は運にも大きく左右される面があり、一概にどのようなサッカーをすれば勝てる、負けるというものではないことに留意が必要である。

 とはいえ、プロスポーツチームである以上、求めるべきは「どのようにして勝利という結果を得られる可能性を高めるか」ということだ。その最適解を求め続けることがプロとしての仕事であり、近年プロアマ問わず語られる「戦術」はその手段の一つだと思う。

 積極的に戦うことが勝利に結びつくのであればそうすべきだし、慎重に戦うことで勝利が得られるのであればそうすべき。どちらを選択するのか、より細かい部分ではどのようなサッカーを志向するのかについては、実際にプレーする選手の特性を踏まえたものでなければならない。

 一般論としては、肉体的に強靭で、素早く、アップダウンを厭わない選手が揃っているのであれば積極的なサッカーが望ましいだろうし、それらの要素は物足りないが、経験と技術に長けた選手を多く擁するのであれば、慎重にゲームをコントロールすることが好結果につながるだろう。

 今季セレッソ大阪が補強した選手としては、レオセアラ、ジョルディクルークス、そして香川真司が挙げられる。特に香川真司については、セレッソから世界に羽ばたき、ドイツでの印象的な活躍を経てメガクラブにまでステップアップした超大物選手である。

 彼が活躍すれば、単にチームが勝利する可能性が高まるだけではなく、マーケティング面でも非常に大きな成果が得られるだろう。現在は短時間の出場に限られるコンディションだが、同じエースナンバーを背負ったこともある清武弘嗣との競演が見られればファン・サポーターも、フロントも、スポンサーも喜ぶだろう。

 しかし、彼らはどのようなサッカーで輝き、チームに勝利をもたらすことができるだろうか。技術、経験は申し分ない。しかし、両名ともに年齢を重ねていることや、負傷を抱えていることもあり、肉体的強度には不安が残る。また、元々肉体的強度を長所としてきた選手でもない。

 他の優秀な選手はどうだろうか。彼らの輝くサッカーはどのようなものだろうか。簡単に答えを見出せるものではなく、開幕からの3試合を見る限り、現場も苦しんでいるように見える。昨季のベースから一歩踏み出し、首脳陣の志向に近いサッカーを目指したいという意向は感じられるが、率直な感想としては、中途半端なものになってしまっているという印象だ。
 
 水曜日にはルヴァンカップが開催される。ここでのローテーションはあるのか、それとも現主力メンバーでのさらなる相互理解醸成を狙うのか、いずれにせよ上手く活用し、この苦境から抜け出すきっかけとなることを願う。



 …ちなみに筆者は一昔前まではゆるくセレッソ大阪を応援していた立場ですが、ある時期から疎遠になっておりました。今季は一歩離れた位置からウォッチングしてみようかなと思い、このような怪文書を書いてみた次第でございます。

 正直、ロティーナ監督退任後はさらに疎遠になっており、コロナ禍で現地観戦からも離れていたことから、熱心なファン・サポーターの皆様からみれば「なにいってだこいつ」となるやもしれませんが、今後も気分次第で駄文を垂れ流していこうと考えております。

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