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地球に日傘。

お盆休みのある朝。
家族そろって近所の喫茶店へモーニングを食べに行った。

たまにモーニングを食べに行く習慣は、ここ数年でついたものだ。
本屋のレジ脇に喫茶店の割引券が置いてあって、「そうか!世の中には(というか、このあたりでも)モーニングなんておしゃれなものが食べられるんだ!」と知ったのだった。

だって実家の近くには喫茶店もレストランもなかったし、もちろんモーニングなんておしゃれなものを出す店はなかった。

大人になってモーニングというものの存在を知ったが、それは同時に「名古屋文化圏のもの」という思い込みがセットになっていた。

名古屋文化圏に行かなければ、モーニングにはお目にかかれないと思い込んでいたのだからおそろしい。
節分には(わけもわからず)恵方巻を食べる世界になっているというのにね。

さて、お盆休みにモーニングを食べに行った話に戻ろう。

その店ではモーニングの場合、ドリンクバーが用意されている。
私はファンタオレンジをグラスに半分くらい注いだ。

そしてグラスを見て、オレンジ色に夏をみた。
そこで、プチプチはじける泡に注目すればよかったのだ。
そうすれば爽やかさを満喫できたはず。

しかし私はオレンジジュースをアイスティーで割るのが好きなのだ。
グラスに半分のファンタオレンジの上からアイスティーを注ぐ。
きれいなオレンジはあっという間になんともいえない微妙な薄茶色に変わった。

いいんだよ、これが美味しいんだから。
世間でこういう飲み方が流行るずっと前から、私はこうしてたんだから。

でもこの日の私はちょっと気分が違っていたらしい。
微妙な薄茶色に、激烈な猛暑をみてしまったのだ。
そして「いつまで続くの?」という、忘れていた問いを思い出してしまった。

7月の私は、この激烈な暑さは8月上旬で終わると思っていた。
少なくとも、一度はまともな暑さに落ち着く時期がくると思っていた。
それなのになんだこの暑さ。

昔の夏が真夏日程度なのが当たり前だったように、今や猛暑日なのが当たり前になっている。
なんなら猛暑日を数度超える日もある。
そして猛暑日を下回る日なんか、ない。

地震とか台風とか、いろいろなことで忘れていたけど、気づいたらもう8月も半分を過ぎている。
いったい、いつまで続くんだよ。

それもこれも、先人が地球環境に思いをはせずに頑張ってくれちゃった結果か。

そばにいた息子に「温暖化、今すぐなんとかしてー」と言ったら、「俺は魔法使いじゃないし」と言われてしまった。

喫茶店からの帰り道、日傘を差して歩いていたら、息子が言った。

「地球に日傘を差したらどのくらいの効果があるんだろうね?」

うん。面白い。
薄曇りくらいの効果があるだろうか。
さっそく計算してみてくれ!

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